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微生物が醸す、みそのチカラ

善光寺の門前町として知られる長野市にあるマルモ青木味噌醤油(みそしょうゆ)醸造場。微生物の力を生かす本来のみそづくりを追求する。

生きてるみそを届けたい

青木幸彦さん 「実は私たちにできることはあまりないんです」と笑うのは、マルモ青木味噌醤油醸造場(略称・青木味噌)杜長の青木幸彦さん。
 こうじ菌や酵母菌といった微生物が、ダイズやコメの成分を分解し、うま味や甘味、香りを醸しだすみそづくりの工程では、人間にできることは限られる。他の雑菌が入らないよう徹底した衛生管理を行いながら、日々発酵の具合を見極め、最適な環境整備に力を注ぐのみだ。
 同社品質保証室長の鈴木晴紀さんはその感覚を「子どもの成長を見守るよう」と表現。菌を大切に扱い、その力を引き出すことで、いいみそができあがると話す。
 こうして大事に育てた酵母菌は、みそとして出荷された後も活動し酵素をつくり続ける。
 「酵素が発酵食品独自の機能性を発揮するんです」と青木さん。万能調味料として近年注目を集める「塩こうじ」だが、青木さんに言わせれば「みそからダイズを抜いたのが塩こうじ」。「みそのほうがよほどおいしく機能性にも優れているのに」と苦笑する。
 みそ漬けに用いれば、塩こうじ同様、酵素が良材のタンパク質を分解しおいしくやわらかくしてくれるし、生きた酵母菌や乳酸菌を体内に取り込むことで、整腸作用など、体や肌の調子を整える機能も期待できるという。

非加熱か無添加か

 ところが近年、市場ではこうしたみそ本来の機能をもつ製品が減少しつつある。酵母菌は発酵し、炭酸ガスを発生させるので放置すれば容器が膨張してしまう。これを防ぐため、従来は微量のアルコール(酒精)を添加し菌の活動を休止させて出荷してきた。だが公正競争規約によれば、アルコールを添加したみそは「無添加」と表示できない。付加価値として「無添加」をアピールするため、出荷時に加熱殺菌処理を施し、容器の膨張を防いだみそが増えているという。
 また、だし入りみその場合は、熱処理せずに酵母菌が生きていれば、酵素がだし成分を分解してしまうため、殺菌が前提となる。
 現在市場では、だし入りみそが約2割を占め、加熱殺菌処理した製品が3割前後を占める。
 「せっかくの菌を殺してしまえば機能性は低下します。それを同じ機能性のある発酵食品とアピールしていいのでしょうか」と青木さんは問いかける。
 さらに問題なのは、加熱処理については明らかにされず、表示をみても非加熱かどうかわからないことだ。
「健康を気にして無添加の製品を選択しても、そのみそが加熱殺菌されていることが多いのです。アルコール添加の非加熱みそと無添加加熱殺菌みそのうち、食品としてどちらがいいかといえば、私は前者だと思います」
 無添加で加熱処理しないみそも数少ないが流通している。これを流通させるには、1個十数円するガス抜きバルブがついた容器を使用するなどの対応が必要となる。
 生活クラブの「天然醸造100%こうじみそ」は出荷から配送まで一環して冷蔵とすることで、無添加・非加熱を実現した。こうした製品はほかに例がなく「時間をかけて菌が醸した本物の香りとみそ本来の機能を堪能してほしいです」と青木さんは言う。

確かな連携の中で

みそは地域性が強く、品質の善し悪し以前に好みの違いが大きく出る食品だ。多様な個性を楽しめる一方、日本農林規格(JAS)に規定がないなど、品質については統一した基準がつくられてこなかったという事情もある。
 「国産原料でもピンからキリまで。同じ国産品でも価格差が出る理由を明らかにしたいし、そのためにもっと消費者にわかりやすい基準や表示をつくっていきたいですね」と語る。もともと身近な材料でできるため、原料となるダイズやコメにこだわる生産者は少ない。それでも「やはりみその味や風味には原料の質が大きく影響する」と青木味噌では原料の品種や産地にこだわり、有機国産の原料を理想に掲げる。
 その根底には、みそは和食の基本という素朴な思いがあり、国内の農業やそれに従事する人たちがあっての原料確保という考えがある。特に近年は、穀物事情、国際情勢の厳しさから、直接話ができる関係性の中で原料を調達することの必要性、重要性を実感するようになったという。
 長野県内の生活クラブ提携生産者と組合員で構成する「ぐるっと長野地域協議会」が、青木さんの構想を一歩前進させようとしている。現在、青木味噌では、原料の加工用米を、ながの農協(JAながの)などから調達する。「同じ思いの生産者が地域にいることを意識し少しずつ広げていきたい」と青木さん。県内の生産者でつくる新たな消費材開発にもチャレンジしていく予定だ。


◆みその力を手軽に楽しむ
牛肉のみそ漬け
みそ漬けこそ、みその醍醐(だいご)味
  みその用途といえば、みそ汁を真っ先に思い浮かべるが、かつては肉や野菜を保存するための漬け床の用途も多かったという。だが、加熱殺菌すれば酵素は壊れ分解機能は発揮されない。加熱殺菌したみそが出回るようになった結果、みそ漬けにしてもうま味もなくやわらかくもならないと、みそ漬け自体が、あまり行われなくなってしまった。マルモ青木味噌醤油醸造場(青木味唱)社長の青木幸彦さんは「みそ漬けがつくれないみそはみそとはいえないと思うんです。本来、みそはもっと多様に便えます。加熱殺菌みそのおかけで用途まで限定されてしまったのは残念と言う。

みそ汁も風味を生かして
品質保証室長の鈴木晴紀さん 加熱調理でみその酵素は壊れてしまうのだろうか。同社品質保証室長の鈴木晴紀さんは「みそ汁など短時間でみそを溶くくらいでは菌は死にません。ただみそを入れたら極力火は通さないほうがいいですね」と言う。「みそ汁はみそを入れたら煮立たせない」という料理の基本は多くの人が知るところ。これには風味を損なわないと同時に菌を殺さないという意味もあるようだ。「できればいったん火を止めてからみそを入れるほうが望ましい」と青木さんもアドバイスする。

簡単みそ漬けレシピ
牛肉のみそ漬け焼き
①ラップにみそを薄く塗り広け、牛肉を並べ、上にもみそを塗りつけ、ラップで包むようにして密閉容器に入れ冷蔵庫で、1~3日おく②肉の表面のみそを拭い、魚焼きグリルなどで両面をこんがりと焼く。

簡単みそ漬け
一日一杯 元気の源①食品保存用チャック付きポリ袋にみそ500グラムとパン粉120グラムを入れ、均一になるようによく混ぜ合わせる②キュウリなど好みの野菜を漬け床から出ないように漬け込む。冷蔵庫で約1日半、寝かせれは出来上がり。

酵素の生きたみそ汁をお手軽に
 生活クラブ群馬の消費委員会で定番の一品が、自家製の生みそインスタントみそ汁。一人分材料は、みそ(大さじ1)、刻んだネギ、かつお節、ゴマ(適宜)を全部混ぜ合わせ、丸めてラップに包む。ラップから取り出し器に入れ150ミリリットルの湯を注げばできあがり。忙しい朝や弁当などにも最適。乾燥ワカメなどを入れても。
 

『生活と自治』2015年5月号の記事を転載しました。

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