わたし発「求めるものを形に」組合員がゼロから開発
消費材新規開発プロジェクトのメンバー。子育て世代を応援する、お米を使った消費材をめざします
生活クラブでは、国内自給力の向上をめざし、国産の原材料を使い国内での生産を基本とした消費材(※)の開発や利用促進をすすめてきました。その基本姿勢は現在も変わらず、各地域の生活クラブが主体となって組合員の声を反映し、各種の暮らしの課題を解決する消費材をつくる取組みを行なっています。
2021~2022年度の2年にわたり、生活クラブ生活協同組合東京(以下、生活クラブ東京)では、「米を使った消費材」をテーマに消費材開発プロジェクトが進行中です。1年目は、調査・討議を重ね、6つの新規品を開発要望としてまとめ、提案しました。2年目は、そのうちのひとつ「冷凍おにぎり」について、提携生産者の協力のもと試作試食をすすめています。10~2月のプロジェクト会議では、リアルとオンラインで参加したメンバーが、サンプル品を試食し、食感や味、形や大きさ、価格などについて意見交換しました。
※生活クラブでは、組合員に届ける食料品や生活用品を「消費材(しょうひざい)」と呼んでいます。利益を得ることが目的の「商品」ではないという意味があり、必要なものを組合員と生産者がいっしょになって開発・利用しています。
自分たちが求めるものを、自分たちでつくる
生活クラブの消費材は、ほとんどがオリジナル品。組合員が自分たちの生活への問題意識に基づき、それを解決できるようなものを生産者とともに開発し、みんなで利用しています。これまでも組合員の生活観やサステイナブル意識に基づき、新規開発や規格を改善をしてきました。
2021年7月、生活クラブ東京で組合員が主体となった新たな消費材開発がスタートしました。今回開発するのは米を使った加工食品。近年すすむ米の消費量減少に歯止めをかけ、米の持続可能な生産と消費を推進することを考えつつ、自分たちが求めるものをゼロから考えてつくります。
メンバーは、プロジェクト発足前に実施したアンケートで手を上げてくれた30~40代の子育て世代の組合員12名。2022年度からは、都内4ブロックの生活クラブ組織の理事が加わりました。メンバー募集と同時に実施したアンケートでは、米を使ったどんな加工食品があったらよいかを聞き、314名からの回答を得ました。この結果をベースにプロジェクトがスタートしました。
メンバーは市場調査や加工米飯の生産者を講師に招いた学習会をし、また、生活クラブの米はどこで、どんな生産者が、どんな考えを大切にしてつくられているのかについても学びました。その上で、一定の利用が見込める「米を使った消費材」について話し合い、最終的に6つの新規開発品としてまとめ、2022年3月に生活クラブ全体に向けて開発要望をはかりました。
そのうちのひとつ、複数の具材を混ぜ込んだ「冷凍おにぎり」について、2022年9月、具体的な開発に着手することになりました。おやつにもお弁当にも使いやすいおにぎりは、子育てや仕事で忙しい30~40代の方々の米を利用する機会を増やし、消費促進に期待ができます。また、原料の米は、同じ関東圏で長年にわたり提携する栃木県の生産者「JAなすの・どではら会」がつくる那須山麓米を使うことを基本方針としました。「提携産地の安心安全な米をしっかりと食べ切りたい」という思いも込められています。
2021年7月、生活クラブ東京で組合員が主体となった新たな消費材開発がスタートしました。今回開発するのは米を使った加工食品。近年すすむ米の消費量減少に歯止めをかけ、米の持続可能な生産と消費を推進することを考えつつ、自分たちが求めるものをゼロから考えてつくります。
メンバーは、プロジェクト発足前に実施したアンケートで手を上げてくれた30~40代の子育て世代の組合員12名。2022年度からは、都内4ブロックの生活クラブ組織の理事が加わりました。メンバー募集と同時に実施したアンケートでは、米を使ったどんな加工食品があったらよいかを聞き、314名からの回答を得ました。この結果をベースにプロジェクトがスタートしました。
メンバーは市場調査や加工米飯の生産者を講師に招いた学習会をし、また、生活クラブの米はどこで、どんな生産者が、どんな考えを大切にしてつくられているのかについても学びました。その上で、一定の利用が見込める「米を使った消費材」について話し合い、最終的に6つの新規開発品としてまとめ、2022年3月に生活クラブ全体に向けて開発要望をはかりました。
そのうちのひとつ、複数の具材を混ぜ込んだ「冷凍おにぎり」について、2022年9月、具体的な開発に着手することになりました。おやつにもお弁当にも使いやすいおにぎりは、子育てや仕事で忙しい30~40代の方々の米を利用する機会を増やし、消費促進に期待ができます。また、原料の米は、同じ関東圏で長年にわたり提携する栃木県の生産者「JAなすの・どではら会」がつくる那須山麓米を使うことを基本方針としました。「提携産地の安心安全な米をしっかりと食べ切りたい」という思いも込められています。
サンプルでは、さけと枝豆・ジューシー(沖縄の炊き込みごはん)おにぎり・梅しその3種類が用意されました
参加した組合員は、真剣な表情でそれぞれを食べ比べました
参加した組合員は、真剣な表情でそれぞれを食べ比べました
自分たちが本当に求めているものとは?
