「生活クラブ・福祉のしごとセミナー」を開催 生活クラブの福祉事業を担う仲間づくりを進めています
2月25日、東京・世田谷区の「生活クラブ館」で「生活クラブ・福祉のしごとセミナー」が開催されました。主催は、生活クラブの活動が母体となった3つの社会福祉法人です。地域に開かれた市民参加型の取り組みを進める生活クラブの福祉事業への理解を深め、事業を共に担う仲間を増やすことをめざして企画されました。福祉関連の仕事に関心を持つ方々に広く呼びかけ、約30人が集まりました。
各地に広がる生活クラブの福祉事業
生活クラブは、より暮らしやすい地域づくりのために、高齢になっても、障がいを持っても、誰もが住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることを支える福祉の仕組みづくりをめざしています。食の安全や環境への取り組みをきっかけに、生活クラブの共同購入運動を中心に活動する組合員にとっても、これからのライフスタイルをトータルにとらえる上でも大切な視点です。
各地の生活クラブの活動から生まれた福祉関連の事業所は全国で834カ所にのぼります。生協の活動を通したつながりを基盤に、社会福祉法人、ワーカーズ・コレクティブ、NPO法人などの多様な形態で活動しています。それぞれが地域のニーズに応え、「おたがいさま」の支え合いを出発点に、社会の課題を先取りした高齢者支援・子育て支援・障がい者支援・生活困窮者支援など、多面的な福祉事業を展開しています。
生活クラブグループの福祉関連事業者による総事業高は166億7,215万円、利用登録者は69,203人、働くメンバーは15,062人となっています(2016年度)(注)。これは日本の福祉分野全体においても屈指の規模です。
地域福祉をともに担う仲間づくり
こうした各地の事業体にとって、日々の地域福祉の担い手となる人材の確保は、これからの事業の展開にとっても重要な課題になっています。
そこで、生活クラブグループの3つの社会福祉法人「悠遊」(東京)、「生活クラブ風の村」(千葉)、「いきいき福祉会」(神奈川)が合同して、今回の「生活クラブ・福祉のしごとセミナー」が企画されました。生活クラブが進めている市民参加型の福祉をより多くの人に具体的に知ってもらい、一緒に働く仲間づくりを広げることが一番の目的です。
生活クラブの組合員やその家族、2018年度末に大学・専門学校・高校などを卒業予定の学生たちを中心に参加を呼びかけ、約30人が出席しました。「生活クラブ風の村」や「悠遊」で、この4月から福祉を担う仲間となる新卒入職予定者のみなさんも参加しました。
生活クラブがめざす地域福祉社会
セミナーでは、生活クラブ共済連常務理事の伊藤由理子さんが、生活クラブが福祉事業に取り組む意義と現状について紹介しました。
「生活クラブが実践してきた《生活に必要な材をつくる》《地域に必要な機能をつくる》《地域に人と人の関係をつくる》という活動を通して、地域福祉に関わる人が『対象』から『主体』になっていくことが重要です。それらを貫く原則が『生活クラブ福祉たすけあい8原則』です」
「悠遊」、「生活クラブ風の村」、「いきいき福祉会」の担当者もそれぞれの事業内容などを紹介し、「福祉」を生活クラブの消費材と同じように「くらしに必要なもの」ととらえ、「福祉の消費材」ともいえる「生活クラブ安心システム」を設立するなどの新しい取り組みについても詳しい説明がありました。
その後、参加者はグループに分かれて「地域で多世代の人たちが交流できる機能づくり」について提案をまとめ、発表するワークショップに取り組みました。
学生のグループからは「お花見や料理教室などイベントの開催、子ども向けの居場所づくりなどをする」などが提案されました。また、組合員のグループからは「近隣に集える場所をさがす。広報の仕方も工夫が必要」などの意見が出ました。福祉の仕事を自分の持ち場だけで考えるのではなく、地域の中にある課題に目を向ける発想をうながす機会となりました。
終了後、参加者から「生活クラブの福祉の全体像をとらえることができた」と感想がありました。また、各社会福祉法人への2018年度入職予定のみなさんにとっても、自分たちが働く福祉事業のバックグラウンドにある生活クラブを理解し、地域でひろがるさまざまな運動グループとのつながりを知る機会となりました。今後も同様のセミナーを開催し、「生活クラブの福祉のしごと」の意義を広く伝えていく予定です。
(注)生活クラブグループの福祉事業の規模は「生活クラブ Think&Act データブック2017」によります。こちらのページをごらんください。
【2018年4月11日掲載】