【放射能検査なるほどコラム】「生活クラブの放射能対策」子育てママ座談会
「きちんと検査されていて安心」「厳しい基準だから信頼できる」などの声
2011年の東京電力福島第一原発の事故から、もう少しで7年になろうとしています。今回は神奈川県の横浜みなみ生活クラブの組合員で子育て世代のママたちに集まってもらい、原発事故のとき小さな子どもを抱えてどんなことを感じていたか、生活クラブの放射能対策についてどう思うかなど、自由に話してもらいました。
●参加者・横浜みなみ生活クラブの組合員のみなさん
吉川さん(小6・年少の母/生活クラブ加入歴約6年)
三浦さん(小3の母/生活クラブ加入歴約1年)
沖村さん(年長の母/生活クラブ加入歴約6年)
安藤さん(小4・小2の母/生活クラブ加入歴約8年)
生活クラブ加入のきっかけと「3.11」のときのこと
[吉川さん]私は、生活クラブに加入したのがちょうど「3.11」の直前ぐらいでした。普段は細かいことはあまり気にしないタイプなのですが、原発事故が起こって放射能汚染があったときに生活クラブに入っていたのは、今思うととてもラッキーでした。生活クラブに加入していることで、食に関して正しい情報が受け取れるという安心感があったので。事故直後は特にそうでしたね。
[沖村さん]うちは親が昔から生活クラブに入っていて、私が結婚したときに「あなたもちゃんと生活クラブに入りなさい」なんて言われていたんです。でも妊娠したりで入りそびれていたときに起きたのが「3.11」。妊娠中だったのでその前から食品の添加物などはずっと気にしていたんですけど、放射能汚染も気にしなくてはいけなくなって、本当に不安でしたね。それがきっかけですぐ生活クラブに入ったんです。
[三浦さん]震災当時は子どももまだ2歳前ぐらいだったので、放射能汚染は本当に怖かったですね。食のことはすごく気をつけてたし、ガイガーカウンターを使って自分で放射線を測ったりもしていました。でもその頃はまだ生活クラブには加入していなくて。というのは、そのときは今よりも時間的にも余裕があったので、まずは自分で、食べるものや買うお店を選ぶ生活をしようと思ったからなんです。お友達には組合員の人もたくさんいたので話はずっと聞いていて、私も1年ほど前に加入しました。仕事が忙しい中、短い時間で食事の支度をしないといけないということもあり、生活クラブなら納得できると思いました。
[安藤さん]夫の母が生活クラブの組合員だったので、すすめられて、結婚とほぼ同時に約10年前に加入しました。途中2年ほど海外にいたので実質8年です。大学院で原子力政策の勉強をしていたこともあり、原発事故が起こったときはものすごくショックでした。子どもはまだ3歳と1歳ぐらいで、どうしたら子どもを守れるか?で頭がいっぱいでしたね。
生活クラブに加入していたから安心できた面も
[吉川さん]事故当時は放射能に関する知識もあまりなかったし、情報も少なかったから怖かったですよね。国の発表やテレビのニュースもあまり正しいことを伝えていないと感じられました。子どもを外で遊ばせるのもみんな控えてたから公園にも誰にもいなくて、洗濯物も外に干せなかったりした覚えがあります。
[三浦さん]テレビの情報は鵜呑みにしなくなりましたよね。それよりも、地道に放射線量を測って報告している人のブログとか、情報を自分から探すようになりました。
[沖村さん]事故直後は、食品の放射能汚染が心配でお店で何を買うか悩んだり。それがかえってストレスになってお腹の子どもに悪いのでは?と思っちゃうこともよくありました。生活クラブに加入して、ストレスが減ったし少し気持ちが落ち着きましたね。もし生活クラブに入っていなかったら、買い物のとき店頭で悩む時間がずっと続いていたと思うので。
[安藤さん]毎日不安は尽きませんでしたが、生活クラブのものなら一番安心できる、と考えて利用していましたね。
放射能対策への信頼感
[三浦さん]生活クラブの放射能検査は、産地ごとに細かく調べているのがいいですよね。あと、生鮮品だけじゃなくて、加工食品についてもきちんと調べているというのは安心です。事故直後は私も食品の放射能汚染の数値を自分で調べたりもしていたんですが、今はなかなかそこまで時間をかけられないので、注文用紙と一緒に毎月印刷されたニュースで検査結果が手元に届くのは助かります。
放射能検査ニュース
[沖村さん]逆に私は生活クラブ以外をあまり知らないので、他のところはここまできちんと測ってるのかな?と思っちゃいますね。どうなんだろう?
