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ミニマムな選択で、心地よい住まいと暮らしを 尾崎友吏子さん ②

生活クラブのある暮らし Vol.7
2018.6.14

生活クラブの消費材をじょうずに使いこなし、家族も自分も心豊かにすてきな日々を過ごす。そんな毎日を実践されている生活クラブの組合員にお話をうかがい、消費材を暮らしの中で活かすコツやアイディアも紹介する連載です。


ブログ「cozy-nest 小さく整う暮らし」で大人気、尾崎友吏子さんのお話の第2回めです。

「やること」と「やらないこと」を決める

――仕事も持つワーキングママは、みなさん時間を作り出すのに苦労されてます。尾崎さんの場合はどんな工夫をされてますか?

以前はフルタイムで勤務していて、毎日が綱渡りでした。その日やることで精いっぱい。近くに身内もおらず、子どもが熱を出したりすればお手上げです。子育てを楽しむ余裕はありませんでした。3人目が生まれた頃は家事量も最大。そこで「何のため」「誰のため」「なぜ」家事をするのか?といったことを洗い出して、「やること」と「やらないこと」を決めました。

働き方も変えました。次男が生まれてからはもっとゆとりを持って暮らしたいと考え、仕事の時間を2時間減らしました。それだけで、子どもと向き合う時間が無限大に増えたように感じました。長男が小さい頃は「早く大きくなってくれないかな」とか「一人の時間がほしい」と思っていましたが、過ぎてしまえば実際はあっと言う間でした。

欲を出せば、仕事も、育児も、家事も、私の時間も全力で過ごしたい。でも、時間には限りがあります。小手先の「時短術」も大事ですが、それで作れる時間は知れています。やることが多すぎては、大切なことが十分にできる時間が取れません。過ぎたからこそ言えるのですが、子どもと過ごすのは私にとって、「今」しかない大切なこと。決して過去に戻ることはできないんです。まだ子どもが小さいうちは、子どもの成長を楽しむ生活を楽しみたいなと思っています。

食材の質がよければ、調理はシンプルでOK

――毎日の食卓のことで、「やること」と「やらないこと」の仕分けはどのように?

時間に余裕のある週末に作り置きをします。平日の夕食のしたくは最短15分。おかずは8割から9割作ってあるので、盛り付けや温めがメインです。また、月曜から金曜はおおむねメニューを決めています。何曜日がカレーで、何曜日がパスタとか。同じ時間にみんながそろう日は揚げ物、冬の日曜はお鍋、というように。マンネリ上等です(笑)。

以前、海外に住んでいたときに気がついたのですが、日本人って毎日入れ替わりの世界各国のごちそうを3食食べているなあ、と。献立を考えるのも、料理をするのも、器をそろえるのも大変ですね。旅行先でもそれは思うことがありますが、大抵の国では食事がとってもシンプルなんです。昭和初期ごろまでは日本の食卓もシンプルでした。実際は、同じ食材を使って料理しても、味付けを変えるだけで飽きずに食べられるものですよ。

冷凍しても味が落ちにくいものは2~3倍の量を作っておいて、すぐに使える「準備菜」として保存します。野菜も毎日食べさせたいけど、下ごしらえが面倒ですよね。そこを時間のある時に洗っておく、切っておく、下味をつけておく。スーパーに売っている「パック野菜」や宅配の「夕食セット」などからヒントを得ました。和え物など、食べる直前に作った方が美味しいものは、一歩手前まで作っておく、というような格好でしょうか。

お酢をわりとよく使いますね。生活クラブの米酢一本で甘酢づくりからお掃除まで使えます。お弁当のごはんにもほんの少し加えるとご飯が傷みにくいんです。もちろん「真塩」「素精糖」も欠かせません。

料理の腕はそこそこでも、おいしく作れてしまうのが生活クラブの食材のよさですね。素材が良いとそれほど手間をかけなくても十分おいしい食卓づくりはできます。たとえば豚肉ひとつとっても、野菜炒めに少し加えるだけで旨みが出るので、調味料は塩こしょう、みりんと醤油などシンプルなもので十分。調理に時間をかけると愛情もたっぷり、という思いこみにもなりがちですが、素材選びで愛情を示すこともできます。

基本の形さえ決めておけば、悩むこともなく、日々繰り返して続けられます。どんなに素敵なお料理でも、日々続けられないやり方は家庭料理にそぐいません。

――たしかに、毎日毎日特別なお料理なんて作れませんよね。

毎日続けるために大事なことは、手に入りやすい食材で工夫すること、複雑な調理法でないこと、そして値段も高すぎない、子どもたちも喜ぶとか、そういうことでしょうか。「インスタ映え」する見かけ重視のお料理も素敵ですが、わが家の場合は味が優先です。

おいしいは「美味しい」と書きますが、「味が美しい」ことを大切にしています。これがいいとかあれが正しいとか、いろんな情報に左右されすぎず、食べ方も自分で判断して選ぶことが大切だと思っています。

――離乳食もつくらないことにした、と書かれていましたね。

大人の食事をきちんと作り、それを取り分ければ済むことです。長男の時は、母乳のためによいと言われる食事内容に気を配ったり、全て手づくりが良いと信じていてせっせと離乳食を作っていました。がんばって作っても食べてくれず「せっかく作ったのに」とイライラも経験していたので、次男の時からは考え直しました。

大人の食事さえちゃんとしていれば、別に子ども用にわざわざ作らなくてもいいんです。食材や調味料も安心できる材料でそろえていたので不安はありませんでした。

――たとえばどんなふうに?

お味噌汁はだし汁をとり、少量のお味噌を入れて取り分けて、あとは大人の分のお味噌を追加する。いりこや昆布なら入れるだけで美味しいだしが取れます。いりこは一緒に食べちゃえばいい。教科書通りの料亭向けのだしのとり方をふだんの家庭でまねしなくても、美味しくて続けられる方法でいいんです。

離乳食のためだけに作っていないので、食べてくれなくても「せっかく作ったのに」なんて思いません。おかゆを炊くときも「離乳食」「赤ちゃんのため」とは考えず、週2回家族全員朝におかゆを食べるわけです(笑)。そんなに急いでいろんなものを食べさせなくても、味覚ができあがる3歳ごろまでにゆっくり追加していけばいいかっていう感じでした。

わが家は長子と末っ子が10歳離れているんですが、10年も開きがあればろいろ変わるんですよね。前はそれほど聞かなかったのに、今はやたらともてはやされる食材もあれば、「健康によい」と言われていたことも、逆によくないことになっていたり。そのときどきの流行には振り回されすぎない方がいいと思います。特に食べ物は、自分で考えてしっかり選んで、家族の体調や好みに合っているものを選ぶのがいいと思います。

*尾崎さんのお話は次回が最終回です。

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◆尾崎友吏子さん プロフィール◆
ブログ「cozy-nest 小さく整う暮らし」主宰。大阪でお子さん3人とご夫婦での5人暮らし。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。
著書
『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(2016年、KADOKAWA)
『3人子持ち働く母の「追われない家事」』(2017年、KADOKAWA)
『時間とお金にゆとりができる「小さな家」』(2017年、誠文堂新光社)
他 雑誌記事等多数
ブログ「cozy-nest 小さく整う暮らし」
http://www.cozy-nest.net/
2018年3月、TV番組「カンブリア宮殿」で生活クラブが紹介された際のご感想をブログに書いてくださいました。
http://www.cozy-nest.net/entry/seikatsuclub180309

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