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5年ぶりに「兵庫県水産産地交流会」を開催! 「きれいな海」ではなく「豊かな海づくり」に向けて組合員と生産者が交流


 
生活クラブでは、組合員と生産者が直接会って意見を交わし、お互いの課題を共有する産地交流会を大切にし、定期的に開催しています。
2023年7月5~7日には、兵庫県漁業協同組合連合会(以下、兵庫県漁連)との交流会を開催しました。
2015年、2018年につづき3回目となる今回は、兵庫県漁連を通して、「はも」「ちりめん」「たこ」を届ける3つの漁業協同組合(以下、漁協)の漁場や加工場を視察。組合員の代表5名を含む11名が参加し、ふだん食べている消費材(※)の生産状況を確認し、生産者が取り組む持続可能な漁業について理解を深めました。

(※)消費材とは生活クラブで取り扱う品物のことで、その多くは組合員と生産者が協力してつくったオリジナル品です。

交流会は生産者に直接会って産地を学ぶ大切な機会

生活クラブでは、水産物の産地と提携関係を深めながら、持続的な生産と消費をめざしています。交流会を定期的に開催し、組合員が産地を訪れて生産者から漁業の実情を学び、産地の課題やこれからの取組みについて直接話し合いを行なっています。

訪問先となる兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海および太平洋に面し、豊富な水産資源に恵まれています。生活クラブと兵庫県漁連との提携が始まったのが2013年。以来、兵庫県の漁場で水揚げされる水産物の消費材が組合員の食卓に届けられています。

今回の交流会では、瀬戸内海の「豊かな海づくり」をテーマに、「瀬戸内海産はもカツ」をつくる坊勢(ぼうぜ)漁協、「淡路島ちりめん」をつくる津名(つな)漁協、「明石だこの炙り」をつくる明石浦漁協の3つの漁協などを訪問し、各漁協の生産者と交流しました。

瀬戸内海の「豊かな海づくり」を知り、学ぶ

坊勢漁協

「瀬戸内海産はもカツ」の生産者は、姫路沖の島・坊勢島(ぼうぜじま)にある坊勢漁協です。ここは、日本一の登録船数を誇る巨大漁協で、6~8月は特にはも漁が盛んです。

高級魚として知られるはもですが、生態系においては淘汰されにくい強い魚で、兵庫県全体の漁獲量が減少しているなかでも、はもの漁獲量は増えています。とはいえ、大型のはもは捌くのに手間がかかるため、買い手がつかず魚価が下がる傾向にあります。兵庫県漁連では、漁業者の収入安定を目的に魚価が下がらないよう買い支えし、加工品をつくっています。
生活クラブでは、漁獲された魚をきちんと食べきることを目的として、兵庫県漁連と「瀬戸内海産はもカツ」を開発、2023年5月のデビュー以来、おおぜいでの利用をすすめています。

あいにくの悪天候のため漁業見学船に乗り、定置網という網を設置しておき魚を誘導して漁獲する漁法と、ヒラメやオニオコゼの稚魚を捕食されない大きさまで育てて海に放流するための中間育成施設を視察しました。
坊勢漁協では、獲る漁業からつくり育てる漁業への取組みにおいて、地元小学生の見学を受け入れ、豊かな海づくりを知ってもらうための取組みも行なっています。
  
定置網漁業と、「瀬戸内海産はもカツ」の原料となるはもの競りのようす。漁業の大変さを感じる貴重な体験となりました。
 
大型のはもの有効活用として開発した「瀬戸内海産はもカツ」(調理例)。ふんわりやわらかな食感であっさりと食べられる。

津名漁協

「淡路島ちりめん」の産地・淡路島の津名(つな)漁協で水揚げされたカタクチイワシの稚魚は、漁協のすぐ隣にある(有)宮本水産(以下、宮本水産)で、塩ゆで・乾燥・1次選別工程を経て水産加工センターで2次選別・パック詰めされます。

淡路島は、日本で屈指の漁獲量を誇るカタクチイワシの産地。2022年は大不漁にみまわれましたが、現状ではやや回復傾向にあります。
宮本水産の宮本社長は、「よい消費材をつくるためには、カタクチイワシの目利きが重要で、鮮度や色、大きさなど、ちりめんに向く良質な原料を買い付けることに力を注いでいます」と語ります。

一般的には、塩ゆで後、機械で乾燥させて完成となりますが、こちらの加工所では、さらに1~2時間天日干しすることで旨みを凝縮させ、仕上がりをよくしています。「その日の気温、湿度、日照などの条件が異なる天日干しは、均一に乾燥させることが大事。食べながら出来を確認し最良の仕上がりにしている」とのこと。長年の経験が生かされる職人技です。視察した組合員の代表もちりめんの干し具合を自分たちの目でチェックしました。

