福島原発事故 "脱原発社会"の構築へ─「阻止ネット」が集会とデモ(生協流通新聞)
2011年10月05日:生協流通新聞
集会で「脱原発宣言」採択
「今も、爆発した原発建屋周辺からは1時間あたり2億ベクレルほどの放射能(この数値で事故直後の400万分の1)が流出」─。
生活クラブ・パルシステム・グリーンコープなどの生協や大地を守る会、取引生産者などで構成する「“六ヶ所再処理工場”に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク(略称・阻止ネット)」は9月19日、東京・千代田区の日本教育会館で『ストップ再処理2011 脱原発宣言』の集会を開催し、講演した原子力資料情報室の澤井正子氏が福島第一原発事故の現状について語った。
澤井氏は、「脱原発社会への道すじ─福島第一原発事故から私たちは何を学ぶのか」と題して講演し、新幹線の車内での計測でもトンネルを抜けると放射能が急に高くなるという福島県の現状について報告。
原発と火力・水力発電の発電システムの違いから説明し、原発は「放射能を大量に抱えたまま運転する大きなヤカン」で、原子炉内の核分裂で発生した熱エネルギーの3分の2を海水中に廃棄している非効率な発電システムである、と指摘。
事故後の「ベント」により気体として流出した大量の放射能が雨などで太平洋に落ち、海の汚染が広範囲に拡がっていることにも言及した。
続いて行われたリレートークでは、生協からパルシステム千葉の平野都代子理事長、生活クラブ静岡の赤堀ひろ子顧問、グリーンコープかごしまの川原ひろみ理事長、生産者からはJA新いわて短角牛肥育部会、宮城県石巻市の高橋徳治商店が脱原発への取り組みや放射能による風評被害の現状などについて報告。
業者仲間が“無残”な死
高橋徳治商店の高橋英雄社長は、震災と原発事故の風評被害などで将来への希望が持てず、同じ水産業に携わる仲間で1人は首つり自殺、1人は“割腹”自殺をしたという厳しい現実を語り、「忘れてよいことと、忘れてはいけないことがある。被災地の厳しい現実を忘れないで、今後も粘り強い反対運動をお願いします」と、会場の参加者に訴えた。
集会ではグリーンコープ共同体の田中裕子代表理事が『阻止ネット脱原発宣言』を読み上げ、参加者全員で採択。今後は“脱原発”を組織としての活動目的に掲げ、広範な国民を巻き込んだ脱原発社会の構築をめざしていく。
閉会挨拶したパルシステム連合会の山本伸司理事長によると、同連合会では組合員の9割が脱原発の意思を表明。今後は、阻止ネットを中心に全国の思いを集約し、確実な再生可能エネルギーヘの転換に向けて社会をりードする運動の構築が必要なことを強調した。