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国産鶏種「はりま」を育てる、挑戦の日々《食をつむぐ人たち・鶏肉篇》

群馬県藤岡市・群馬農協チキンフーズ株式会社 直営藤岡農場
吉村敏明さん(61歳)
▼動画(約5分、音声・字幕つき)
 
自給率が6割以上といわれている鶏肉。しかし、鶏種を見てみると98%は外国産で、国産はわずか2%です。そのような状況の中、生活クラブは3世代前までさかのぼっても国産鶏種である「はりま」の開発を生産者と一緒に2001年からスタートしました。「はりま」は日本の気候風土の中で生産することに適応した丈夫な鶏種を目指して育種改良され、ゆったりとした環境で健康に育てられるのが特徴です。2016年には、「はりま」の食肉を「丹精に育てられた日本の鶏」という意味をこめて「丹精國鶏」と命名しました。組合員が求める、安全安心とおいしさを備えた国産鶏種を持続的に供給することを目標とし、年間200万羽の供給を目指しています。

国産鶏種「はりま」はどのように育てられ、「丹精國鶏」となり組合員の食卓に届くのでしょうか。群馬農協チキンフーズ株式会社の藤岡農場で「はりま」を育てている吉村敏明さんにお話しを伺いました。
群馬農協チキンフーズ株式会社 直営藤岡農場 受託管理 吉村敏明さん(61歳)と妻の姫子さん
藤岡農場があるのは、群馬県の南西部に位置する藤岡市。里山や川に囲まれる自然豊かな環境の中、吉村さんは妻の姫子さんと2人で6棟の鶏舎を使って年間で約36,000~37,000羽を育てます。
木々に囲まれた自然豊かな場所に6棟の鶏舎が並ぶ
全長約50mの鶏舎に仕切りはない。「はりま」は光が差し込む明るい開放型鶏舎でゆったりと育つ。鶏舎の床にはおがくずが敷かれており、全体的に清潔な印象
人の手が必要な作業が多いため、妻の姫子さんの協力は欠かせない。夫婦2人3脚で鶏の世話をする

稀少な国産鶏種「はりま」を育てるということ

もともとは、東京や埼玉で主に営業関係の仕事をしていた吉村さんは、次第に第一次産業の仕事についてみたいと考えるようになっていたそうです。趣味のゴルフでなじみがあった群馬県に、採卵鶏関係の仕事のために移り、その後群馬農協チキンフーズ(株)の精肉工場で「はりま」やそのほかの鶏肉の製造に携わるようになりました。
ところが、管理職としての多忙な日々で体調を崩してしまいました。そのような折に、藤岡農場を引き継ぐ人を探しているという話を聞き、「定年もなく、がんばりたいだけがんばれる。生き物も好きだからやってみよう」と藤岡農場で「はりま」の飼育に携わることを決めました。決断の背景には、生き物相手の仕事で再び元気になってほしい、という姫子さんの後押しもありました。

引き継いだのは150坪の鶏舎が6棟ある農場。自然光が入り風の通る鶏舎で、夏は一坪に35羽、冬は40羽以内でゆったりと鶏を育てます。出荷までの期間も通常のブロイラーより5日以上長い、約55日です(※)
※一般ブロイラーは、一坪あたり50~60羽を約50日前後飼育する。
愛らしい生後10日前後の「はりま」のひよこ

変化に弱い鶏を快適な環境で育てる苦労

毛がふさふさのはりま
藤岡農場はくぼ地にあり、夏は空気が滞留して暑く、冬は北風が入りこみ気温が下がります。鶏は急激な環境の変化を苦手としているので、1日の間に5℃以上の温度差が出ないように吉村さんは日々管理に努めています。特に、「はりま」は毛の量が多く暑がりという特徴があり、夏の暑さにも注意が必要です。

農場の1日は鶏舎の見回りから始まります。鶏舎のカーテンを一つ一つ手動で開けて換気をし、鶏舎内に入って鶏の健康状態、えさや水が十分にあるか、鶏舎が居心地のいい状態になっているかを確認します。6つの鶏舎の見回りを終えると、午前中は終わります。そして、午後になると、再び鶏舎の見回り。鶏の成長に合わせて、鶏舎内の鶏が活動できるスペースを広げるなどの作業もあるので、あっという間に1日が終わります。
気温の下がる冬はさらにこまめな温度調節が必要となります。自動ではできないため、夜間に気温が10℃下がるような予報が出ていたら、帰宅後に5℃下がった時点でもう一度鶏舎に戻ります。それでも心配は尽きず、寝ているときに鶏たちが夢にまで出てくることもあるそうです。
鶏舎内の見回りは、鶏に刺激を与えて運動させる役割もある
手動のレバーでこまめにカーテンの開閉で風の通り具合を調整
大きな扇風機も換気に大切な役割を担う
鶏舎ごとに長靴を変え、さらに毎回消毒する
冬はブルーダーと呼ばれる大きな暖房が命綱となる

