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生協の食材宅配【生活クラブ】
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「食料基地」庄内で、 わたしらしく暮らす



山形県庄内地方には生活クラブ連合会の13の提携生産者がいる。これらの生産者の参加による庄内協議会は、「食(Food)」「エネルギー(Energy)」「福祉(Care)」の自給を実現する地域づくりを始め、「食料基地」庄内で「生活協同組合庄内親生会」を設立、消費材の共同購入も開始した(本紙2018年4月号で紹介)。その一環を担う「庄内の福祉コミュニティ構想」の実現に向けて、生活クラブ連合会も酒田市のまちづくり構想「参加する暮らしに集うまち酒田」に参加していく。

庄内は豊かな食の生産地

食料基地、庄内

平田牧場や、JA庄内みどり、月山農場など、コメ、豚肉、農産物の生産地がある山形県庄内地方は45年以上にわたり、生活クラブの食料基地としての役割を果たしている。1973年より毎年、生活クラブの組合員が庄内地方を訪れる「庄内交流会」が開催され、のべ1万人以上が参加し、生産者との信頼関係を深めてきた。

その間、日本社会は少子高齢化の時代へとすすみ、地方の衰退が目に見えて現れてきた。庄内地方も例外ではなく、人口減少が続き、空き家が増え耕作放棄地が拡大している。生産者は高齢化し、新規就農者や後継者の減少も止まらない。将来、コメや農産物、安全で安心な加工品を作る生産者が減っていくことも考えられる。生活クラブの食料基地としての庄内の姿が変わってしまう可能性がある。

庄内でFEC自給

2015年、生活クラブ連合会は「第6次連合事業中期計画」のなかで「FEC*自給ネットワークづくり」を掲げた。それは消費材の主産地にも提案され、庄内地方の生産者は17年、食、エネルギー、福祉を可能な限り地域内で自給する仕組みを作る政策をすすめるため、「庄内協議会」を発足した。

生活クラブ連合会・生活クラブ共済連常務理事の伊藤由理子さんは、「今まで庄内は作る側、生活クラブは食べる側という役割分担がありました。交流はありましたがお互いの暮らし方や考え方を深く知っているわけではありません。生産者が同じ価値観を持つ人として改めて組合員と出会い、新しい関係を作り始めました」とこれからの長期的な展望に想いを巡らせる。

庄内地方がこれからも食料基地であるために庄内協議会が取り組んだのは、まず、生協を作り生産者が消費材を利用することだ。17年12月に「生活協同組合庄内親生会」を設立し18年4月より共同購入を始め、1年がたつ。現在組合員は約600名。庄内協議会の事務局長で生協庄内親生会の専務理事も務める齋藤三郎さんは、「生活クラブと提携を始めてから45年以上がたちました。生産者として、組合員が食べている消費材やほかの生産者が作るものを知って、同じ立場で生活クラブを語り合いたいと思いました。そこで消費材を利用する仕組みを自分たちで作ったのです」。提携生産者のマルモ青木味噌醤油醸造場や新生わたらい茶との交流会も開いた。「消費材を知ると、自分たちが作るものについても気配りができます。若い生産者にその価値を知ってもらい、自分たちの運動を次の世代に伝えていきたいと思います」
庄内協議会の事務局長、齋藤三郎さん

移住という選択

生産者の元へ届く消費材
一方、生活クラブは設立より50年が過ぎ、組合員数は40万人を超えた。当初は圧倒的に子育て世代が多く、食の問題についての関心が大きかったが、現在は60歳以上の組合員がほぼ半数を占め、高齢期の暮らし方も考えるようになった。

日本の人口構成を見ると、25年には65歳以上の高齢者数が約3,600万人を超えると推計されている。その多くが都市部に集中しており、医療と介護の提供体制が追いつかなくなるとの予想だ。

組合員のほとんどが都市部に住む生活クラブでは、15年に高齢期の暮らしについて、組合員への意識調査を行った。設問は老後、子育て、障害など、少子高齢化社会へ向けての不安について。回答からは、自宅で暮らし続けるためのサービスや、高齢者住宅、介護施設の確保に不安があることがわかり、老後の住み替えを考えている組合員も一定数いることがわかった。