当初、おにぎりの形状は俵型にしたいと考えていたメンバーたち。これは小さな子どもが食べやすいこと、お弁当箱にもつめやすく、使い勝手がよいものを開発したいとの思いからでした。ところが調査検討を進める中で、那須山麓米を原料に使える製造工場が限られていること、その工場で要望した大きさの俵型にするには新たな設備投資が必要なことなどがわかりました。
「米を食べる機会を増やす」ためには使い勝手の良さは大切なことです。その一方、原料にしようと考えていた生活クラブの米は、農薬や化学肥料の削減など、提携生産者と組合員が協力してその価値を築いてきたもので、原料に提携生産者の米を使うことも重視してきました。メンバーは「本当に自分たちが求めるもの」とは何なのか、考えさせられることになりました。改めて協議し、提携生産者の米を原料とすることを選択することで意見が一致しました。
「米を食べる機会を増やす」ためには使い勝手の良さは大切なことです。その一方、原料にしようと考えていた生活クラブの米は、農薬や化学肥料の削減など、提携生産者と組合員が協力してその価値を築いてきたもので、原料に提携生産者の米を使うことも重視してきました。メンバーは「本当に自分たちが求めるもの」とは何なのか、考えさせられることになりました。改めて協議し、提携生産者の米を原料とすることを選択することで意見が一致しました。
プロジェクトのメンバーに話を聞きました
23区南生活クラブ 組合員 大貝友美子さん
「生活クラブでは、これまでにもヨーグルトの再開発など、組合員が主体となった消費材の開発・改善活動に取り組んでいます。私も、機会があればそういった活動に参加してみたいと考えていました。参加してみてわかったことは色々ありますが、一つの消費材を開発するのってとても時間がかかるということ。世の中には「新商品」といわれるものがありますが、今後、それらを見る目が変わりそうなとても貴重な発見でした。
今回開発している冷凍おにぎりは、子どもには安心なものを食べてほしいという思いや、お弁当に入れたり子どものおやつにパッと出せたりするものがほしいという、まさに私のような子育て世代の気持ちがこもった消費材です。
プロジェクトのメンバーは、栄養素やアレルギーのことまで真剣に考えていて共感でき、生活クラブに入っていて良かったとあらためて心強く感じました。」
生活クラブ東京 副理事長 加瀬和美さん
「私たち組合員が米を使った消費材を新たに開発するプロジェクトを立ち上げた背景には、米の消費量減少という課題を解決したいという思いがあります。
冷凍おにぎりの原料とした那須山麓米をつくる提携生産者のどではら会のみなさんは、安心して食べられる米を食べ続けたいという私たちの思いに応え、また、生産者ご自身の探求心や地域環境への思いから、使う農薬を減らした米づくりをする努力をしています。どんなものをつくりたいか、食べたいかを相談して決め、作ったものを食べ切るという約束のもと両者の関係は成り立っています。だから組合員はその努力を知り、契約量を食べ切っていくことが大切だと考えています。
今回のプロジェクトには、参加したメンバー以外にも、事前アンケートやこれから行なう消費材名を決める段階などで多くの組合員が参加しています。生活クラブ東京が一丸となってプロジェクトを進め、そして生活クラブ全体でもっと米を食べるきっかけとなる消費材にしたいと思っています」
「生活クラブでは、これまでにもヨーグルトの再開発など、組合員が主体となった消費材の開発・改善活動に取り組んでいます。私も、機会があればそういった活動に参加してみたいと考えていました。参加してみてわかったことは色々ありますが、一つの消費材を開発するのってとても時間がかかるということ。世の中には「新商品」といわれるものがありますが、今後、それらを見る目が変わりそうなとても貴重な発見でした。
今回開発している冷凍おにぎりは、子どもには安心なものを食べてほしいという思いや、お弁当に入れたり子どものおやつにパッと出せたりするものがほしいという、まさに私のような子育て世代の気持ちがこもった消費材です。
プロジェクトのメンバーは、栄養素やアレルギーのことまで真剣に考えていて共感でき、生活クラブに入っていて良かったとあらためて心強く感じました。」
生活クラブ東京 副理事長 加瀬和美さん
「私たち組合員が米を使った消費材を新たに開発するプロジェクトを立ち上げた背景には、米の消費量減少という課題を解決したいという思いがあります。
冷凍おにぎりの原料とした那須山麓米をつくる提携生産者のどではら会のみなさんは、安心して食べられる米を食べ続けたいという私たちの思いに応え、また、生産者ご自身の探求心や地域環境への思いから、使う農薬を減らした米づくりをする努力をしています。どんなものをつくりたいか、食べたいかを相談して決め、作ったものを食べ切るという約束のもと両者の関係は成り立っています。だから組合員はその努力を知り、契約量を食べ切っていくことが大切だと考えています。
今回のプロジェクトには、参加したメンバー以外にも、事前アンケートやこれから行なう消費材名を決める段階などで多くの組合員が参加しています。生活クラブ東京が一丸となってプロジェクトを進め、そして生活クラブ全体でもっと米を食べるきっかけとなる消費材にしたいと思っています」
左から、生活クラブ東京 大貝友美子さん、加瀬和美副理事長
検討は進み、2023年2月に、形状は三角形、重量は50g、鮭・わかめ・ごまを混ぜ込んだ「冷凍おにぎり」とすることが決まりました。今後、味の調整、包材(パッケージ)・名称・価格の決定などを行ない、2023年9月のデビューをめざします。
今後も全国の生活クラブの組合員で各地域の資源を活用しながら、みんなが求める消費材づくりをすすめていきます。
【2023年2月24日掲載】