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北の海から旬の素材を食卓ヘ

価格競争、資源の枯渇などの課題が山積する中、北海道古平町の東しゃこたん漁業組合と提携する水産加工業者「よ吉野(よしの)」は、あくまで良質の素材にこだわり、安心な海の幸づくりを追求する。

脂、乗ってる? 塗ってる?

東しゃこたん漁協の生産部長、田口芳久さん 店頭で見かける、ツヤツヤとした干物はいかにも脂が乗っておいしそうだ。だが、東しゃこたん漁業協同組合の生産部長、田口芳久さんは「見ればすぐわかりますよ。本物の脂は骨の周辺にポツポツと浮いてくるもの。上から下まで均一にテカっているのは塗った油ですね」。ほかにも鮮度保持剤やPH調整剤など、見栄えや日持ちをよくするための添加物は今や水産品の加工には欠かせないという。
 正月に人気のイクラにもさまざまな加工が施される。「中にはイクラじゃなくたれを売っているようなものもある」と田口さん。4~5時間もつけ込むとイクラは最大限にたれを吸い込む。そこを見計らって容器に詰め冷凍すれば重量は大幅に増える。1キロの筋子から800グラムのイクラがとれるところを、850グラムにすることも可能だという。増量分のたれにはもちろんアミノ酸が入っている。
 東しゃこたん漁協が生活クラブに出荷する干物の原料となるホッケには、春先のオキアミを食べ体中に脂が回った一番いい時期のものを主に使う。魚体を傷つけにくい刺し網漁法で捕り、鮮度維持のため船内で網からはずし、氷水につけ漁港まで運ぶ。イクラのたれも、使うのはしょうゆ、みりん、酒だけ。薬剤を用いず味が抜けないようにするため、20年かけて自らが考案した独自の製法でつけ込む。「とにかく手間がかかるんですよ」と田口さんは苦笑する。

厳しい競争の中で

よ吉野専務取締役の吉野太朗さん 添加物や加工技術が多用される背景には、水産品をめぐる激しい価格競争がある。30年以上、生活クラブと提携を続けてきた古平町水産加工協同組合が今年2月に経営破綻したのも、本誌9月号で伝えたように中国など海外で委託加工された低価格タラコが市場に出回ったのが発端だった。現在は、同加工協に加盟していた「よ吉野」が従来通りの生産を続け、東しゃこたん漁協を通じて生活クラブに出荷、提携を継続している。社長の吉野浩次さんも生活クラブとのつきあいは長い。「無添加ってのは生活クラブの信条だからね。変な原料では絶対塩だけのタラコはつくれないんだ」と今も生活クラブの姿勢に共鳴する。
道南の檜山海域で水揚げされたスケソウダラからその日のうちに卵を出し、夜通しかけて古平に運び朝にはつけ込む。「いい時期の魚卵を使って冷凍しないでつけ込むからタラコ本来の力、味があるんだよ」と吉野さんはその品質に絶対の自信を持つ。

 ただ、タラコ業界全体に目をむければその状況は決して明るいとはいえない。

専務の吉野太朗さんは「結局、一般の量販店が要求するのは、味ではなく価格なんです」。海外加工の低価格タラコに対抗すべく国内業者は一層のコストカットを求められている。もともと添加物の使用が一般的なタラコだが、コストカット圧力は、その傾向をさらに加速化する。崩れたタラコに粒を注入して1本に成形する、調味液で味を調えた安いマダラの卵を使うなどのほか、寒天の粒をタラコに混ぜ増量するものさえあるという。
 こうした傾向に歯止めをかけていくためにも「タラコの町・古平だからできる本物の味を理解してもらえるよう、食べる人と話し合い、よりよい関係をつくっていきたい」と太朗さんは言う。

資源を守り育てる漁業へ

 水産加工の現場では、年々減少する漁獲量の問題も深刻だ。無添加での加工に欠かせない質のいい原料も手に入りにくくなっている。
 こうした状況を打開するため、ようやく今年から国の主導による本格的な資源保護の動きが始まった。東しゃこたん漁協でも、ニシンの稚魚やサケの種苗を放流するなど、資源管理型の漁業を開始し、徐々に手応えを得てきている。「地形的に養殖が難しいという課題はあるがその中でも可能性を探っていきたい」と同漁協の田口さんは言う。
 近年は、生活排水などの影響もあり海藻が消失する海の「磯焼け現象」もみられる。これでは養殖事業もうまくいかない。「海を豊かにするのは山。今後は森のことも考えていかないと」と田口さん。生活クラブ北海道が12年前に山の一部を購入し「古平の海をはぐくむ森づくり」として始めた植樹は、これからの漁業にとって心強い活動になる。「食べる人と共に、豊かな海と資源回復をめざしていきたい」と話す。


◆北海の恵みをまるごと、いただきます!

旬の素材を生のままつけ込む

 スケソウダラの産卵期は11月~2月、そのうち卵が一番質のいい成熟卵となるのは12月上旬の一時期だけ。それより早ければ未熟、遅ければ過熟卵となり、いずれもおいしいタラコにはならない。
 輸入品であれば魚卵を船上で凍結してしまうので1年中加工でき、添加物を使えば、未熟卵でも粒のぷりぷり感を出せるし過熟卵の皮を柔らかくもできる。だが、生のまま無添加でつくるには、いい魚卵が捕れる一時期に集中してつけ込むことが求められる。
 現在はこの時期に半製品にして凍結、その都度出荷する体制となったが、かつてはこの時期に一括して仕上げ、製造年月日を記載していたため、冬を過ぎると毎回のように「古いのでは?」という質問が寄せられた。

おいしいタラコの解凍法

 タラコは温度が高いとすぐ劣化するので、常温や熱をかけての解凍は禁物。冷蔵庫で一晩かけて自然解凍するのが望ましい。水産加工業「よ吉野」の吉野太朗さんは「タラコのおいしさは粒のぷちぷちとした食感。生で加工したおいしさをそのまま味わってほしいですね」と言う。

干物だけじゃない、ホッケの魅力

 北海道以外の人はホッケといえば干物を連想するが、北海道では鮮度のいいものは刺し身、一般には煮付けやフライなどで食べることが多い。東しゃこたん漁協の田口芳久さんのおすすめは消費材「ほっけフィレ」のバター焼き。浜のおばちゃんたちが手作業でうろこまでていねいに処理しているので皮までおいしく食べられるという。ほかには下記2品が人気のメニューだ。

ホッケのフライ★ホッケのフライ
 北海道ではフライといえばアジよりホッケ。「ほっけフィレ」を使えば下ごしらえも不要、手軽にホッケのおいしさを味わえる。
①「フィレ」を一ロ大に切り塩こしようする(軽く塩味がついているので好みで)。
②水気を拭き取って、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
③中温の油で揚げる。レモンを添えてどうぞ。

★ホッケのつみれ
 汁も北海道では一般的。ホッケからよいだしがでて、ホッケのつみれ汁冬にはうれしい、体があたたまる一品だ。具材は好みで。しょうゆ味でもおいしい。
①「ほっけフィレ」の身をスプーンで皮からこそげ取る。包丁で細かく刻んでたたく。
②①にすりおろしたショウガを加え、すり鉢ですり、塩、かたくり粉、酒を加える。
③鍋に昆布と水を入れ、沸騰したらすり身をスプーンで丸めながら入れる。
④火が通って浮いてきたら、みそを加え、白髪ねぎを添える。

 

『生活と自治』2014年12月号の記事を転載しました。

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