生産再開に向けて全力奔走!たまごの生産者の熱い想いをお届け
昨年(2022年)12月に株式会社生活クラブたまごの岡部農場で高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)が発生しました。その対応として、これまで農事組合法人 会田共同養鶏組合(以下、会田養鶏)をはじめ、生活クラブのたまごの提携生産者と力をあわせ、足りない分のたまごを確保してきました。
限りある原料を組合員みんなで食べ支えたことで、生産再開にこぎつけることができました。5月からは「よやくらぶ」の新規登録を再開。予約による安定利用があることで、生産者が安心して生産に集中できたことも、回復への希望となりました。今後は注文書・eくらぶでの注文の再開を見込んでいます。
こうした背景には、鳥インフルエンザの猛威に立ち向かいながら、たまごの生産を続ける提携生産者どうしの助けあいが影響しています。この間、どのような対策をしてきたのか、そして、生産者たちの供給再開にかける想いをお伝えします。
鳥インフルエンザを食い止め、本格生産に向かう
鳥インフルエンザ発生後、鶏の処分や鶏舎の消毒を終えても、すぐに生産を再開できない状況でした。今後、鳥インフルエンザを発生させないために、さまざまな対策を講じる必要があったからです。
鳥インフルエンザが発生した鶏舎は、ウイルスが完全に消滅したことを確認するため、管轄の家畜保健所の指導のもと発生当時のまま触れずに置いておく必要がありました。静置期間を含めて約90日間がかりで清掃を完了させ、その後、鶏舎にモニター鶏を導入。それらが産んだたまごにウイルス感染などの問題がないことを証明・確認してから、はじめて本格生産の開始となります。
ウイルスを消滅させるだけでなく、今後、再発生させない対策も生産再開には必要です。一部の鶏舎は全体を大きな網で囲うことで、外から鳥や小動物が入り込まないように対策しました。生産再開を少しでも早めるための応急処置の対応です。
鳥インフルエンザが発生した鶏舎は、ウイルスが完全に消滅したことを確認するため、管轄の家畜保健所の指導のもと発生当時のまま触れずに置いておく必要がありました。静置期間を含めて約90日間がかりで清掃を完了させ、その後、鶏舎にモニター鶏を導入。それらが産んだたまごにウイルス感染などの問題がないことを証明・確認してから、はじめて本格生産の開始となります。
ウイルスを消滅させるだけでなく、今後、再発生させない対策も生産再開には必要です。一部の鶏舎は全体を大きな網で囲うことで、外から鳥や小動物が入り込まないように対策しました。生産再開を少しでも早めるための応急処置の対応です。
鶏舎全体を網で囲った様子
現在すすめられているリニューアル工事の様子
家畜保健所の検査をクリアし、生産再開された鶏舎
生産者が語る、農場の今とこれから先の生産で必要なこと
生活クラブたまごは純国産鶏種「もみじ」と「さくら」を採用しています。生活クラブたまごの岡部農場は、鳥インフルエンザの発生がなければ8万羽のヒナを受け入れる予定でしたが、鳥インフルエンザの発生により受け入れができなくなりました。そこで、提携生産者の会田養鶏が「もみじ」のヒナ(120日齢)を代わりに受け入れ、さらにほかの関係のある農場などにも協力の輪が広がっていきました。
生活クラブたまごが生産体制を整えている間、農場で育てている「もみじ」と「さくら」の飼養管理は、提携生産者どうしで協力しあっています。
鳥インフルエンザに対してどのように向きあい、この状況を乗り越えていくのか。また、生産再開に向けた意気込みを生活クラブたまごの代表取締役専務・工藤一さんと、会田養鶏の組合長理事・上村博文さんに聞きました。
生産者からのメッセージ
生活クラブたまごが生産体制を整えている間、農場で育てている「もみじ」と「さくら」の飼養管理は、提携生産者どうしで協力しあっています。
鳥インフルエンザに対してどのように向きあい、この状況を乗り越えていくのか。また、生産再開に向けた意気込みを生活クラブたまごの代表取締役専務・工藤一さんと、会田養鶏の組合長理事・上村博文さんに聞きました。
生産者からのメッセージ
「たまごの生産者」という、つながりが救いの手となった
株式会社生活クラブたまご 代表取締役専務 工藤 一さん
