牛乳キャップのリサイクル工場を見学 「グリーンシステム」の価値を学びました
熱心に説明を聞く参加者
生活クラブ連合会は、「できるだけごみを出さない暮らし」のために、容器包装を回収しリユース(再使用)・リサイクル(再生利用)する「グリーンシステム」のしくみを作ってきました。
8月9日、グリーンシステムの提携先、株式会社岩井化成(茨城県)の見学に行ってきました。岩井化成は、組合員から回収された使用済みの牛乳キャップを原料に、消費材「キャップ再生ごみ袋」を製造しています。また、回収されたピッキング袋(P袋=消費材の配達時に使う袋)を再びピッキング袋の原料として再生するマテリアルリサイクル(資源の再生)も行なっています。見学会には18名の組合員が参加し「グリーンシステム」と3Rの活動の意義について理解を深めました。
参考 生活クラブの「グリーンシステム」
岩井化成と生活クラブの出会い
株式会社岩井化成・常務取締役の鈴木泰代さん
当日は岩井化成の常務取締役であり、環境カウンセラーでもある鈴木泰代さんのレクチャーから始まりました。
「生活クラブとの出会いは2002年。生活クラブが牛乳キャップの再利用を検討していた時にペレットから製品まで一貫製造できる当社と出会い、回収した牛乳キャップを原料にした「キャップ再生ごみ袋」の製造を開始、現在に至っています。他に、生活クラブのピッキング袋のリサイクル(農産物ピッキング袋や自動車部品などの原料に再生)も行なっています」
「生活クラブとの出会いは2002年。生活クラブが牛乳キャップの再利用を検討していた時にペレットから製品まで一貫製造できる当社と出会い、回収した牛乳キャップを原料にした「キャップ再生ごみ袋」の製造を開始、現在に至っています。他に、生活クラブのピッキング袋のリサイクル(農産物ピッキング袋や自動車部品などの原料に再生)も行なっています」
回収された牛乳キャップが「キャップ再生ごみ袋」に生まれ変わる
次に、使用済み牛乳キャップから「キャップ再生ごみ袋」が製造される工程を見学しました。各配送センターに集まった使用済み牛乳キャップは、生活クラブの物流拠点である飯能デリバリーセンター(埼玉県飯能市)で選別され、岩井化成の工場に搬入されます。牛乳キャップはベルトコンベアラインに投入された後、金属探知機や目視での選別を経て、粉砕→加熱溶解→フィルター通過→冷却→ペレット化の工程をたどります。異物の除去が重要で、白いフィルターが真っ黒になる様子が確認できました。紙類やガラスなどさまざまな異物が混入することがあるので、回収時に異物を混入させないことが重要です。
写真左:搬入された回収牛乳キャップ。 写真中央:コンベア上の牛乳キャップ。このあと粉砕・溶解されます。 写真右: 白いフィルターがこのように黒くなります
できあがった再生ペレット。キャップの印字の色が残り、うっすらピンク色に
その後、この再生ペレット約60%に新しい樹脂と再生原料を約20%ずつ加えて、「キャップ再生ごみ袋」が製造されます。回収された牛乳キャップ5個でLサイズのごみ袋1枚の原料になります。しかし最近は自治体指定ごみ袋の使用が広がってきたため、「キャップ再生ごみ袋」の利用はいまひとつ伸びていません。牛乳キャップの再生ペレットは、注文書などを入れる「通い袋」の原料に使用するほか、他のリサイクル原料にも利用されています。
その後、この再生ペレット約60%に新しい樹脂と再生原料を約20%ずつ加えて、「キャップ再生ごみ袋」が製造されます。回収された牛乳キャップ5個でLサイズのごみ袋1枚の原料になります。しかし最近は自治体指定ごみ袋の使用が広がってきたため、「キャップ再生ごみ袋」の利用はいまひとつ伸びていません。牛乳キャップの再生ペレットは、注文書などを入れる「通い袋」の原料に使用するほか、他のリサイクル原料にも利用されています。
写真左:再生ペレットをもとにロール状のごみ袋がつくられます。 写真右:牛乳キャップを原料にした「通い袋」。
プラスチックをめぐる問題は世界的な課題
近年、海洋プラスチック問題など、プラスチックをめぐる問題が世界的な課題となっています。日本は1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量がアメリカに次いで多い国です。東南アジアに運ばれたプラスチックごみが強制的に送り返されることが問題になっています。マレーシア政府は、日本や米国、カナダ、オーストラリアなどからプラスチックごみが不法に輸入されたとして、コンテナ60個分に当たる計3,000トンを送り返すと発表したことも話題になりました。
岩井化成にも廃プラスチック買い取りの問合せが相次いでいるそうですが、断り続けているのが現状です。鈴木さんは、三方よし(売り手よし・買い手よし・世間良し)の近江商人の精神で、プラスチック製品は最小限にとどめ、循環型社会をめざすことが大切だと述べました。
岩井化成にも廃プラスチック買い取りの問合せが相次いでいるそうですが、断り続けているのが現状です。鈴木さんは、三方よし(売り手よし・買い手よし・世間良し)の近江商人の精神で、プラスチック製品は最小限にとどめ、循環型社会をめざすことが大切だと述べました。
見学に参加したメンバー
日本で回収されているプラスチックごみのうち、マテリアルリサイクル(再生原料として利用)ができているのは約2割で、残りはケミカルリサイクル(化学的に分解して化学製品の原料に利用)や熱回収されているのが現状です。生活クラブのグリーンシステムで牛乳キャップとピッキング袋を再利用することで、牛乳キャップ1個で11g、ピッキング袋1枚で33gのCO2を削減し、自治体が負担するごみ処理費用もそれぞれ0.4円、1.2円減らすことができます。
今回の見学を通して、プラスチックのリサイクルが簡単ではないことがわかりました。2002年から継続してきた牛乳キャップとピッキング袋のリサイクルにも再生品利用の難しさや異物混入の問題、回収率の伸び悩みなど、まだまだ課題はあります。
2018年度の回収率は牛乳キャップが66.2%、ピッキング袋が41.1%でした。2019年度は、牛乳キャップ80%、ピッキング袋60%に高めることを目標にしています。グリーンシステムをさらに広げるには、消費材を利用し、牛乳キャップとピッキング袋をきれいにして回収に出し、また消費材を利用するという、おおぜいの組合員の参加が必要です。
日本で回収されているプラスチックごみのうち、マテリアルリサイクル(再生原料として利用)ができているのは約2割で、残りはケミカルリサイクル(化学的に分解して化学製品の原料に利用)や熱回収されているのが現状です。生活クラブのグリーンシステムで牛乳キャップとピッキング袋を再利用することで、牛乳キャップ1個で11g、ピッキング袋1枚で33gのCO2を削減し、自治体が負担するごみ処理費用もそれぞれ0.4円、1.2円減らすことができます。
今回の見学を通して、プラスチックのリサイクルが簡単ではないことがわかりました。2002年から継続してきた牛乳キャップとピッキング袋のリサイクルにも再生品利用の難しさや異物混入の問題、回収率の伸び悩みなど、まだまだ課題はあります。
2018年度の回収率は牛乳キャップが66.2%、ピッキング袋が41.1%でした。2019年度は、牛乳キャップ80%、ピッキング袋60%に高めることを目標にしています。グリーンシステムをさらに広げるには、消費材を利用し、牛乳キャップとピッキング袋をきれいにして回収に出し、また消費材を利用するという、おおぜいの組合員の参加が必要です。
【2019年10月25日掲載】