(有)宮本水産での天日干しの工程。組合員も干し網を前にし、ちりめんの干し具合を確認しました。施設一面に広がるちりめん干しは圧巻の光景。

水産加工センターでの選別の工程。ちりめんの大きさの選別だけでなく、漁網や小さなたこなどの異物混入を防ぐため、機械だけでなく人の目でも細かくチェックされていることを確認しました。

素材本来の味わいが楽しめる「淡路島ちりめん」(調理例)

明石浦漁協

「明石だこの炙り」の産地となる明石浦漁協は、国内有数のたこの産地です。ここでは、漁港の生けす(24時間海水が注がれる水深の浅いプール)で鮮度を保っておき、競りにかけられる直前まで活かしておきます。競り落とした後は買い付け人がすぐさまトラック内の水槽に移動させたり、漁港で活〆・血抜きの処理を行なったり、鮮度を意識したようすが見られました。

たこが活きたまま漁協の生けすで競りにかけられている場面や、他の魚種も水揚げから出荷まで鮮度を第一に取引されるようすを間近で確認することができました。

明石のたこは全国でも有名ですが、市内の漁獲量は2009年の約1,400トンから、2021年には約150トンにまで激減しています。地元の漁業者たちはこのような状況を重く受けとめ、瀬戸内の海を魚の棲める「豊かな海」にしようと、さまざまな取組みをすすめています。

 
明石浦漁協では、仲買人たちの威勢のよい声が響くなかで、魚やたこが活きたまま競りにかけられているようすを見学しました。

噛むたびに甘みと旨みが口に広がる「明石だこの炙り」(調理例)

「豊かな海」とは何か、みんなで考えることが大切

持続可能な漁業をめざし、「豊かな海づくり」をテーマとした学習会が開かれました。

瀬戸内海では、1960-70年代に赤潮や公害による水質汚染を改善するために、水質の浄化を徹底してすすめたことによって、水質がきれいになった一方、魚が棲みにくい環境になることで長年にわたり水質面での課題を抱えています。
ふたたび魚が棲める環境にするためには、山から河川を通して流れてきた窒素やリンなどの栄養塩がバランスよく海水と混ざり、魚たちのエサになるプランクトンが発生しやすくなるような、豊かな海にすることが必要です。

兵庫県漁連の突々(とっとつ)専務は、「海の栄養が少なくなってしまった…。『空は青く、森や大地は蒼く、海は碧く』と表現します。『碧』は深いみどり色。植物プランクトンから小魚までいろいろな生物がたくさんいるのが本来の海なのだと思います」と説明。
組合員からは「きれいな海の認識が違っていたので衝撃的だった」という声がありました。

兵庫県漁連では、海の栄養分が豊かになるよう海底耕うんや陸地にある池の堀り起こしに取り組んでいます。
突々専務からは、「まずは山からの栄養が循環し、魚が棲みやすい環境づくりをすすめていくことが大事。そして、消費者のみなさんと一緒になって、海の豊かさについて考えていけるようにしたい」との想いが語られ、漁業者だけでなく消費者もともに考え続けていくことの大切さについて気づく機会となりました。

瀬戸内海のいかなごの生産者 兵庫県漁連が取り組む豊かな海づくり(2023年8月28日掲載 サステイナブルな未来を一緒に考える)
 
学習会では、漁連担当者と直接やりとりすることで、「豊かな海づくり」について理解を深めることができました。

生産者の想いをたくさんの組合員に伝えたい!

交流会に参加した生活クラブ北海道の髙橋諒子さんは、「瀬戸内海の美しさと漁協、漁連の皆さんの努力やこだわりに感動しました。豊かな海を取り戻すための活動や魚のおいしさを広める活動など、『変わらずに守るもの』と『守るために変わっていくこと』の大切さが詰まっていて、たくさんの人に知ってほしいと感じました」と話しています。

同じく、生活クラブ多摩きたの鈴木寿子さんも、「持続可能な漁業のために、稚魚などを育てて海へ放流したり、魚の棲みかになる人工漁礁などを作ったりと、さまざまな資源管理についても知ることができました」と語り、産地や生産者への想いを強くしていました。

水産産地交流会に参加した組合員は、学んだことをほかの組合員に発信する役割も担います。生産者は組合員の声を受け、新たな消費材づくりなどにつなげます。
生活クラブは、組合員と生産者がお互いに知り学び合えるこのような機会を、これからも大切にしていきます。
 
兵庫県漁連本所にて参加者集合写真。生活クラブ北海道の高橋諒子さん(下段右端)、生活クラブ多摩きたの鈴木寿子さん(下段左から2番目)ほか。
【2023年8月30日掲載】

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