「Rびん」の回収率をさらに高めよう!!
9月4日、生活クラブの環境活動を担う「3R活動推進連絡会」のメンバーら21名が、Rびんの洗びん工場「トベ商事」を訪れ、どのようにびんを洗い、リユースするのかを見学しました。(2008年9月18日掲載)
ピカピカに洗ったびんを厳しくチェック
「 グリーンシステム」と書かれた緑のコンテナから取り出された500mlの超軽量Rびんが、供給ラインに乗って洗びん機に吸い込まれていきます。「めんつゆ」「丸大豆しょうゆ」「温州みかんジュース」など、おなじみのラベルがついたままの状態。徐々に洗浄温度を上げ、苛性ソーダ液の濃度を2.5%に、湯温を80℃に上げ一気に洗い上げると、そこでラベルや汚れが一気に落ちます。湯温を下げてすすぎをして、常温に戻ったびんが洗びん機を出るまで約20分。ピカピカになって出てきたびんを検査員が目視でチェックし、ガラスにひびが入っていないか、汚れが残っていないかを念入りに確認します。
どんなに小さくても汚れやキズが見つかると、そのびんは選り分けられ別の箱に入れられてしまいます。「えー、こんなにきれいなのにどうして使えないの?」「再使用できないびんには見えないけど」。見学に来た組合員は、次々に疑問を口にしていました。
この日、東京都足立区にある洗びん工場「トベ商事」を訪れたのは、グリーンシステムなどの環境活動を推進している「3R活動推進連絡会」(座長:木下青子湘南生活クラブ理事長)の組合員と生活クラブ連合会の職員ら、合計21名。トベ商事の戸部昇社長によると、ケチャップなどが入る広口びんの場合は、びんの口の凹凸している部分の欠損やサビが問題となり、15%は再使用せずにリサイクルに回されるとのこと。500mlの超軽量Rびんの場合はラベルのでんぷんのりが樹脂コーティング部分にくっついてカビが発生し、リサイクルに回されるのはコーティングの不良も含め1%だとの説明。
再使用できないびんは細かくくだいてカレットという状態にし、ガラスびんの原料として再生利用します。容器のゴミを出さない(=リデュース)、びんは繰り返し使う(=リユース)、再使用できないびんは再生して活用する(=リサイクル)の「3R」が、Rびんによって実現できているのです。 「びんは生き物です。手間をかけて洗ってあげれば、いつまでも使える」との戸部社長の言葉に、小畑聖子さん(千葉)は、「生活クラブや びん再使用ネットワークだけでなく、びんを再使用する文化を一般にも広めていければ」と感想を述べました。
使い回せるようびんの規格を統一
生活クラブが1994年から取り組んでいるのが、「1回使ったら捨てる容器」ではなく、調味料や飲料などのびんを回収して洗浄し、繰り返し使う「リターナブルびん(Rびん)」の利用。グリーンシステムとはRびんや牛乳びん、牛乳キャップ、ピッキング袋(P袋)をリユース・リサイクルしてごみを減らす活動の総称です。生活クラブでは1994年から2007年度までの14年間で、Rびん9075万本のうち、6316万本を回収して再使用してきました。Rびんは35回再使用できるようにつくられています。1年に3回再使用すると仮定すると、10年以上も使えることになります。
生活クラブを始め、全国の6生協が加盟している「びん再使用ネットワーク」では、容器のごみを減らすためにガラスびんの規格、形状を統一し、複数のメーカーで同じ容器を使い回しています。例えばめんつゆを入れていたびんを洗浄してみかんジュースを入れたり、あるいはお酢を入れる容器として使うこともあるのです。規格を統一することで、回収、選別、洗浄にかかる手間を省き、再使用の効率を高めたというわけです。
組合員が家庭で調味料やケチャップなどを使った後は、Rびんを軽くすすぎ、配達やデポーの店頭に返却します(その際、ラベルをはがす必要はありません)。集められたRびんは単協のセンターやデポーで大きさ、形状ごとに分別され、飯能のデリバリーセンターに集められます。その後、エリックス社(空きびん商10社による会社)がRびんを引き取り、トベ商事で洗浄。Rびんのコントロール会社である 生活クラブ・スピリッツ(株)で、再使用するRびんと、製びん工場から出荷された新しいびんの割合を調整し、生産者のもとに送って消費材が詰められ、組合員のもとに届くというのがリユースシステムの流れです。
Rびんを長く使うための扱い方は?
現在、3R活動推進連絡会では11月1日に行う「エコライフの集い」の企画を練っています。2007年度の回収率は、Rびん69.1%、牛乳びん98.0%、牛乳キャップ62.0%、P袋37.2%。特に回収率の低いP袋に関しては、P袋の紙ラベル10枚1口でシリコーンスプーンが当たるキャンペーンを実施し、回収率5%アップを目指しています。最終的にはRびん90%、牛乳びん98%、牛乳キャップ80%、P袋60%と目標を定めていますが、まずは単協ごとに目標をクリアできるよう、チラシの配布や班での呼びかけなどを行っています。
工場見学では、「組合員の使い方を工夫することでサビやカビを防ぐ方法はないのか」という問いが出されましたが、「生活クラブの組合員の方の使用方法には注文をつけようがない。キャップをとる、すすぐなどの基本ルールを守り、それ以上にきれいに洗う人が多く、回収率もいい。実は、サビなどは組合員の努力では防ぎようがないのです」と戸部社長。あとは、さらに長く使えるよう日々大切に扱い、回収率を高めていくことがポイントになりそうです。
Rびんを使う際は、スプーンなどの金属製品で無理にフタやヒンジキャップを開けようとしてびんの口を傷つけない、ぶつけたり落としたりしないなど、大切に扱うよう心がけましょう。何より大切なのは、Rびんが常に「返却→洗浄→再使用」というサイクル上にあることを意識すること。保存用に便利だからといって家庭で使うと、このサイクルを損なうことになります。八方だしなどの保存にはRびん以外の「ワンウェイびん」を使うようにしましょう。
3R活動推進連絡会の木下座長は、「組合員が増えたことで、Rびんの使用ものびています。なぜリユースが大切なのかということをていねいに伝え、さらに回収率を上げていきたい」と今後の抱負を述べていました。
●Rびんについてはコチラをご覧ください。
●トベ商事のホームページはコチラをご覧ください。