今年も猛暑の中、トマトの収穫。計画的労働参加で
生活クラブでは、トマトジュースの原料となる加工用トマトの生産で、JAながの飯綱トマト部会の生産者のトマト畑に組合員が足を運び、苗の植え付けと収穫の作業を手伝っています。5月に東京・神奈川・千葉・埼玉・長野の単協から合わせて19名の組合員が植え付けたトマトの苗も3ヶ月ほどでしっかりと実を付け、8月10日から12日、神奈川の組合員38名が、トマトの収穫を手伝ってきました。(2011年8月30日掲載)
お手伝いでなく、計画的労働として
作業期間中は、長野市内で36度に達する猛暑となり、日差しを遮るものがないトマト畑では、標高600mほどの飯綱高原でも30度を超す暑さの中での作業となりました。加工用トマトの収穫作業は、生食用トマトと違って支柱がなく畑に這うように伸びるつるに実った赤く完熟した実をもぎ取ってバスケットに入れ、その後、加工工場へ出荷する20キロコンテナに集めるという作業です。
つるが伸びる都度花が付きそこに実がなるため、トマトは花が咲いた順に熟していきます。完熟した実ばかりでなく、これから熟すオレンジ色の実もあります。トマトジュースは熟度が味を左右するので「おいしいトマトジュースが飲みたい」と、地に這いつくばり腰を折って完熟トマトを収穫する組合員の作業にも熱が入ります。とは言え、「援農」としてのお手伝いではなく、生産者のトマト生産に計画的に参加する「計画的労働参加」として、労働対価や交通・宿泊の費用もトマトジュースの原価(1本約1円)に含めた『仕事』として、到着した日の午後から、次の日は朝の8時から昼休みを挟んで夕方5時半まで、そして帰りの午前中までしっかりと働きます。8月17日から19日は、東京・埼玉・千葉の組合員41名が、8月23日は、長野の組合員10名が収穫に参加しました。
何ものにも替えがたいものに
真夏に次々と実を付け中山間地の圃場では機械化も難しく、収穫には多くの人手が必要となります。しかし、ピューレやペースト状で輸入される海外原料に押され、加工用トマトの価格は低迷し、真夏の厳しい作業に人手の確保するのも難しいのが現実です。このままでは生産者の高齢化や後継者不足の深刻化によって国産の加工用トマトが壊滅しかねない危機にあります。そうした状況の中で、1995年にスタートしたこの「計画的労働参加」も今年で17年を数え、JAながの飯綱トマト部会の杉山部会長は「みなさんの『労働』は何ものにも替えがたいものになっています」と語っているとおり、今年度は作付面積も拡大しました。
今回は初参加の組合員も多く、組合員の家族の男性も16名参加しました。今まで家で美味しいと食べていた食べ物が生活クラブの消費材だったことを定年退職されてからはじめて気付き、その消費材が生産から組合員が関わっていることに驚かれた参加者も少なくはありませんでした。組合員の『労働』で収穫され、すぐに地元の加工工場の長野興農で搾汁され、おいしいトマトジュースになっていきます。