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素材本来のうまみで選ぶなら

調味料メーカーとして「素材本来の味を引き立たせる製品を一つでも多く社会に送り出すこと」を信条とするコーミ。同社が生活クラブと開発した「牡蠣(かき)味調味料」はカキのうまみを丸ごと生かし、幅広く料理に使える一品だ。

生産者のおすすめは─

せっかく購入しても「何に使えばいいのかわからない」との理由から、放置されがちな調味料の一つが「オイスターソース」だという。

そうした消費者の意見に応え、メーカーは自社のホームページなどにオイスターソースを使った料理レシピを数多く掲載、その用途の広さをアピールする。煮る、焼く、炒める、炊くと多彩なメニューが閲覧できるが、「なぁに、『牡蠣味調味料』なら、そんなに手が込んだものでなくても、十分にカキのうまみが堪能できます」と相馬英輔さん。生活クラブの国産トマトケチャップや国産レモン果汁などを製造する「コーミ」の担当者だ。

「一人暮らしの私のおすすめは何といっても炊き込みご飯とレタス炒め。論より証拠、いま作っておみせしますから、味見してみてください」

といだコメをザルにあげ、鶏肉や油揚げなど好みの具材を切っておく。これらをしょうゆ、料理酒と「牡蠣味調味料」を加えた規定量のだし汁で炊き込むだけ。炊きあがるまでの時間を使って、季節の野菜や小エビを加えたレタスを「なたね油」で炒め、「牡蠣味調味料」を振りかける。たったこれだけで、カキのうまみ成分が堪能できる2品のできあがりだ。

この炊き込みご飯なら、だし茶漬けにしてもうまかろう。「みついし昆布」や「だしパックかつお」のだし汁を用意しておき、すりおろしたワサビを添えれば、ぜいたくな一品になるに違いない。

1本に6個のカキ

生活クラブの「牡蠣味調味料」は市販のオイスターソースと比べて「生臭い」という声もあるが、「火を通すことで魚介類特有の臭みが消えます。あのにおいが苦手という人でも、このレタス炒めなら大丈夫。おいしく食べられます」と相馬さん。試食させてもらうと、なるほど確かにくせはない。

市販のオイスターソースがカキのエキスや煮汁を主原料とし、製造工程で失われる風味やうまみを添加物や化学調味料で補っているのに対し、生活クラブの「牡蠣味調味料」は丸ごとすりつぶしたカキのみを主原料とし、加工デンプン以外の添加物は一切使用していない。この加工デンプンは「生活クラブの組合員が定めた自主基準に従い、遺伝子組み換え対策を完了したものだけをとろみ付けに用います」と相馬さんは説明する。

では、一本230グラム入りの「牡蠣味調味料」に何個のカキが使われているのだろうか。愛知県犬山市にあるコーミ犬山工場開発部で品質管理を担当する井上智江さんは「およそ6個くらいになると思います」と言う。カキはすべて広島県産。どの海域で養殖され、だれが水揚げし、どこでむき身にされ、どこのだれが冷凍し、いつ出荷したかまで確認できる。

同犬山工場長の後藤明人さんは「まさしく生活クラブのオリジナル品。一つとして同じ商品はありませんし、市販のオイスターソースとの比較は意味がありません」と明言する。エキスや煮汁が主原料のオイスターソースでは、カキ本来のうまみ成分であるコハク酸やグルタミン酸が十分に引き出せず、このためアミノ酸などの化学調味料を添加する必要があるという。「やはりカキの身を丸ごとすりつぶすのが一番ですが、これが生臭さの要因にもなってしまいます。においは火を通せば消えますから、生臭さは本物の証しであると考えていただき、いろいろな調理に積極的に活用していただきたいです」(後藤さん)

リーズナブルな価格

充てん作業生活クラブが「牡蠣味調味料」を開発したのは1986年。コンブ、かつお節、干シイタケといった「和」のだしに加え、中華や洋風だしの拡充を目指した時代のことだった。当時、開発担当だった半澤彰浩さん(現・生活クラブ神奈川常務)は「中華料理用の調味料の開発要望が組合員から高まっていました。そうしたなかコーミの担当者から、どんな素材でもすりつぶせるミキサーを工場に導入したのでぜひ挑戦してみたいと申し入れがありました。それならカキを使った調味料をと。試作中は事務所の台所で年中チンゲンサイと豚バラ肉の炒めものを作っていたのを思い出します」

当初、製造現場を悩ませたのは工場内に立ちこめるカキのにおいと、すりつぶしたカキを裏ごしする際に出る残さの扱いだった。

「とにかく何とかしようと試行錯誤を重ね、最終的には機械の配置を換えることで解決。これによりゼロエミッション(廃棄物ゼロ)も達成し、技術的にも注目されました」と犬山工場副工場長の鈴木秀明さん。

素材のうまさを丸ごと引き出した「牡蠣味調味料」の100グラム当たりの単価は約121円と市販のオイスターソースに比べてリーズナブル。

これを「そのままドレッシングとして使えないか」という組合員からの問い合わせが少なくないが、相馬さんは「開封直後なら支障はありませんが、開けてから冷蔵庫保管したものは加熱調理用に使ってください」と話している。


◆むき身のカキが手に入らなくなる?

 広島県呉市の音戸(おんど)町の港を午前6時に出航するカキの水揚げ船に乗せてもらった。漁獲したカキを冷凍、加工販売する「クニヒロ」営業推進室主任の的場昭昌さんが案内役だ。養殖いかだまでは片道15分、到着するとゆっくり船を寄せ、2人の乗組員が飛び移った。いかだから海中に垂らされたワイヤと船のクレーンをつなぎ終えると、びっしりとカキが付着したワイヤが船上に引き上げられていく。

「船長も乗組員も60代。朝が早いですし、危険も伴いますから、やはり若い人には敬遠されがちですね」(的場さん)

船長はクレーンでワイヤを船の前方の甲板まで運ぶと、最下部をはさみで切断。ザッと音を立てて甲板にカキが滑り落ちた。この作業を1時間半ほど繰り返し、船は音戸港に寄港した。船上のカキはベルトコンベヤーで加工場に運ばれ、洗浄後にむき身にされる。この仕事を担うのが「打ち子」と呼ばれる女性たち。「今年3月の賃金はむき身1キロで110円」と知らせる貼り紙があった。毎年10月から12月はカキの身が小さく、同じ1キロでもむく数が多くなるため、賃金は高めに設定、逆に身が大きくなる時期には低くしていくという。

現在、広島県内の打ち子は3000人余りだが、こちらも高齢化が進み、「将来的にはむき身のカキを確保できない、安定調達できなくなる恐れまで出てきました」と的場さん。「機械化も検討し、何とか対応したいと実験は進めていますが、一度に処理できる量が少ないのが難点です」

クニヒロではむき身にしたカキを丹念に洗浄し、人の目と機械を使って異物を除去、一粒ずつ凍結している。むろん、衛生管理も徹底し、リスク予防にも努める。「『牡蠣味調味料』の原料は生凍結ですが、当社は蒸したカキも冷凍販売しています。これをテレビの通販番組で紹介したら大好評。あっという間に完売でした」

これもビタミンやミネラルを豊富に含むカキを手軽に便利に楽しみたいという消費者の思いの反映だろう。カキの身を丸ごとすりつぶした「牡蠣味調味料」を「他に類似品のない調味料。日本一のカキ産地の広島でも普及させたい」と的場さんは意欲的だ。

本紙・山田 衛

『生活と自治』2014年6月号の記事を転載しました。

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