生産者も組合員もちょっとした創意工夫をしてみませんか。㈱ヤマボシ
提携品目:めばちまぐろ、もどりかつお 他
私たち(株)ヤマボシは東京と名古屋の間、静岡県焼津市にあります。秋から冬にかけての空気が澄み切ったときには富士山が鮮やかに、また荘厳に見えます。
弊社の創立は幕末の1862年(文久2年)といわれております。戦前は鰹節の製造に携わり、戦後はかつおの生利節(なまりぶし)、さんまの開き、佃煮もやっていた時代もありました。1955年には父が生のまぐろを市場に出荷し、オイルショクの1973年には鰻の養鰻池もやっておりました。私が会社を継ぐことなった1985年頃には自宅の裏の加工場で冷凍のまぐろを加工するようになり、1998年に焼津市大島に衛生的なまぐろの新工場を建設することになったのです。
生活クラブとのお付き合いは、1988年3月に東京単協とのめばちまぐろ300gでスタートし、連合会とは同年10月よりめばちまぐろをはじめ、もどりがつお、びんながまぐろ、めばちまぐろブロック、ぶつ切り用めばちまぐろ、そして、3種類のまぐろの漬け丼、鉄火丼用めばちまぐろと、私のまぐろの人生は生活クラブと共に歩んできたのです。
ちょっとした工夫で料理のレパートリーが増える
ぶつ切り用めばちまぐろ
弊社が供給しております消費材は、めばちまぐろ、びんながまぐろ、もどりがつお、3種類のまぐろの漬け丼、鉄火丼めばちまぐろといろいろありますが、そのなかで注目していただきたいのは、ぶつ切り用めばちまぐろです。
2012年の年末、ヘンリー・チェスブロウ著の『オープン・サービス・イノベーション』を読み、私たちの消費材をもっとうまく組合員に伝えるにはどうしたらよいのだろうかと考えました。組合員との交流会でもたびたび質問されるまぐろの解凍方法、切り方、調理例にハッとしました。そこで、2013年1月に連合会の担当者に相談に行きました。
ぶつ切り用めばちまぐろは3サク入りで230g、1サクは約75gです。形状は約8.2×4.2×2.2cmくらいのサクです。これを普通に横に切ればお刺身になりますし(写真A)、縦に切り、横に切ればやまかけ用になり(写真B)、サラダと一緒に盛りつければカルバッチョ風にもなります。また、サクを薄く削ぐように切ると鉄火丼用にもなります(写真C)。そのほか、切り方によってまぐろのたたき、野菜巻き、酢味噌和え、ケチャップ炒めなどができるのです。
実際に弊社で切ってみて、調理してみて、画像を見ていただきながらご説明させていただいたのです。そうしたら、「LIVELY」2013年23週で「切り方を変えて楽しもう」というタイトルで切り方、調理例を紹介していただいたのです。お陰様で通常時の3倍のご注文をいただきました。今年(2014年)も31週で取り上げられて、大変感謝しております。つまり、消費材を売るだけでなく、その使い方、そこから発生する効用、価値観を伝えるサービスが必要ではないかと思ったのです。
変わってはいけないもの、変わらなければいけないもの
私は、変わってはいけないものがあると思うのです。それは組合員に美味しいまぐろをお届けしたい、ご満足していただけるような高品質のものをお届けしたいという強い思い、また、当社は今後、どういう方向性で進んでいくのかといったビジョン、経営理念、信念、プライド、情熱、そして謙虚さだと思います。
しかし、私が最も尊敬している経営者であり、生活クラブ親生会会長の新田氏は、常づねこのようなことをおっしゃいます。「ダーウィンは『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるわけでもない。唯一、生き残れるのは変化できる者である』と言っておられます」と。このように、変わらなければならないのは経営者であり、従業員であり、仕事に対する意識であり、激動の時代に対応しうる消費材であったりすると思います。今後、どうしたら組合員に喜ばれる消費材であるのかを全社員で考え、日々改善し、日々実践に移していきたいと思っております。変化を恐れず、積極的に、挑戦的に前に進む。このことが今の時代に一番大切なことであると思うのです。
【冷凍まぐろの解凍方法】
1)3%の塩水(水500mlに真塩大さじ1.5を加える)でさっとサクを洗い、水気をふく。
2)キッチンペーパーに包んで、冷蔵庫へ。12~15時間かけて解凍します。朝やっておけば、夕方に食べられます。
(2014年9月掲載)