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長崎の煮干しに 注目してみました!

生活クラブが共同購入する煮干しは長崎産と京都産。毎年9月から翌年5月にかけては長崎県漁協同組合連合会(長崎県長崎市)の「カタクチイワシ」「ウルメイワシ」「マイワシ」を使った煮干し、6月から8月までは京都府漁業協同組合(京都府舞鶴市)の「カタクチイワシ」の煮干しを供給する。今号では長崎産煮干しに注目してみた。

思うようにとれない小イワシ

水揚げした小イワシ類をすぐにゆであげ、乾燥させて仕上げる煮干しづくりは、常に時間との勝負が要求される。漁期は毎年5月から8月で、最盛期とされる7月末に長崎県長崎市に取材に入った。

長崎県漁業協同組合連合会(長崎県漁連)の委託を受け、生活クラブが共同購入する煮干しを生産する「タイレイ」代表取締役の小野博之さんは「いつ船が帰ってきても対応できるようにと、漁期には常に人を待機させる体制をとっているのですが、いささか今年は拍子抜けです」と苦笑する。

思うように小イワシ類がとれないのは、ここ数年来の傾向だが、今年は7月になるとほとんど原魚が入ってこなくなってしまったという。それでも「せっかく来てくれたのだから」と、一連の作業工程について、実際に機械を動かしながら説明してくれた。

タイレイの加工場は19トンの巻き網漁船が横着けできる長崎港の岸壁にある。このため、接岸した漁船の船倉にフィッシュポンプと呼ばれる吸引装置のホースを差し込み、短期間で選別機に投入できる。サイズ分けされた魚は長方形の「セイロ」に移され、セイロはチェーンに釣り上げられ、ボイル槽に運ばれる。

「90度から100度に熱した海水で炊きあげるのが長崎の煮干しづくりです」と小野さん。原魚の状態や気象条件によって、釜のなかの海水の温度やゆで時間だけでなく、乾燥温度や乾燥時間を調整しなければならない。

「魚が入ってくるのが夜明け前から早朝ですから、どうしても敬遠されがちな仕事です。最近は働き手の確保にも苦労しています」
乾燥を終えた学校給食用の煮干しの選別が行われていた。ベルトコンベヤーの上を素早く流れていく煮干しに目を凝らし、白衣姿の女性たちが型崩れしたものや色合いの良くないものを的確にはじいていく。

「この段階では、まだいろいろな魚種が交ざっています。ここからカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシだけを選別したのが生活クラブの煮干しですが、どれが何イワシかわかりますか」と長崎県漁連長崎漁港加エセンターの兵藤彰さん。種別の特徴を教わり、目の前を流れていく煮干しに目をこらしてみたが、残念ながら確実に言い当てることはできなかった。

*長崎県漁連共販所で行われる入札で煮干しの仕上がり具合をみる商社の担当者。この段階では魚種も大きさも「無分別」。その後、同漁連加工センターでふるいにかけて分別(写真右)、パック詰めして冷蔵庫で保存する

平均年齢70歳を超える生産者

水産庁の「漁業・養始業生産統計年報」によれば、2012年におけるイワシ類を原料とする煮干しの国内生産量は2万トン。うち5000トンが長崎県産で、その9割を長崎県漁連に加入する10漁協の約100事業所が生産する。

これらの煮干しは段ボールに詰められ、商社入札が行われる同漁連の共販所に「無分別」の状態で搬入される。

共販所の入札会場には最大7レーンが設置でき、入荷量が多いときには段ボール入りの煮干しが全レーンにびっしり並ぶという。だが、取材当日の入札は2レーンを使うのみ。「漁業は自然相手ですから、仕方がないと思っていますが、それにしても……」と兵藤さんが表情を曇らせた。

入札を待つ「無分別」の煮干しには小イワシ類をはじめ、小型のイカやサバ、アゴ(トビウオ)などが数多く交ざっている。網に入った魚を無駄にせず、保存性の高い食材に加工して大切に食べていこうとする漁業者の知恵を感じさせる風景だった。

生活クラブではカタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシだけを分別した煮干しに加え、小型のスルメイカや剣先イカの煮干しを共同購入。インターネットを使った数量限定方式で組合員に供給している。

煮干しの取引価格は「分別」「無分別」「粉末用」の順に安くなり、粉末用にも使えない評価を受けた場合はペットフードの原料に回される。その価格は分別されたものの10分の1ほどにしかならないという。

長崎県漁運共販所では、煮干しを出荷した漁業者が入札者の提示した価格に対し、「受け入れ不可」の意思を提示できる保留権を認めるなどして、煮干しの値崩れを防ぐ措置を講じている。

「自分で漁に出て、煮干しを生産する漁業者の平均年齢は70歳を超えています。頑張って漁に出ても魚がとれない、とれても魚の状態が芳しくなくて、いい煮干しができないとなれば、廃業を決める人が増えても不思議はありません。将来的にどうなるのかと不安が募ります」(兵藤さん)