この結果により生活クラブは、高齢期の暮らし方について、従来からすすめてきた「住み慣れた地域で豊かに暮らす」に加え「地方に移住する」についても検討を始めた。その選択肢の一つが、「山形県の庄内地方へ移り住む」ことだ。

月山農場の庄内茶豆の畑

赤カブ、庄内茶豆、ギンナンの生産者、高橋一郎さんと精子さん。月山農場に20年以上出荷している

酒田市と提携


真冬の酒田市

遊佐町の胴腹滝。庄内平野の田畑を潤す
酒田市黒森地区の住民により、江戸時代の享保年間から続けられる農民歌舞伎
平田牧場がある酒田市の人口は現在10万3,000人弱。約40年後には半数以下に減ってしまうと予測されている。そこで同市は人口減少がなるべくゆるやかになるように「酒田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、さまざまな取り組みをすすめてきた。特に若者の定住と元気な高齢者の移住に力を入れている。

「元気な高齢者の移住」とは、都市部の高齢者が、医療や介護の提供が不足した時に初めて地方に移り住むのではなく、元気なうちにそこで暮らすことだ。そしてそれは単なる「移住」ではなく、その人が積み上げてきた経験や知恵を活かしながら生涯活躍ができる場をつくること。酒田市はさらに、地元の多世代の人たちと地域の課題を解決するまちづくりに参加するための移住を構想するようになった。将来こうあったらいいというコミュニティーの姿は、高齢者だけではなく、多世代、移住者、地元の人々みんなが参加する「ごちゃまぜのまち」だ。

酒田市は、移住に関する首都圏のニーズを調査し情報発信をするため、16年度より庄内地域と結びつきの強い生活クラブと業務委託契約をした。

これを機に生活クラブは、酒田市や提携生産者と、市民参加型まちづくりへ向けての具体的な意見交換を始め、それを「庄内の福祉コミュニティ構想」と名付けた。

自分らしい暮らしを


酒田市地域創生部地域共生課の五十嵐康達さん。「冬の厳しさあってこそのめぐみの豊かさです。食の豊かさや鮮やかに移り変わる季節の中で暮らす喜びを感じてもらえたらと思います」
生活クラブは17年5月より毎月、老い支度に関心がある首都圏の組合員が集まり、「老い支度を考える―ゆるやかな連絡会」を開催している。高齢期の暮らしに関わるさまざまな疑問や不安についての意見交換会、また酒田市の情報を得る講演会や見学会などを行ってきた。元気なうちに移住し、まちづくりに参加して働く生きがいのある暮らし方について話し合っている。

酒田市地域創生部地域共生課の五十嵐康達(やすみち)さんは、「最初は人口を減らさないための移住を計画していましたが、生活クラブと話し合いを重ねる中で、いっしょにまちづくりをしていくための移住と考えるようになりました」と振り返る。そして酒田市の役割については「暮らしを変えるということは大きな決断が必要です。いっしょに活動していく不安もお互いにあるでしょう。でも、そこをコーディネートする人や機能をきちんと整備していきたいです」と語った。

庄内地方の生産者のひとつ、赤かぶ漬けや庄内茶豆を取り組む、月山農場の代表取締役でもある齋藤三郎さんは、農業の担い手がどんどん減っている庄内地方への移住に期待する。「農産物の生産に関わる仕事はたくさんあります。ここで自分の価値や生きがいを見いだせる暮らしをみつけてください」

今年1月31日、「庄内・遊佐太陽光発電所」で発電が始まった。将来発生する利益は、移住者が庄内で農業に就いたり、福祉をすすめるための仕組みづくりなど、地域に還元する形で使われる予定だ。

「ここまで3年かかりましたが、時間をかけた分、お互いの理解を深めることができました」と伊藤常務。「自分たちのために、自分たちでつくった消費材を納得して使い続けてきたように、高齢期の暮らしも、自分で考えて選び決めていきましょう」
*F:食料、E:エネルギー、C:ケアの略。内橋克人氏(評論家、旧2012国際協同組合年全国実行委員会・委員長)が提唱。

撮影/田嶋雅已  文/本紙・伊澤小枝子

『生活と自治』2019年4月号「600号特別企画:これに賭ける!&手づくりの『地域福祉』」を目指して」を転載しました。

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