[吉川さん]放射能検査もいろいろあると思うんだけど、生活クラブは検出下限値(※)が厳しいし、検査体制自体もしっかりしているところが信頼できると思ってます。放射能検査数も他より圧倒的に多いんですよね。
(※測定において検出できる最小値で、いわば放射能検査の精度を表すもの。)
国と生活クラブの自主基準値の比較表
セシウム134と137合計値 単位:Bq/kg
[安藤さん]3.11の直後、放射能への関心は国全体でわーっと高まったけど、今はそれがすっかり引いてしまって「何ともないよね」という雰囲気になってしまっていますよね。でも生活クラブは今でも徹底的に、ここまでやれば安心でしょっていうレベルで調べてくれているので安心できます。このあいだ、届いた放射能検査ニュースを見ていたら、30年以上前のお茶からチェルノブイリのときの放射能を検出したニュースが載っていて(放射能検査なるほどコラム Vol.13「チェルノブイリ事故から31年 当時のお茶を検査しました」を参照)、30年以上前の放射能でもまだ残っているんだから、福島原発の事故の放射能もずっと気にしていかなければいけないなと改めて思いました。
[吉川さん]私は生活クラブの組合員理事をやっているので、生活クラブの放射能対策が、例えば「検査の検出下限値が厳しい」とか「乳幼児向けのすくすくカタログに掲載する食品は『不検出』を基準にしている」とか「ゲルマニウム半導体検出器を導入している」とか、そういうことまで知っているんだけど、組合員でもそこまで知らない人もいますよね。
[三浦さん]えー、すくすくカタログって「不検出」が基準なんですか?知らなかった!知らない人いっぱいいると思いますよ。もっとアピールすればいいのに(笑)!
[沖村さん]そういう生活クラブならではの放射能検査のいいところは、一番よく見るカタログの表紙にどーんと載せたりしたほうがいいですよね(笑)。
生活クラブの姿勢や方向性にも共感
[沖村さん]私もそうだし子育てママは日々忙しくて、放射能のことも食の安全のことも流れていっちゃうところがあるので、そこを生活クラブが気づかせてくれるのはありがたいなっていつも思います。食品の放射能検査もそうだし、例えばこの間、横浜みなみ生活クラブ主催の「日本と再生」という自然エネルギーについてのドキュメンタリー映画の上映会があり、組合員以外の人にも広がりのあるような、そういう活動を率先してやってくれるのはすごい力になると思うんですよね。
[三浦さん]私も、原発事故後、福島の方たちを保養に迎える活動を小さな規模でやっているんですが、保養活動って資金もボランティアも足りなくて、続けていくのが本当に大変なんですよ。そんな中、生活クラブの各地域生協でも保養を企画しているところがあって、生活クラブみたいな母体の大きいところがやってくれるのは本当にありがたいし頼もしいなと感じます。
[吉川さん]生活クラブでは、食の安全についてなどいろいろな勉強会があるので、そういう勉強会に出ると正しい知識が得られるし、横のつながりもできて視野が広がりますよね。事故のときにあれだけ実感した原発の怖さも世間ではすっかり忘れてしまうような風潮があって、自分もそれに流されそうになるけど、生活クラブの活動に触れていると忘れちゃいけないなとあらためて思うことができます。
[安藤さん]放射能検査などの活動とともに私が嬉しいなと思ったのが、生活クラブが電気の共同購入を始めてくれたこと。原発事故後、脱原発の活動がしたいなと思っても具体的に自分に何ができるんだろう?と思ってたので、再生可能エネルギーを使った電気の共同購入が始まると聞いたときはものすごく嬉しかったです。
[沖村さん]普段なかなかママ友とそういう話題になることは少ないけど、原発の怖さとか食の安全とかを気にしているママはけっこういると思うので、そういう人に生活クラブのことをもっと知ってもらえたらいいですよね。
[一同]そうですね。
子育てをしながら原発事故後の不安と向き合い対策を工夫してきた様子が、みなさんの率直なお話からうかがえました。生活クラブは今後も、放射能検査をはじめとしたさまざまな対策を通じて、食の安全と安心を守ります。また、脱原発の活動や生活クラブでんきの共同購入などをすすめ、健康で安心して暮らせる社会をめざしていきます。
【2018年1月15日】