復興支援第8次カンパ報告 震災からの復興支援は皆さんの力に支えられています
生活クラブは、組合員からのカンパをもとに東日本大震災の復興支援活動を続けています。2018年春に実施した「復興支援第8次カンパ」には、3,956万1,430円もの温かいこころざしが寄せられました。生活クラブは、今後も被災した方々に寄り添う支援を続けていきます。
■ 復興支援カンパ2018年度収支報告
生活クラブでは、2018年度もさまざまな支援活動を実施しました!
◆各地の生活クラブ・連合会による支援活動
リフレッシュツアー
福島県や栃木県の組合員を対象に、各地の生活クラブで子どもとその家族を招くリフレッシュツアーを開催しています。放射能の不安から離れて外で遊んだり観光したり、楽しい時間を過ごすことは身体と心のケアにもつながります。
リフレッシュツアー
福島県や栃木県の組合員を対象に、各地の生活クラブで子どもとその家族を招くリフレッシュツアーを開催しています。放射能の不安から離れて外で遊んだり観光したり、楽しい時間を過ごすことは身体と心のケアにもつながります。
生活クラブ滋賀では3家族13人を招待し、バーベキューで交流しました
生活クラブ愛知では5家族18人を招待し、一緒にごはんを食べる夕食会も開催しました
ぽかぽかプロジェクト
国際環境NGO FoE Japanが主催する子どもの保養活動「ぽかぽかプロジェクト」に生活クラブの食材を届けました。また、福島市の認可外保育園「レインボーハウス」のクリスマス会にもお菓子を届けています。
国際環境NGO FoE Japanが主催する子どもの保養活動「ぽかぽかプロジェクト」に生活クラブの食材を届けました。また、福島市の認可外保育園「レインボーハウス」のクリスマス会にもお菓子を届けています。
復興支援まつり
生活クラブ神奈川では、被災地で活動する団体や個人、生産者と首都圏の市民が交流する機会として、
6回目の復興支援まつりを開催しました。今年は12月7日(土)に横浜の臨港パークで開催します。
生活クラブ神奈川では、被災地で活動する団体や個人、生産者と首都圏の市民が交流する機会として、
6回目の復興支援まつりを開催しました。今年は12月7日(土)に横浜の臨港パークで開催します。
◆福島の子どもと知る権利を守る活動
甲状腺検査
福島第一原発事故当時18歳以下の子どもを対象に、生活クラブ独自の甲状腺検査を行ない、データを蓄積しています。
甲状腺検査
福島第一原発事故当時18歳以下の子どもを対象に、生活クラブ独自の甲状腺検査を行ない、データを蓄積しています。
◆共生地域創造財団の運営費
経済的な問題を抱える人には、食材提供なども
生活クラブがグリーンコープ共同体とNPO法人ホームレス支援全国ネットワークとともに設立した被災地支援団体「共生地域創造財団」。震災によって住居や環境が変わり、不便や孤独に悩む人が今も少なくありません。自治体と協力し暮らしの再建への支援を行なっています。
◆3.11甲状腺がん子ども基金への寄付
3.11甲状腺がん子ども基金では、小児甲状腺がんと診断された方に医療費を給付するほか、患者や家族の心のケアにも努めています
3.11甲状腺がん子ども基金では、小児甲状腺がんと診断された方に医療費を給付するほか、患者や家族の心のケアにも努めています
「いちじくの葉茶」を利用して復興を支援しよう!
東日本大震災のあと、宮城県女川町で発足した「一般社団法人コミュニティスペースうみねこ」。
地元の資源や人材を生かした活動を通じて、地域の活性化をめざしています。多くの人の継続した利用が、被災地の暮らしや心を支える力になります。
地元の資源や人材を生かした活動を通じて、地域の活性化をめざしています。多くの人の継続した利用が、被災地の暮らしや心を支える力になります。
「いちじくの葉茶」の栽培・製造は、女性や高齢者の雇用にもつながっています。申込みはインターネット注文「eくらぶ」から。
いちじくの葉茶5g(1gティーバッグ×5袋)500円(税込540 円)
生活クラブ・スピリッツ㈱
関西地域は「食べるカタログ」から注文できます。※北海道・福祉クラブ・デポーでは注文できません。
生活クラブはこれからも支援活動を続けていきます!