*写真:中央が長崎県漁業協同組合連合会の兵藤彰さん

*分別された煮干し

「本当に煮干しだけ?」

生活クラブが長崎県漁連と提携し、煮干しの共同購入を始めたのは1981年。当時、市販されていた煮干しには食品添加物の「BHA」が使われていた。BHAの正式名称は「ブチルヒドロキシアニール」。煮干しの変色や食味の劣化要因となる小イワシの脂肪分が酸化するのを抑え、商品価値を損ねないことを目的に1960年代中ごろから使用が一般化されていた。

そんな「業界常識」への疑問から生活クラブはBHA不使用の煮干しの開発を目指した。だが、煮干しの生産流通経路は複雑で、流通段階での保存期間が長くなるため、酸化する可能性が高かった。あえてリスクを冒してまでBHAなしで煮干しをつくろうという生産者はいなかったという。

そうしたなか、生活クラブは提携関係にあった三重県漁業協同組合連合会(本部・松阪市)の販売会社「みえぎょれん販売」の紹介で、いち早くBHA不使用の自主基準を導入していた長崎県漁連の存在を知り、煮干しの共同購入を実現した。

その1年後の82年、名古屋市立大学が「BHAに発がん性の恐れ」と発表。厚生省(当時)は翌83年にBHAの使用禁止に踏みきり、その適用対象を輸入食品にまで拡大している。

「当時、生活クラブの組合員は生産者と自分たちが力を合わせてつくりあげた消費材として、煮干を誇りに思ってくれているのがわかりました。自信を持って周囲に勧め、料理講習会などの場でも、煮干しを使っただしの取りかたを熱心に紹介してくれたものです。それが私たちの励みにもなりました」と話すのは、長崎県漁連営業部長崎営業課長の松浦洋一郎さんだ。

ところが、先般聞かれた生活クラブとの交流会で、煮干しを使ったみそ汁を試食してもらったところ、「本当に煮干しだけですか?」「煮干しだけで、こんなにおいしくなるの!」と感激され、うれしい反面、「もはや煮干しの味は忘れられたのか」とさみしい思いもこみ上げてきたという。

おわん1杯分のみそ汁のだしをひくには煮干し3~4尾が適量で、鍋などに張った水に前日から浸しておくなら、必要分量をそのまま入れるだけでよく、沸騰したお湯に入れる場合は頭とはらわたをあらかじめ取り除いたほうがいい。

「それだけで風味豊かなだしがとれます」と松浦さん。

35年前は200グラム390円。いまは同量で425円(税別)の長崎県漁連の煮干しは、リーズナブルで「物価の優等生」の1つといえるだろう。その煮干しが長崎県内にある多くの島々の浜辺の暮らしを支えているのも頭の片隅にとどめておきたい。

*写真上:長崎県漁連の松浦洋一郎さん

*写真:長崎港での鮮魚の競りと水揚げ風景


◆消費材の活用法

煮干しにダイエット補助効果?

撮影/魚本勝之 文/本紙・山田 衛 


「親御さんに感謝しなさいよ」と治療に通っている歯科医が言う。「とにかく歯槽骨がしっかりしている。子どものころの食生活のたまものですよ」としきりに感心されつつほめられて、正直なところ戸惑った。

歯科医にほめられるのは生まれて初めての経験だし、子どものころの食生活がよかったといわれても、とりたてて心当たりがなかったからだ。その後、あれこれ考えていくうちに、牛乳と煮干しのおかけではなかろうかと思い至った。

とにかく牛乳は親によく飲まされた。育ったのが海辺の町だったせいか、みそ汁のだしは煮干しが定番で、小腹がすけばおやつ代わりに煮干しをつまんだ。それが良かったのだろうし、目いっぱいの陽光を浴び、戸外で遊ぶ機会が多かったのも幸いしたに違いない。

200グラムの牛乳には220ミリグラムのカルシウムが含まれ、適度な運動をした後で牛乳を飲めば効率よくカルシウムが摂取できるという話はよく知られている。

しかし、最近ではさまざまな理由か牛乳を飲みたくても飲めない子どもが増えているのが現実のよう。

ところが、皮肉なことに子どもに不足しがちな栄養成分の筆頭がカルシウムとされ、その対策として子ども向けのサプリメントまで開発されている。子どもの健やかな成長を願う親心を思えば、むげに否定もできないが、頼るべきはふだんの食事と考えるのが、やはり妥当ではなかろうか。

そこで注目したいのが煮干しだ。100グラムの煮干しには2200ミリグラムのカルシウムが含まれ、カルシウム摂取効果を高めるビタミンDも同時に補える。さらに脳の働きを助けるとされるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も摂取できる。こうした健康増進効果をうたった「食べる煮干し」が、健康食品として100グラム1000円前後で販売されている。一方、生活クラブの「食べるいりこ」なら110グラム460円(税別)で購入できる。

健康増進効果だけでなく、煮干しにはダイエット補助食品としての効果もあるという。食事制眼中に空腹を感じたら、煮干しをおやつにするのがいいそうだ。糖質や脂質、炭水化物を多く含んだ菓子類とは違い、煮干しの成分の6割はタンパク質で、かみ応えもあって満足感も得られる。だから食べ過ぎることもなく、「やせたい」と願う人にはうってつけの良材になるらしい。

一度試してみる価値はありそうだが、いかがだろうか。


『生活と自治』2016年12月号の記事を転載しました。

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