放射能検査の総検査数が6万件を超えました
2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から約3年。
生活クラブでは震災発生直後から、汚染の実態を把握するために製品になった消費材を、生産者は製品や原材料の放射能検査を実施しています。これは、消費、生産の双方で検査し、結果を公開することで「分かって食べる」ための判断に役立つ情報を提供することが目的のひとつ。2014年3月末までの総検査数は62,640件(*)となりました。
(*)地域限定で取り組んでいる消費材を含む。
▼放射能検査の体制
生活クラブでは、被曝リスクを少しでも軽減するために、生産者と協力して2012年8月に放射能自主基準を定めました。ほとんどの消費材は不検出ですが、生活クラブでは放射性物質はできるだけ避けることが望ましいという考え方をとっています。特に、子どもたちには気をつけて食べてほしい。そのため、5台の放射能測定器を埼玉県飯能と戸田にあるデリバリーセンターに配置し、自主基準値の1/4までに検出限界を下げる検査の方法を選択しています。2013年度は両デリバリーセンターで19,547件の検査を実施しました。
検査方法
- きざむ:放射能の検出限界値を下げるため、検体を隙間なく詰められるように包丁などで刻みます。
- すりつぶす:フードプロセッサーですりつぶしてたくさんの検体が入るようにします。
- 重量を測り、検体を専用容器に入れ、測定器に入れます。5号機は一度に最大50検体を測定できます。
▼生産者による原材料・製品の検査
「被害者が加害者になってはいけない」という思いから、生活クラブの生産者も独自の放射能検査を実施しています。震災発生後から13年3月末までの総検査数は3,286件にも及びます。
たとえば、生活クラブの牛乳の生産者である新生酪農(株)は、酪農生産者団体である新生酪農クラブや箒根(ほうきね)酪農協と協力して、放射能測定装置(生活クラブの3号機・4号機と同一機種)を配置して、牛に与える牧草とそれを栽培する土壌の残留放射能濃度を測定して管理しています。
≫詳しくはこちら
▼これからも安心して生産し、食べ続けるために
福島第一原子力発電所の事故により、食品への放射能汚染はこれからもずっと監視しなくてはいけなくなりました。この事実は本当に残念ですが、この問題を見えなくするのではなく、私たち自身が測定し続け、食べるための判断材料をそろえていくことが重要と考えます。さらに12年8月に設定した生活クラブの放射能自主基準によって、国よりも低い基準の食品をお届けできるようになりました。しかし、この自主基準があるために、生産者が生きる糧を失うことは避けなくてはいけません。
そこで、国の基準値を下回りながらも、自主基準値を超えて供給を停止した消費材については、生産者に費用を補償するしくみ(生産者支援基金)を立ち上げました。
生活クラブでは、放射能検査-情報公開-自主基準-生産者支援基金、この4つのしくみで、国内で食料を自給し、子どもたちも安心して食べることのできる、食と暮らしの未来をこれからも築いていきます。