繊細なひよこはスタートが大事

鶏の飼育で特に気を遣うのは、まだ体の小さい生後2週間から3週間くらいのころです。温度、湿度だけでなく、風が当たりすぎるなど、ちょっとした環境要因でひよこは弱ってしまうので、より細やかに目を配ることが必要となります。この時期にしっかりと食べさせ、内臓を成長させることが大切です。
「いろいろ自分で考えて試行錯誤してみるのは楽しい。毎回条件は同じではないから、今までのデータに勘を足してやってみている。試行錯誤がうまくかみ合って、育成率(※)などの成績に出てくるとやったね、とうれしくなる」と吉村さんは目を輝かせてやりがいを話します。

※育成率…入荷したヒナの数に対する、出荷する鶏の数の占める割合。
最初にえさに慣れさせるのも大切
広々とした鶏舎でのびのび育てる
まだ小さいときは、食べやすいように多くの場所にえさを置く

鶏がいないときも手を抜かない

鶏が出荷されて鶏舎が空いたら鶏舎を洗浄し、乾燥させ、消毒をしてから次の鶏のために床におが粉を敷き詰めて準備します。そのような作業を1舎1舎やっていくので、やらなければならない作業量は鶏がいるときよりも多いくらいだそうです。健康な鶏を育てる清潔な鶏舎は、鶏舎が空いたときの余念のない準備によって保たれているのです。
床に敷くおが粉もていねいにならす

年々厳しくなる、自然とのたたかい

鶏は、太陽の光と風が入る、自然に近い環境で育てているため、自然災害や天候不順に大きな影響を受けます。過去には夏に40℃を越え、鶏たちがぐったりしこともありました。また、ゲリラ豪雨のときは、雨水が鶏舎の敷料にしみてくると病気の発生源となってしまいます。
「できることをやって、あとは神頼みしかない。だけど、これ以上温暖化が進み暑くなるようだったら、夏は育て続けられないかもしれない」と吉村さんは危機感を募らせます。同時に「1人の力で解決するのは難しくなるので、多くの人とアイディアを出し合っていくしかない。大変だけど、やりがいがあると思います」とも話します。
周囲に小川も流れる自然豊かな場所だからこそ、自然の影響を受けやすい

家族のように、大切に育てる

生き物が相手の仕事。日々どのような思いで、鶏たちと向き合っているのか、吉村さんに聞いてみました。

「生き物が好きだから、ひよこが来たときは、いつも『かわいいなあ』とうれしくなる」と満面の笑顔です。それと同時に、小さな命を預かる責任の重さを感じるそうです。自分の子ども同然という気持ちで育て、とにかくここにいる間は健康にストレスなく育てることに全力を尽くします。以前工場に勤めていたから、その後どのように鶏が出荷されていくかもよく知っています。

「だからこそ、無駄にできない。せっかく育てたから、大切に食べてほしいという気持ちです。その点は生活クラブの組合員さんは、よくわかってくれている方が多いと思っています」。
産地推進会議で視察に訪れた組合員
鶏を見つめる目は優しい
姫子さんも日々さまざまな作業を担っている
1日の終わりには農場の状況をまとめて報告し、そのデータは育種改良にも活用される

えさにもこだわり、無投薬飼育

元気に飛び跳ねるひな
群馬農協チキンフーズ(株)で19年間「はりま」に携わっている営業の井田さん
「はりま」のコンセプトは、「安全安心でおいしい国産鶏種」。えさは遺伝子組み換えでない穀物のほか、国産飼料米を与えています。
「通常の鶏よりも長い期間育てるので、脂、肉のうま味が深みを増します。よく運動するので、歯ごたえもしっかりしています」と話すのは、群馬農協チキンフーズ(株)に入社以来19年間部署は変わっても「はりま」や生活クラブと関わり続けてきた井田大作さん。昨年は20回ほど生活クラブの学習会に参加し、「丹精國鶏の安全、安心」について組合員の疑問に答えてきました。

「はりま」は、抗生物質等を投与しない無投薬飼育を実現しています。薬に頼らず育てるためには、鶏の持つ自己免疫力を落とさないことが大切です。そのために、温度、湿度、風通しをこまやかに調整し、できるだけストレスをかけない工夫が必要です。

それでも、やはり鶏舎に来たひよこが一羽残らず無事に出荷できるわけではない、厳しい現実があります。薬を使えば救えたかもしれない命が無投薬飼育で失われることもあります。そのような話を吉村さんから聞くと、「安全安心」のための無投薬飼育の重みを感じます。

