【あれから4年】第5回 福島でも独自の甲状腺検査が可能に
「3.11」から4 年が経ちました。生活クラブは食べることを通じて復興を後押ししようと、被災した生産者がつくる消費材の利用を進めています。また4次にわたる組合員カンパを行ない、それをもとにさまざまな支援活動を続けています。
連載5回目は、「福島の子どもと知る権利を守るための活動」として生活クラブふくしまが行なっている独自の甲状腺検査の取組みを紹介します。
(2015年4月6日掲載)
検査する病院が見つからない
「ていねいな説明を聞くことができ、本当にありがたいと思いました」と、郡山医療生活協同組合・桑野協立病院(福島県郡山市)で子どもが甲状腺検査を受けた組合員は安堵の表情を浮かべます。桑野協立病院は、生活クラブふくしまの要請を受けて、2014年9月から子どもの甲状腺検査を始めました。
子どもが健康に育つことは親にとって一番の願いですが、生活クラブふくしまの組合員は「目に見えない放射能が子どもに影響を与えていないか」との不安を抱えています。しかしこれまでは、福島県が実施する甲状腺検査(*)以外に検査をする病院が見つからない状態だったのです。
医師や病院の協力で念願の検査がやっと実現
桑野協立病院・事務次長の鹿又達治さんは「県内の病院には、県による甲状腺検査への遠慮があったようです。でも当院では検診できる医師がいたので、要請を受け入れました」と明かします。その医師とは神奈川県のさがみ生協病院の牛山元美さんで、「生活クラブ甲状腺検査活動2013 報告会」でもお話しいただいています。「ふだん勤務するさがみ生協病院では放射線被ばく関連健診を行なっており、生活クラブの検査活動にも協力しました。月に一度、桑野協立病院で診察するので福島でも検査することにしました」と当直明けにもかかわらず、牛山さんは笑顔で語ります。
福島の子どもと知る権利を守るための活動として、県民健康調査の改善要求や全国の生活クラブでの甲状腺検査活動の提案をすすめてきた生活クラブふくしまにとって、福島での独自の甲状腺検査は念願でした。理事長の大津山ひろみさんは「放射能問題は過去のことと考える人が多くなるなかで組合員は毎日の食事などに気を使い、孤立感や疲労を感じています。そのような時に検診を実現できたのはうれしいことでした。私たちはこれからも放射能問題に悩む組合員の気持ちを受け止めて、活動していきたいと思います」と話しました。
* 福島県では県立医大が中心となり、「県民健康調査」の一貫として子どもの甲状腺検査を行なっています。