男性も生活クラブを使いこなそう! 組合員活動のススメ
生活クラブ運動が始まったのは1965年。女性は結婚・出産を機に退職して家事育児をし、男性は生活費を稼ぐという性別役割分業を当たり前と思う人が多かった時代だ。生活クラブの活動はこれまで多くの女性が担ってきた。しかし近年、稼ぐ女性が増え、活動の担い手は減少しつつある。一方、男性で活動する人が徐々に登場し始めている。生活クラブで活動する二人の男性に、男性の活動参加の可能性について聞いた。
参加しやすい仕組みを

北東京生活クラブ まちすぎなみ南 ロードン・パトリックさん
「組合員活動は義務化した方がいいと思うんですよ」
衝撃的な提案をするのは、北東京生活クラブの「※まちすぎなみ南」でまち委員長を3年務め、今は副委員長をしているロードン・パトリックさんだ。
協同組合という組織に興味があったのが活動に参加したきっかけだ。協同組合は自分たちの暮らしの向上のためにある自発的組織だが、現状は組合員の多くにそれが伝わらず、一部の人に活動の負担が偏っている。ロードンさんは活動する人にインセンティブがあるなど個人の状況に合わせた関わり方を考えてもいいのではないかと言う。
衝撃的な提案をするのは、北東京生活クラブの「※まちすぎなみ南」でまち委員長を3年務め、今は副委員長をしているロードン・パトリックさんだ。
協同組合という組織に興味があったのが活動に参加したきっかけだ。協同組合は自分たちの暮らしの向上のためにある自発的組織だが、現状は組合員の多くにそれが伝わらず、一部の人に活動の負担が偏っている。ロードンさんは活動する人にインセンティブがあるなど個人の状況に合わせた関わり方を考えてもいいのではないかと言う。
現在まち委員は7人いるが、全員自営業だ。活動するには雇用されている状態では時間的に難しい。ロードンさんは、定年後の人の居場所として「協同組合に参画して、定年準備しませんか?」と呼びかけてはどうかと提案する。他にも、例えば生産者の援農など、活動の目的をはっきりさせ、目的別に呼びかけてはどうかと言う。「『地域のつながりを』という呼びかけは、人を集めるにはふわっとしていて伝わりづらいですよね」
男性に参画を呼びかけると同時に、これまでの活動の在り方を継続させるだけでなく、女性の多い中に男性が入ることで生じる変化も受け入れる必要があるとも言う。
「例えば男性中心の会社では、女性の進出を進めるために男性側が変わらないといけないし、若い人を入れるために年配の方が変わらないといけない。そうやって『受け入れ側がどう変わると、多くの人に入ってもらえるか』の議論を引き続きしたいと思います。男性が増えない背景にはどんな理由があるのかを皆で考えてみたいと思います」
今、ロードンさんが実現したいと考えているのは活動のデジタル化だ。提案に対して投票で意思決定に参画する仕組みや、点在する情報をわかりやすく交通整理をする組合員用アプリの開発などだ。活動する人のすそ野を増やすことにつながりそうだ。
「生活クラブができた頃と比べて組織が大きくなり、より多い人数で決めるには、3カ月でできそうなことも1年半かかることがあります。ただし、コンセンサスを取りながら進めるのも生活クラブのいいところでもあります。そういうところにどれぐらい辛抱強くつき合えるか。人によっては諦めて去っていくこともあるでしょう。とりあえず、僕は10年かけても、絶対実現させようと思ってます」
ロードンさんは「組合」がもっと増えたらいいと言う。
「民主主義国家において理想的な形だと思います。もっともっと、一人一人が自分の属している組織に対して、当事者として関わっていけるなら、社会は良くなると、僕も信じています。それを大規模で実現できた生活クラブは応援し続けたいと思っています」
※「まち」とは、生活クラブ東京の組合員組織の名称・単位
男性に参画を呼びかけると同時に、これまでの活動の在り方を継続させるだけでなく、女性の多い中に男性が入ることで生じる変化も受け入れる必要があるとも言う。
「例えば男性中心の会社では、女性の進出を進めるために男性側が変わらないといけないし、若い人を入れるために年配の方が変わらないといけない。そうやって『受け入れ側がどう変わると、多くの人に入ってもらえるか』の議論を引き続きしたいと思います。男性が増えない背景にはどんな理由があるのかを皆で考えてみたいと思います」
今、ロードンさんが実現したいと考えているのは活動のデジタル化だ。提案に対して投票で意思決定に参画する仕組みや、点在する情報をわかりやすく交通整理をする組合員用アプリの開発などだ。活動する人のすそ野を増やすことにつながりそうだ。
「生活クラブができた頃と比べて組織が大きくなり、より多い人数で決めるには、3カ月でできそうなことも1年半かかることがあります。ただし、コンセンサスを取りながら進めるのも生活クラブのいいところでもあります。そういうところにどれぐらい辛抱強くつき合えるか。人によっては諦めて去っていくこともあるでしょう。とりあえず、僕は10年かけても、絶対実現させようと思ってます」
ロードンさんは「組合」がもっと増えたらいいと言う。
「民主主義国家において理想的な形だと思います。もっともっと、一人一人が自分の属している組織に対して、当事者として関わっていけるなら、社会は良くなると、僕も信じています。それを大規模で実現できた生活クラブは応援し続けたいと思っています」
※「まち」とは、生活クラブ東京の組合員組織の名称・単位
生活クラブを活用する

