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「産直先で老後」応援(日本農業新聞)

生活クラブ生協 ㊦ 組合員の移住

【2020年3月13日:日本農業新聞掲載】
 
「レイドロー報告」(1980年)は、協同組合関係者にとって21世紀の指針とされる歴史的な文書である。「信頼性の危機」「経営の危機」を経て協同組合は第3の危機「思想的危機」にあるとし、組合員の民主的参加と事業の社会性重視を説いた。その上でこれから力を入れるべき四つの分野を提起した。そのうちの二つが「生産的労働のための協同組合」と「協同組合地域社会の建設」だ。

この報告書は、生活クラブ生協(生活クラブ)の中でも大きな反響と共感を呼んだ。そして、今日のワーカーズコープコレクティブ(協同労働)やケア(福祉介護)の分野に踏み出していく。生活クラブの活動を10年単位で捉えると、共同購入から店舗展開、協同労働、福祉介護、エネルギーと活動領域を広げてきた。裏返せば、時代の課題と向き合って変化をいとわない勇気と行動力があったといえる。

その生活クラブが今、新たな領域として提案するのが、地方への移住である。山形県庄内地域を舞台に「参加型福祉コミュニティ構想」が進行中だ。

庄内地域は生活クラブにとって、産直の最も大事な拠点の一つである。70年の遊佐町農協(現JA庄内みどり)との米を皮切りに豚肉、野菜、果物、加工品などに連携を広げてきた。73年に始まった交流会は現在も続き、延べ1万人以上の組合員が庄内の提携生産者の元を訪れ、触れ合い、援農する。

移住構想は、自らの「老い支度」を意識した組合員が、思い入れの深い庄内に移り住み、農家や地元と関わりながら第二の人生を送りたいとの要望に応えるものだ。もう一つの側面もある。地方の人口減が進んだ時に、産直の将来は大丈夫かという危機感だ。地域なくして生産もない。提携先の町づくりに参画し、人口減や地域機能の低下を少しでも食い止めようというわけだ。
生活クラブ事業連合生協連・伊藤由理子常務

親を介護するために福祉事業を興した組合員たちが、自分の老後を考える時期を迎えた。どこで過ごしたいかのアンケートを取ると、住み慣れた地域以外に、産直交流先への移住を考えている人が多いのに驚いた。多様な老い支度のニーズに応えていこうと、まずはわれわれの第二のふるさと、庄内から始めることにした。

生協活動で培った知識や行動力を生かして、町づくりに関わったり、なりわいを始めたり、カフェで交流したりと、地元の多世代の人たちと 交流する「ごちゃまぜ」のコミュニティーづくりに関わりたい。組合員の中には既に庄内に移住した世帯も複数出ている。この3年間、首都圏の50代以上の組合員に情報を入れ、庄内関係者との連絡会や現地見学も定例的に行って準備を進めてきた。

地方創生へ多彩な関わり

この移住構想に酒田市が関わる。市は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で「生涯活躍のまち構想」に取り組み、移住対策に力を入れる。首都圏に住む人たちが元気なうちに移り住み、町づくりに多様な形で関わりながら暮らしてもらう。その連携先に選んだのが、長く交流が続く生活クラブだった。

生活クラブは市は2017年5月、「老い支度を考える―ゆるやかな連絡会」を設置。、市も18年10月に住民、有識者、金融機関、産業界とともに生活クラブも加えた「酒田市生涯活躍のまち構想検討会」で、地域再生計画の本格的な検討を始めた。市街地中心部にある、観光で有名な山居倉庫前の旧消防署跡地を再開発し、移住者を含めた住宅も整備する計画だ。

農村部の空き家も活用して、移住、二地域居住、援農、観光など、さまざまな関わりと暮らし方を想定する。早ければ来年度中にも移住が動き出す。新たなフロンティアの成り行きが注目される。

(編集局主幹・田宮和史郎)

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