国産完熟トマトをシーズンパック! 組合員が原料生産に参加した「信州トマトジュース」製造の様子を紹介
生活クラブ消費材の「信州トマトジュース」「信州トマトジュース食塩無添加」は、長野興農(株)が製造しています。トマトが一番おいしい時期に収穫、搾汁し、缶に詰めるシーズンパック製法なので、8月がまさに製造真っ盛り。収穫された完熟トマトが次々と搬入される工場の様子を紹介します。
※原料の加工用トマトは組合員が定植や収穫に参加して生産されています。収穫の様子はこちらの記事をご覧ください。
工場フル稼働でトマトジュースを生産
長野興農(株)は、長野県内3ヶ所の生産拠点で野菜・果実飲料やレトルト飲料、農産加工品などを製造しています。生活クラブ消費材は「野菜ジュース」の製造から始まり、1981年からは長野県飯綱町産・信濃町産などの加工用トマトを原料に指定した「トマトジュース」を製造しています。
製造最盛期のトマトジュース製造ラインの様子を紹介します。
■洗浄
工場に搬入されたコンテナいっぱいの完熟トマトは、最初に洗浄されます。収穫時に完熟しているので、すぐに製造ラインに乗せなければならず、この時期は時間との闘いだそうです。
■トリミング
洗浄されたトマトは、傷んだ部分を除去(トリミング)します。どんなに機械化されてもこの工程は人の目と手が必要。大変な作業です。
■粉砕~調合
トマトはハンマークラッシュで粉砕され、遠心分離機とふるいで種や皮を取り除き、タンクで調合されます。この工程での液の温度は約97℃。高い室温の中でのチェックが欠かせない重労働となります。
■充填~殺菌
約120℃の高温で殺菌したジュースを缶に充填、密封します。1分間に700~900本もの高速処理ができる機械で、次々製品が送られていきます。ラインを流れるあいだに少しずつ製品は冷やされ、出口では40℃ほどまで下がった状態になります。
■印字~製品チェック
ブロワーで缶の底の水を飛ばし、製造年月日などを印字します。印字のチェックは厳しく、少しでも文字に欠けなどがあるとはじかれます。この後缶は上下を回転し、水を使った機械で飲み口のチェックをします。*左下写真
■梱包~倉庫へ
きれいに並べられた缶は段ボールで梱包され、自動化されたラインに乗って順次倉庫に送られ、出荷の時を待ちます。
「おいしかった」と言われる喜びを感じながら国産トマトジュースを作り続けていきたい
生産部長であり長野工場長である宮坂俊之さんに、お話を伺いました。
宮坂さん 原料トマトがどんどん入ってくる8月は工場もフル稼働。24時間体制で製造ラインを動かし、1日数万ケースを製造しています。繁忙期はお盆休みもわずかしか取れず毎年大変ですが、何十年も続けていることなので、慣れている者も多く大きな苦労はありません。
私たちの悩みとしては、やはり工場の働き手の確保が難しいことでしょうか。季節によっておおぜいの人手が必要なのですが、人集めには苦労しています。また原料確保の面では、トマト農家の後継者不足も大きな問題です。生活クラブをはじめに、国産トマトジュースの需要は大きいのですが、加工用トマトの生産農家は年々減っているのが実情です。原料の量を増やすことがなかなかできないでいます。そうした中で、生活クラブの組合員による定植と収穫作業への「労働参加」があることは、作付面積の維持の確実な力になっています。
今年は雨が少なくトマトにはよい天候だったので、糖度が高くおいしいトマトジュースが期待できます。製品を作る者としては、「おいしかったよー」と言ってもらえるのが一番の喜びです。その声を聞くと疲れが取れるしホッとしますね。国産トマトジュースの火を消さないためにも、作る私たちと飲んでくれるみなさん、互いに協力して活性化していきたいものです。製品づくりには日々努力しているので、ぜひおいしく飲んでください。
国産トマトの生産を支え、生産者と消費者の交流も
生活クラブ組合員の「労働参加」について、参加者と生産者双方のサポートを行なっている雪印メグミルク(株)の向野真一郎さんにもお話を聞きました。
向野さん 「信州トマトジュース」は、私たち雪印メグミルク(株)が提携生産者として生活クラブへ供給しています。組合員のみなさんの「労働参加」にも事務局として同行しサポートする実務を行なっています。
飯綱町だけでなく日本の農業全体の課題ですが、高齢化・後継者問題のために農地があっても耕作できない場合があります。特に加工用トマトの収穫作業は重労働なので、農家の方々も生活クラブのみなさんの「労働参加」を非常にあてにしてくれています。単なる援農ではなく労賃を支払っての参加で、その経費も製品価格に含まれるという仕組みは、他にはないもの。根本的な解決とまではなかなかなりませんが、日本の農業を守る活動として非常に有意義なものではないかと思います。
農家の方々は、組合員のみなさんの力を必要としています。「労働参加」は、農業最前線の生産者(農家)、JAながの(営農指導)、製造元(長野興農)、および弊社(雪印メグミルク)のそれぞれが、組合員と直接交流できるすばらしい機会と考えます。ぜひ今後も多くの方々に参加いただければと思います。
【2016年9月28日掲載】