当初に比べて「はりま」の育種改良が進み、飼育技術も上がりました。それに加え、組合員の食べる力が集結したことで、2017年には値下げも実現しました。今後も「安心安全でおいしい」国産種の安定的な供給のために、育種開発をする機関を始め、関係各所の努力は続きます。
遺伝子組み換えのない飼料には国産飼料用米も配合される
新鮮な水を飲むひな。抗生物質などの薬が水に混ぜられることはない
大きな飼料タンクが各鶏舎の横にある。出荷間際は1日に1トン以上の飼料を消費する

「丹精國鶏」が紡ぐ物語

2016年に「はりま」は普及拡大のために「はりま振興協議会」(※)によって、「丹精國鶏」と名付けられました。

「『はりま』が『丹精國鶏』と名付けられたことで、私たち生産側の従業員や農場の生産者も、『丹精を込めてつくった日本の国の鶏ですよ』という物語を理解しやすくなりました」と話すのは、そのころ群馬農協チキンフーズ(株)の代表取締役だった阿佐美菊男さん。ネーミングによって、今まで以上に大事に育てよう、という意識が芽生えたといいます。

※はりま振興協議会:「はりま」の生産振興や普及について意見交換や情報交換のため2005年に設立された協議会です。構成団体は、全農チキンフーズ(株)、群馬農協チキンフーズ(株)、(株)秋川牧園、オンダン農業協同組合、(株)イシイ、全国農業協同組合連合会、生活クラブ生協連合会で、オブザーバーとして独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場はじめ「はりま」の生産と流通に関連する各社が参加します。
群馬農協チキンフーズ(株)相談役の阿佐美菊男さん
物語を感じる「丹精國鶏」のロゴの入ったパッケージ
「丹精國鶏」というネーミングにより、精肉工場で働くスタッフも意識が変わる

急速バラ凍結で、おいしいまま組合員の元へ

鶏の肉は鮮度が命。時間が経てば経つほど、肉の質は落ちてしまいます。そのため、精肉工場では機械を活用しながらも、要所で人の手を使い、衛生面に気を配りながら、迅速に加工処理されていきます。群馬農協チキンフーズ株式会社では、生活クラブに年間約100万羽分の「丹精國鶏」を出荷しています。
のどかな田園に囲まれた群馬農協チキンフーズ(株)の精肉工場
スピード勝負の加工処理は、機械と人の共同作業で行なわれる
「丹精國鶏」は多くの人の手によって加工される
目を見張るのは、日本でもまだ持っている精肉工場はそれほど多くないといわれる、急速に冷凍できるフリーザー。一つ一つがくっつかない、「急速バラ凍結」ができます。群馬農協チキンフーズ㈱では10分足らずで、マイナス35℃で凍結させるフリーザーによって、味や品質を落とすことなくおいしいまま、あっという間にパック詰めを実現させています。
急速バラ凍結は組合員の使いやすさを考慮して実現
仕上げのパッキングも一つ一つ人の手で

一羽丸ごと、食べることの大切さ

安心安全でおいしい国産鶏種を日常的に食べ続けるために、組合員ができることは何でしょうか? 「鶏肉はどうしても食べる部位に偏りが出てしまうので、無駄なく、トータル一羽を食べきることがとても大切です」と群馬農協チキンフーズ(株)で相談役の阿佐美さんは話します。もも肉やむね肉などに比べて、内臓系の部位の需要が低い傾向があるけれど、無投薬で育てた安心は内臓に出るので、ぜひ内臓部分を試してほしいとすすめます。同社営業の営業の井田さんも、「おすすめは砂肝。胃袋なので、長めの日数飼い、たくさんの飼料を食べることで、しっかりと成長します。コリコリとして歯ごたえが違う」と話します。

ずっと続けるために

日々「はりま」と向き合っている吉村さん。スーパーの鶏肉に比べると正直値段も高いからこそ、「はりま」を健康に育てて、おいしく食べてもらおうと努力しようと思うそうです。

取材に訪れた2日間、鶏たちは自然光の中、のびのびと過ごしていました。その快適に過ごしている鶏たちを支えているのは、1日に何度も鶏舎を見回り、こまやかにケアをしている吉村さん夫妻の愛情でした。これだけ手をかけて育てるからこそ、おいしく、噛み応えのある「丹精國鶏」になるのだと納得しました。「我が子のように大切に育てるから、大切に食べてほしい」という吉村さんの言葉が印象に残った取材でした。

 
妻の姫子さんとの2人3脚はこれからも続く

大切に守り育てた国産鶏種「丹精國鶏(たんせいくにどり)」
丹精國鶏は、丁寧に、健康に育てることを大切にし、太陽の光や自然の風が入る広々とした鶏舎で育てています。坪当たりの飼育羽数も一般的な飼育羽数より少なくし、生育期間も10日ほど長くとり、ゆったりと育てています。エサは遺伝子組み換えをしていない穀物や、国産飼料用米を与え、自給力アップに貢献。自分の脚で元気に歩き回って育った鶏は、しっかりとした肉質に育ち、結果、弾力のある噛みごたえと深い旨みが味わえます。

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