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生協の食材宅配【生活クラブ】
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「おふくわけ」で、おいしい幸せをおすそ分け

企業や団体、個人から食品の寄贈を受け、食の支援を必要とする人を支えるフードバンクの活動が、福祉と食品ロス削減の視点から全国に広がっている。生活クラブは2018年から生活クラブフードバンクを開始。今年度、新たな仕組み「おふくわけ」をスタートした。

配達なしの消費材

「おふくわけ」は、組合員が注文した消費材を地域で食支援の活動をしている団体に届ける生活クラブフードバンクの新しい仕組み。注文した組合員の手元には配達されない、もう一つの消費材だ。

一般に、フードバンクは家庭内の余剰な食品や、まだ十分食べられるにもかかわらず何らかの理由で流通しない食品の寄贈を受けて運営されている。生活クラブ連合会は自前の物流システムを活用し、こうしたフードバンクの活動を2018年度から開始(単協限定)。19年度以降は、六つの会員単協内の30団体に向けて、飯能デリバリーセンターで出る食品ロスと、まれに発生する提携生産者からの余剰提供品を配布してきた。

しかし、生産者が注文にもとづき計画を立てて消費材を生産し、組合員が利用する生活クラブの「予約共同購入」は、そもそも食品ロスを発生させないシステムだ。そのため、週1回、1団体に届く消費材の数には限りがあり、配布団体を増やしたいという組合員の声に応えられなかった。

そこで発想を転換し、通常のフードバンクとは別に、食の支援が必要な人に届ける消費材を組合員が注文する仕組みとして開始したのが「おふくわけ」だ。24年6月の実験取り組みにはこれまでの6単協(東京、埼玉、長野、茨城、山梨、愛知)に加え、新たに2単協(神奈川、奈良)が参加した。注文数に応じて、各単協が指定した届け先に消費材が届く。

「6月の1回だけで8トンの食品支援ができました」と成果を語るのは、生活クラブ共済連政策企画部長の高木一臣さん。これまでは年間52週の合計で1トンだったと打ち明ける。コメの支援ができたことも成果だ。「おふくわけ米」は1口約500円で1キログラムの共同開発米を届けることができる。5口の注文が集まれば1袋(5キログラム)になる。コメはどの活動団体にとっても最も必要な食品だが、輸送費が悩みの種だ。「輸送に関しては、JA全農グループの協力を得られたことが大きい」と高木さん。生協と農協との協同組合間連携の重要性を強調する。

「eくらぶ」または注文書で、「おふくわけ」を申し込みます。
 

組合員が注文した「おふくわけ」の品目をまとめて、地域のフードバンク団体に届けます。※一部の地域では配送センター
 

地域のフードバンク団体を通じて、食の支援を必要とする人に消費材が届けられます。

地域でつながる道具に

提供された食品を手分けする様子(フードバンクかながわにて)

「地域内のフードバンクなど中間支援組織とのつながりも重要です」。生活クラブ神奈川副理事長の矢野克子さんはそう話す。神奈川のおふくわけの届け先、「フードバンクかながわ」は、県内の生協や協同組合などが連帯して16年に設立した公益社団法人だ。設立の過程で、格差や貧困問題に対する組合員の関心が高まり、それぞれの地域で独自の活動が進んでいるという。「地域のニーズに気づいてどう寄り添えるか、地域内のつながりが大事です。私たちが直接つながることができる市民団体は限られており、支援が必要なところすべてには行き届きません。中間支援組織と連携することで多くの他団体とつながり、広く情報が行き渡る。新たな連携活動が生まれる可能性もあります」

とはいえ、格差や貧困は自助、共助だけで解決する問題なのか。「だからこそ、行政に物申すためにも実践し、現場の声を集めていくことが必要ではないか」と高木さんは力を込める。「自分だけ良ければいいわけじゃない。困っている人がいたらほっとけない。まずは地域で生活する人たちが交流しながら助け合っていかないと、世の中なかなか変わりませんよね」

食品の寄贈や配布など、すでに活動している組合員もいれば、気持ちはあっても機会がない組合員もいるかもしれない。一人一人が注文書で、あるいはインターネット(eくらぶ)で注文して集める新しいフードバンク。今年度は11月と25年2月、あと2回企画している。(※)「大勢が参加して、大きな力になるといいですね」と矢野さんは期待する。

※米価高騰を受け、11月企画は1口約0.8キログラム、6口で1袋(5キログラム)に変更し、名称を「フードバンクおふくわけ米(寄付)」とします。

 
文/本紙・元木知子
★『生活と自治』2024年11月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
 
【2024年11月30日掲載】
 

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