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生産者とともに社会のけん引役を目指して 生活クラブ、SDGs達成への道のり

「安全・健康・環境」を原則に、生産者と連携しながら進めてきた生活クラブ連合会と各地の生活クラブ単協の共同購入事業は、国連が2030年までに達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」の活動と重なる。「自分たちの活動を、なぜあとから生まれた言葉で表現しなければならないのか」という戸惑いの声がある一方、この機運を逃さず、これまでの活動をさらに広げ持続可能な暮らしと地域をつくろうという議論も進む。気候危機をはじめ世界規模でさまざまな社会問題が顕在化するといわれる2030年代。残された時間から逆算し、いつまでに何を解決するか、いま、目標ではなく「行動」が問われている。

残されたのは難題

次世代車両や配送のあり方も検討課題のひとつだ。写真は生活クラブ長野の「松本クラブステーション」(撮影:御堂義乘)

生活クラブ連合会は2020年、「第一次生活クラブ2030行動宣言」を公開した。これまでの実践をSDGsの17のゴールに当てはめ、より具体的な到達目標をまとめたものだ。現在、さらなる到達目標を掲げる「第二次生活クラブ2030行動宣言」に向けた議論を進めている。だが、すでに数々の課題を克服してきた生活クラブにとって、残された課題は、より困難なものが多い。

まず、プラスチック包材の問題がある。脱プラスチックに関心を寄せる組合員は多い。その一方、若い子育て世代や高齢者など少人数の世帯にとっては、包材を小分けにすることで利用しやすくなることも事実だ。紙など別の素材に変えることは可能だが、配送を基本とする事業である以上、耐水性や強度の面ではプラスチック包材が勝る。注目を集める生分解性プラスチックにしても、本当に生分解されるのか不確実な点は多い。

輸送における二酸化炭素(CO2)排出の問題もある。運輸業界全体の排出量は膨大で、生協陣営にとっても次世代車両への転換は必須の課題だ。電気を動力とするのか水素利用か、技術レベルの調査のほか、業務用の車両開発も必要になる。また、国内では調達できない原料の課題も大きい。せっけんや加工食品に使用されるパーム油は、原産国での環境破壊や児童や女性の劣悪な労働環境が問題になっている。
これらの課題は、生活クラブが数十年来追求してきたが実現には至っていないものだ。しかし、SDGsは2030年、2050年までに到達しなければ地球が持たないとして掲げられたゴールだ。

「次の行動宣言はできるかできないかではなく、目標から逆算し『実行する』という決意からのスタートになります」。生活クラブ連合会、会長の伊藤由理子さんはそう言う。
「包材にしろ配送車両にしろ、切り替えるとなればコストは莫大(ばくだい)です。どこの生協も同じ問題を抱えているはずなので、連帯し解決していくことは今までよりずっと増えてくるでしょう」
生活クラブ連合会、会長の伊藤由理子さん
(撮影:永野佳世)

意味ある認証を

生活クラブでは、これまで消費材の安全性や価格の公正さは、第三者に認定されるまでもなく、作り手と食べ手の二者が常に向き合い主体的に評価することを基本としてきた。たとえば、有機JAS認証を取得している日本で最大規模の無農薬緑茶「わたらい茶」も、消費材の包材には認証を記載していなかった。しかし、緑茶の無農薬栽培がこれほど大規模に実現できた背景には、生活クラブとの提携がある。有効な認証は積極的に表示し、生産者と共に各業界を底上げすることも生活クラブの重要な役割だ。伊藤さんは「互いに切磋琢磨(せっさたくま)し全体の利益をはかること。それがSDGsの実現につながる意味ある認証の使い方になる」と話す。一方で、認証は信じる立場ではなく、あくまで受ける立場だとも指摘する。「その認証がどこまでを確認できているものなのか、限界も含めて把握し情報公開していかなければいけません」

SDGsの本質を見極めることも重要だ。印刷物に使用する紙は、森林保全の国際的認証制度を受けたFSC認証紙が推奨されている。しかし、巨大設備で生産する製紙業界において、取得しているのは一部の大企業に限られる。認証だけを判断の基準にすれば、資本力のある大企業が生き残り、地域の中小企業が淘汰(とうた)されることもあり得る。「安全や環境だけでなく、だれ一人取り残さずに転換を遂げるとして、人権や平和にも言及しているのがSDGsの本質。『だれ一人取り残さず』とは決して大袈裟なことではなく、あの生産者はどうなるの?と想像すること」と伊藤さん。「みんなで目指す」ことへの感度を持ち続けられるか、一人一人が問われている。

次世代につなぐ

「生活クラブ2030行動宣言」は、30年代に生活クラブを担う世代の組合員や職員が中心になり議論を進めている。これまでの共同購入運動が目標に向けて行動を積み上げてきたのとは逆に、SDGsは到達地点から現在へと行動目標を引き寄せる運動だ。日本の若い世代は議論の経験も少ない。今のうちにさまざまな議論を積み重ね、目標達成に向けて積極的に発信できるようになってほしいと考える。生産者もまた、「組合員の要望に応える」立場から、自ら挑戦する姿勢への転換が必要だ。企業の社会貢献活動とは異なる、本業での実践が問われている。

19年、環境省は「ローカルSDGs」と称し、地域循環共生圏づくりのプラットホームを立ち上げた。食とエネルギーと福祉の地域内自給を掲げる。その目標こそ、東日本大震災後、生活クラブとその関連団体、提携生産者が進めてきたことだ。

「主要な提携産地には複数の生産者がいます。その地域が持っているさまざまな資源を掘り起こし、地域内で循環する仕組みをつくるなど、トータルに考えていくことが重要です」と伊藤さん。この構想をさらに発展させ、次世代にバトンを渡す構想を描く。「普通の生活の中で、組合員が『あれ?』と思う声をつなげて地域社会を描き実践してきました。社会の動きに追い抜かれず、今後もモデル事例を提示できるよう、緊張感をもっていこうと話し合っています」
 
文/大久保ろりえ

「生活クラブ2030行動宣言」、進行中!

【マーガリン・せっけん類】
マーガリンに使用するパーム油は、アブラヤシの農園開発による熱帯林破壊や生産国の人権問題に配慮した「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証品」への切り替えを進めています。粒状せっけんなどの原材料は、パーム油の代替として廃食油から精製した脂肪酸原料油脂への切り替えなどの対策を、生産者と協議しています。

【丸大豆醤油】
原材料の小麦を、100%国産のものに切り替えることが決定しました。
詳しくは「ものづくり最前線『丸大豆醤油、秋の仕込みから小麦は国産100%で』」を参照ください。

【カタログ類】
印刷時に使用する紙は、責任ある森林管理をしている林業者を応援し、世界の森林保全貢献につながる「FSCⓇ認証紙」への切り替えを進めています。「生活と自治」も2021年4月号から切り替えました。

【魚介類】
漁獲量の減少から、国内での原料調達が困難な魚種については、「MSCエコラベル」(海洋漁業)、「ASCエコラベル」(養殖水産物)など、持続可能な「資源管理型漁業」を後押しする国際的な第三者認証の活用に向け準備を進めています。
★『生活と自治』2021年9月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2021年9月30日掲載】
 

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