「六ヶ所村再処理工場」の本格稼動中止を!
今春にも本格稼動への移行が予定されている、青森県六ヶ所村の「使用済み核燃料再処理工場」。その中止を求める集会が1月27,28の両日、東京で開かれました。27日の集会には、日本全国から2、000人が参加、コラボレーション企画として行われた音楽などアーティスト中心の集会参加者も合流したパレードは、2、500人規模にふくれあがりました。
東京・銀座に響き渡る「放射能を垂れ流すことは許しません」
「六ヶ所再処理工場の本格稼動反対!」「放射能を垂れ流すことは許しません!」─1月27日の午後、東京・銀座にそんな声が響きわたりました。この日、日比谷野外大音楽堂と小音楽堂で開かれた「六ヶ所再処理工場の本格稼動の中止を求める」二つの集会に参加した2、500人が、数寄屋橋、東京駅八重洲口を通り、メディアがあまり報じない再処理工場の危険性を訴えました。
大音楽堂に2、000人が参加した集会の主催は、生活クラブ連合会など7団体が呼びかけ団体の「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」。サーファーの全国組織「サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン」などが協力団体に名を連ねました。
「エココロ」編集主幹のマエキタミヤコさんの司会で始まったイベントでは、女優の吉本多香美さん、サンプラザ中野くんらが音楽や踊りを披露しました。この中で吉本さんは、自身がアースデイで「六ヶ所の再処理工場に反対」と発言したことで、番組スポンサーの電力会社の意向でリポーターを降板させられたことを明かし、「スポンサーがいるためテレビから真実を知ることはできません。事故があってからでは遅い、手に手を取り合って原発は危ないということを伝えたいと思います」とアピールしました。また、再処理工場の放射能汚染の危険性を訴えるプロジェクト「STOP-ROKKASYO」に坂本龍一さんらと共に携わり、昨年末に刊行された「ロッカショ」(講談社)の制作にもかかわったミュージシャンのSUGIZОさんは、出版の動機を「原発も再処理も反対ですが、この集会に参加していない人にどう伝えるかをテーマにしました」と話しました。
ステージには、保坂展人さん(社民党)、大河原雅子さん(民主党)、川田龍平さん(無所属)といった国会議員も登壇、「六ケ所再処理工場の問題を広く知らせ、本格稼動を止めましょう」などと訴えました。また、「サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン」の守山倫明代表は、 「サーフライダーは海を守ることに力を惜しみません」と宣言。さらに、本格稼動の中止署名に漁協として取り組んだ岩手県の重茂漁協の伊藤隆一組合長が、県内の6漁協を代表して「三陸の海が放射能に汚染されようとしています。これを止めるために残された時間はわずかですが、本格稼動中止の運動を大きなうねりにしましょう」と、参加者に力強くアピールました。
200人以上が参加した署名提出院内集会
大規模な「再処理工場の本格稼動中止」を求めるパレードがあった翌28日、参議院議員会館で、本格稼動の中止などを求めた署名提出のための院内集会が開かれました。全国ネットワークが主催し、重茂漁協をはじめとする岩手県内の6漁協、サーフライダー・ファウンデーション・ジャパンが共催しました。会場となった第一会議室には国会議員16人のほか参加者185人が詰めかけ、廊下まで人が溢れるほどの熱気に包まれました。
冒頭、全国ネットワークを代表して加藤好一さん(生活クラブ連合会会長)が「全国ネットの会員は全国に広がっています。その人たちが安心して末永く食べて生きたいとこれだけの署名を集めました。これをステップにして本格稼動を止めて欲しいと参加しています」と挨拶。続いて内閣総理大臣と経済産業大臣宛に3団体(全国ネット・37万9000筆、重茂漁協などの団体・39万9000筆、サーフライダー・3万2000筆)が集めた81万筆の署名が、内閣府、経済産業省の担当者に手渡されました。担当者はそれぞれ「総理に届けたい」(内閣府)、「再処理施設の安全性について不安の声があることを改めて聞かされました。われわれの説明が不十分だったかもしれませんが、安全性は法に基づいて確認しています」(経済産業省)などと述べました。
その後、全国ネットが提出していた事前質問に対して内閣府、経済産業省から回答してもらい、質疑応答、意見交換が行われました。“官僚答弁”に終始する内容に、「活断層の存在など安全性に問題だらけなのに、2月に本格稼動するのか」など、厳しい質問も出ました。これに対して、経済産業省の担当は「われわれは2月からと指導していません。現在は使用前検査の段階で、それに合格すれば稼動になります」と答えるにとどまりました。 なお、集会では、岩手県の自治体で「放射能を海に流さない意見書」の採択が進んでいるという報告がありました。