2019年春に募った「復興支援第9次カンパ」には3,014万34円が寄せられました(2019年4月30日現在)。ご協力ありがとうございました。生活クラブは被災地の人々が安心して暮らせるようになるまで、復興支援を続けます。
■2019年度のカンパ使途計画
今年も「甲状腺検査活動2018報告会」を開催(8月31日)
継続的な検査で子ども達の健康と未来を守る
各地域の代表からの活動報告や、講師の方々も交えてのディスカッションも行なわれました
生活クラブでは2012年より独自の甲状腺検査活動を続けています。放射能の影響による子ども達の甲状腺がんが懸念される中、福島県が行なう県民健康調査との比較や甲状腺がんの早期発見などを目的にしています。
8月31日に東京の生活クラブ館で開催した2018年度の活動報告会には組合員など66名が参加しました。
■生活クラブの甲状腺検査の4つの目的
全国でのデータ蓄積は子どもの甲状腺の経過の基礎資料に
2018年度の甲状腺検査活動には、21単協689人が参加しました。検査を受けた子どもの年齢は1~25歳。震災後に生まれた子どもでも、希望があれば対象にしています。この活動には全国で55ヶ所の医療機関の協力をいただいています。サンプル数が少ないため、福島県による調査との単純な比較は難しい状況ですが、子どもの甲状腺の自然経過を示す基礎資料として役立つ可能性があることは、この活動の成果と言えます。
小児甲状腺がんは早期発見・早期治療が大切
道北勤医協・旭川北医院院長で、北海道がん対策推進特別委員も務める松崎道幸医師
生活クラブの甲状腺検査を監修している松崎医師からは、生活クラブの検査活動への共感とともに、今年6月に発表されたICRP(国際放射線防護委員会)の勧告草案についての解説がありました。ICRPは専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行なう国際組織です。
草案は福島第一原発事故後の経過をもとに作られたとされていますが、その内容は多くの研究者から現状を反映していないと反論が噴出するものでした。例えば緊急時の被ばく線量限度を年間100mSvに改訂するという案。「100mSvなら被ばくしても影響はない」、「あわてて逃げる必要はない」としています。松崎医師は、100mSv以下でもがん発生の例があり、放射線被ばくの影響は年齢や性別によっても変わる。子どもへの影響は大人の数倍大きく、「被ばく量の制限は、最も放射能の影響を受けやすい人に合わせる必要がある」と述べました。
草案は福島第一原発事故後の経過をもとに作られたとされていますが、その内容は多くの研究者から現状を反映していないと反論が噴出するものでした。例えば緊急時の被ばく線量限度を年間100mSvに改訂するという案。「100mSvなら被ばくしても影響はない」、「あわてて逃げる必要はない」としています。松崎医師は、100mSv以下でもがん発生の例があり、放射線被ばくの影響は年齢や性別によっても変わる。子どもへの影響は大人の数倍大きく、「被ばく量の制限は、最も放射能の影響を受けやすい人に合わせる必要がある」と述べました。
これまでの生活クラブの検査を通して、「甲状腺検査の所見のひとつである、のう胞(※1)や結節(※2)は、発生・拡大したり、縮小・消失することが分かってきました。一方で急速に大きくなるケースもあります。2巡目の県民健康調査でがんと診断された71人の大半は、2年前の1巡目の検査ではA判定(がんが見られなかった)だったのです。早期発見・早期治療がとても大事で、そのためにも甲状腺検査を続けることが大切です」と訴えました。
※1 のう胞:液体の詰まった袋で、基本的にがんの心配はない。
※2 結節:細胞のかたまり。大きく不規則な形のものはがんの心配があり、詳しい検査が必要
※1 のう胞:液体の詰まった袋で、基本的にがんの心配はない。
※2 結節:細胞のかたまり。大きく不規則な形のものはがんの心配があり、詳しい検査が必要
強引かつ不透明な「甲状腺評価部会」の報告書
続いて講演したのは、福島第一原発事故後の被ばく問題を精力的に報道しているジャーナリストの白石草さんです。小児甲状腺がんは百万人に1~2人という発生率の低い希少がんですが、福島県が実施している甲状腺検査では、174人もの子どもが甲状腺がんと診断されています(およそ1,700人に1人)。白石さんは、避難地区・中通り・浜通り・会津地方と、放射線量の高い順に甲状腺がんの発見率が高いことが確認されている一方で、甲状腺検査を評価する「甲状腺検査評価部会」が今年6月、突如「原発事故と甲状腺がん発生率に関連性は認められない」とする報告を公表したことを問題視。この報告書が採択された経緯について、あまりにも強引かつ不透明であると批判しました。
