広がる連帯 反TPP 3000人結集(日本農業新聞)
2011年10月27日:日本農業新聞
食・暮らし・いのち守る全国集会
生産者・消費者団体が連携し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に反対する全国決起集会が26日、東京・日比谷の日比谷野外音楽堂で聞かれた。農林漁業者や消費者、医療関係者、研究者ら3000人が参加し、交渉参加反対への連帯の輪が広がっていることを示した。各団体代表者はTPP交渉参加を阻止する決意を表明。政府や与野党議員に対し、交渉参加は絶対に認められないと訴えた。
JAグループ、JF全漁連、全森連、生協など9組織による実行委員会が主催。JA全中の萬歳章会長は「国民の暮らしと命、食料安定供給、地域経済、信頼できる医療制度を守ることは国の基本だ」と述べ、TPPは国の在り方を変える大きな問題だとする考えを強調。今後も各業界と連携し、交渉への参加阻止の取り組みに臨む姿勢を表明した。
集会には日本医師会や日本看護連盟、日本歯科・医師連盟も参加。日本医師会の中川俊男副会長は連帯あいさつで「医療への影響に対して政府から納得のいく説明がない」と述べ、TPPに強い懸念を示した。
決意表明では、生産者や消費者、研究者6人が怒りの声を上げた。生活クラブ生協連合会の加藤好一会長は「私たちが取り組んできた生消の連携を引き裂く」と指摘。東京大学の鈴木宣弘教授は「交渉参加は、独立国として最後のとりでを売り渡すこと。政府は情報を示さず、民主主義国家として体をなしていない」と厳しく批判した。
民主党農林水産部門会議の郡司彰座長は「皆さんの声を受け止めて議論をしていく」と述べた。自民党の大島理森副総裁は「TPP参加で食料自給率を高める道がつくれるのか。APEC(11月12、13日のアジア太平洋経済協力会議首脳会議)での交渉参加表明には絶対反対だ」と明言。国民新党、共産党、社民党のそれぞれの代表は交渉参加に反対することを表明した。
また「TPPには反対であり絶対に認めることはできない」などとした特別決議を全会一致で採決した。
TPP参加反対で一丸
震災や原発事故の中でTPP交渉参加を議論することに、満身の怒りを表したい。われわれは、生産者と消費者を結び付ける努力をしてきた。だが、TPP交渉参加をめぐって両者の連帯を引き裂くような動きが目立つ。原産地表示、遺伝子組み換えなど食品の安全面でも問題だ。
生産者だけでなく、心ある消費者の真摯(しんし)な営みも打ち砕くものだ。
TPPは必ず協同組合の本質をゆがめる。交渉参加を阻止し、協同組合が活躍できる世の中にしていきたい。