生活クラブ埼玉 入間支部 北原修さん
一方、生活クラブ埼玉入間支部の北原修さんの参加の動機はより具体的だ。若い頃は東京都の職員として清掃員をする傍ら、劇団員として活動していた。
「ごみを収集していた時、自分では買えないような高級な、まだ使えるものが山のように出されていて、このままでは日本はダメになると思いました。その頃の経験から、食や消費について考えるようになりました。演劇は社会について表現し訴えるものです。ちゃんとしたものを食べることと、まっとうな社会にするということは同じだと思っているので、生活クラブで活動するのは自然でした」
「ごみを収集していた時、自分では買えないような高級な、まだ使えるものが山のように出されていて、このままでは日本はダメになると思いました。その頃の経験から、食や消費について考えるようになりました。演劇は社会について表現し訴えるものです。ちゃんとしたものを食べることと、まっとうな社会にするということは同じだと思っているので、生活クラブで活動するのは自然でした」
現在、「サステイナブル委員」として再生可能エネルギーについて学び、「生活クラブでんき」を組合員に勧める活動をするのは、その延長にある。生活クラブ埼玉の配送補助も行う他、保育園や高校で和太鼓の指導、学童保育の補助員、獅子舞など生活クラブ以外の活動も多彩で、有償無償にかかわらずさまざまに活動している。
女性が多い中での活動だが、そこに違和感はなく、男女で分けて考えることは普段はあまりない。けれども生活クラブでんきを組合員に勧めるときには男女の差を感じるという。夫の了承が得られず電力会社を変えられないと言う女性が多いのだ。
「食や生活全体に対しては女まかせなのに、電力会社は男が決めるのはおかしいですよね。家の中で男の仕事、女の仕事と分けなくていいと思います。僕の場合、今は毎日三食作っています」
生活クラブ埼玉では誰でも気軽に立ち寄り交流や相談ができる場として「Tハウス」というお茶会を開催する。北原さんは男性の居場所になればと「夜のTハウス」を始めた。予算内で消費材を準備し、参加者が飲みたいお酒を持ちより、飲みながらテーマを決めず話をする会だ。夜7時からの開催だが女性の参加者も多い。男女問わず、職場での関係性がなくなると、他につながりがなくなってしまうことがあるが、夜のTハウスはそんな人も参加しやすい活動だ。
北原さんは他にも「夢都里路(ゆとりろ)くらぶ」で生産者の援農をしたり、各種の学習会に参加して、生活クラブを自分の生活を豊かにする手段として活用している。
生活クラブはおおぜいの女性たちが、自分たちの納得のいく食べものから暮らしや社会を描くことで進んできた。しかし、女性ばかりの暮らしや社会はない。男性にとっても今や食やエネルギー、ケアは人任せにはできない課題だ。協同することで、それぞれが目指す社会を実現する道具として、さらに生活クラブを使いこなしていけるのではないか。
女性が多い中での活動だが、そこに違和感はなく、男女で分けて考えることは普段はあまりない。けれども生活クラブでんきを組合員に勧めるときには男女の差を感じるという。夫の了承が得られず電力会社を変えられないと言う女性が多いのだ。
「食や生活全体に対しては女まかせなのに、電力会社は男が決めるのはおかしいですよね。家の中で男の仕事、女の仕事と分けなくていいと思います。僕の場合、今は毎日三食作っています」
生活クラブ埼玉では誰でも気軽に立ち寄り交流や相談ができる場として「Tハウス」というお茶会を開催する。北原さんは男性の居場所になればと「夜のTハウス」を始めた。予算内で消費材を準備し、参加者が飲みたいお酒を持ちより、飲みながらテーマを決めず話をする会だ。夜7時からの開催だが女性の参加者も多い。男女問わず、職場での関係性がなくなると、他につながりがなくなってしまうことがあるが、夜のTハウスはそんな人も参加しやすい活動だ。
北原さんは他にも「夢都里路(ゆとりろ)くらぶ」で生産者の援農をしたり、各種の学習会に参加して、生活クラブを自分の生活を豊かにする手段として活用している。
生活クラブはおおぜいの女性たちが、自分たちの納得のいく食べものから暮らしや社会を描くことで進んできた。しかし、女性ばかりの暮らしや社会はない。男性にとっても今や食やエネルギー、ケアは人任せにはできない課題だ。協同することで、それぞれが目指す社会を実現する道具として、さらに生活クラブを使いこなしていけるのではないか。

Tハウスの参加者。「退職後は『飲み会』がないのでTハウスが楽しみ」「生活クラブという共通点があるので、 何を言っても受け止めてもらえるという安心感がある」
★『生活と自治』2026年9月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
【2026年10月2日掲載】
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