白石さんが取材した甲状腺がん患者は、「自分たちのデータで様々な研究がされているのに、その結果がきちんと報告されていない」「検査をデメリット扱いしているのはおかしい」と怒りの声を挙げているといいます。
白石さんが取材した甲状腺がん患者は、「自分たちのデータで様々な研究がされているのに、その結果がきちんと報告されていない」「検査をデメリット扱いしているのはおかしい」と怒りの声を挙げているといいます。
■ 福島県の県民健康調査での甲状腺検査結果
第36回「県民健康調査」検討委員会の資料をもとに作成※25歳の節目検査でがんと診断された1人を含む
第36回「県民健康調査」検討委員会の資料をもとに作成※25歳の節目検査でがんと診断された1人を含む
これからは10代の子ども達を注視していきたい時期
独立メディア「OurPlanet-TV」代表の白石草さん
福島県の検査で、通常より数十倍多くのがんが見つかっていることについて、一部の専門家は、「治療の必要のないがんを見つけている過剰診断だ」と主張しています。これに対し白石さんは、過剰診断どころか重症化している患者がいると指摘。手術だけでは寛解(※3)せず、アイソトープ治療と呼ばれるつらい治療を受けている子もいると報告しました。さらに、放射線ヨウ素による初期被曝の実態は今も解明されておらず、福島以外の地域も他人事ではないと指摘。チェルノブイリでも、原発から600キロメートル以上離れた町で、事故当時4歳だった子が13歳になって甲状腺がんを発症した例を紹介しました。
「福島原発事故から約8年経ったこれからがむしろ正念場。特に10代の子ども達の健康状態を注視する必要がある。」と白石さん。検査で甲状腺がんが見つかり手術を受けた人は一様に「早く見つかって良かった」と話しているとした上で、検査を続ける意義は大きいと訴えました。
※3 寛解:病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。
「福島原発事故から約8年経ったこれからがむしろ正念場。特に10代の子ども達の健康状態を注視する必要がある。」と白石さん。検査で甲状腺がんが見つかり手術を受けた人は一様に「早く見つかって良かった」と話しているとした上で、検査を続ける意義は大きいと訴えました。
※3 寛解:病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。
今回の報告会では復興が進む中で被災者の状況が見えにくくなっていることが伺えました。生活クラブの甲状腺検査活動は2020年まで続けることを決めています。
また、2021年以降についても検討をすすめていきます。
「甲状腺検査活動2018報告会」の詳細についてはこちらから
今年も子どもの「甲状腺検査活動」の報告会を開催しました(活動レポート2019年10月15日掲載)
また、2021年以降についても検討をすすめていきます。
「甲状腺検査活動2018報告会」の詳細についてはこちらから
今年も子どもの「甲状腺検査活動」の報告会を開催しました(活動レポート2019年10月15日掲載)
西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震 カンパ報告日本各地で被災地支援を実施しました
2018年7月に発生した西日本豪雨や9月の台風21号、北海道胆振東部地震により、各地に甚大な被害が発生しました。
被災した提携生産者や地域の生協などへの支援を目的にカンパを呼びかけ、9,641万5,712円が集まりました。皆さんのご協力、ありがとうございました。
被災した提携生産者や地域の生協などへの支援を目的にカンパを呼びかけ、9,641万5,712円が集まりました。皆さんのご協力、ありがとうございました。
■ 西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震カンパの収支
愛媛県で被災者支援を行なう団体へ共生地域創造財団を通じて助成金を贈呈しました
土砂崩れが発生した提携生産者に救援物資を届け、復旧作業を支援しました
★『生活クラブOPINION 復興支援ニュース』 2019年11月2回(45週) 掲載記事を転載しました。
【2019年11月1日掲載】