農場の異変に気づいたのは2022年12月16日のこと。農場長が血相を変えて事務所に駆け込んできて、鶏が亡くなっていることを知らされました。鳥インフルエンザの発生により、今まで大切に育ててきた鶏の命を奪うこととなり、スタッフには生産体制の回復まで心身ともに大変な作業をお願いすることになりました。鶏舎に入れる予定だったヒナは一時、処分することも考えました。ですが、組合員のみなさんに一刻も早くたまごをお届けしようと、生活クラブ連合会にも協力を仰ぎ、常日頃から情報交換をしている会田養鶏にヒナの飼養を依頼し、さらに各地の生産者も紹介していただきました。いま、率直に感じるのは、各地の農場の方々が飼養管理を受け入れてくれたのには、同じたまごの生産者としての想いがあったということ。一部の自主基準(※)は緩和しているものの、鶏種は「もみじ」と「さくら」を、飼料は遺伝子組み換えの混入を防ぐため分別したトウモロコシや大豆かす、飼料用米を使用するなど、こちらの生産基準にあわせた飼養を受け入れてくれました。限られたスケジュールのなか、全力で協力いただき感謝しています。
これまで鳥インフルエンザは、鳥や小動物から感染すると考えられていましたが、最近ではハエからも検出されているそうです。完全な予防対策はいまだ見つけられていないものの、鳥インフルエンザの発生リスクを回避するために、鶏舎のリニューアル工事や従来よりも飼養羽数を減らすなど、生産体制の回復に向けて着々と歩み出しています。もう一度原点に立ちかえり、スタッフといっしょに衛生管理を強化しつつ、生産者どうしで連携しながら、たまごを生産していきます。
※生活クラブが消費材をつくる際のガイドラインです。組合員と生産者が納得いくまで話しあい、生活クラブ独自のルールを決めています。
今までもこれからも「今できること」を最優先に考えていきたい
農事組合法人 会田共同養鶏組合 組合長理事 上村 博文さん
生活クラブと提携した当初から「たまごを組合員のみなさんに安定的に供給するために、生活クラブたまごと協力する」ことを約束していました。鳥インフルエンザ発生の知らせを受けた時も、真っ先に浮かんだのは「会田養鶏ではどこまで協力できるか」でした。すぐにほかの会社との供給の取引きを停止して、ヒナの受け入れを決意。私たちが生産する「平飼いたまご」の親鶏に、生活クラブたまごと同様の内容・基準の飼料を与えていることもあり、ためらいはありませんでした。こうして「もみじ」の受け入れから、ほかの生産者の紹介までを担い、現在は長野県内にある2つの養鶏場に生産を委託している状況です。鳥インフルエンザは、いつ・どこの農場で発生するか予想できません。このような状況下で毎年、何千・何万もの鶏の命が犠牲にならないよう、私たちは引き続き、鶏が健康に育つ快適な環境づくりをすすめていきます。
地域の違いはあるにせよ、同じたまごの生産者です。育て方や飼料の話など、これまでに何度もノウハウを共有しあってきました。鶏舎のリニューアル工事をはじめ、生活クラブたまごの生産再開まで少しずつ先が見えてきたところです。今までと同じ生産体制に戻せるよう、生活クラブたまごとともに努力し続けますので、これからも生活クラブのたまごを味わってください。
これからもずっと、安心して生活クラブのたまごを食べられる未来に向かって
今回の鳥インフルエンザ発生を受け、生活クラブたまごでは、2023年4月から老朽化していた一部の鶏舎のリニューアル工事をすすめています。鶏舎の中を2つに分けることでウイルスの発生リスクを軽減。カーテンを設置して昼は開けて光を入れ、風通しをよくし、夜は決まった時刻に閉めて明るさを調整することで、鶏の生活リズムを保つようにします。また、鶏が暑さで弱ってしまわないよう、鶏舎の中にミストを設置し、鶏の健康を第一に育てていきます。ウイルスの感染拡大の一因になる鶏ふんの処理は、ベルトコンベアを設置することで、自動的に運搬できるようにします。5月から工事はスタートしており、すべての鶏舎の完成は12月の予定です。
こうした困難にも決してくじけることなく、生産再開していこうと努力し続けられるのは、毎週の注文はもちろん、予約という「食べる約束」をしてたまごを待ってくれる組合員がいるから。予約により生産者は持続的な利用が見込めるだけでなく、生産の計画を立てやすくなり、安心してたまごの生産を続けられます。
今までと変わらず、生活クラブのたまごを毎日の食卓に並べられるように。わたしたちの食べ続ける力が生産者へのエールとなり、純国産鶏種のたまごの生産を未来へとつなぎます。
【関連記事】
たまごをお届けするために ただいま奮闘中!生産者と力をあわせ生産再開をめざす生活クラブのたまご(2023年2月28日掲載)
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【2023年6月23日掲載】