生活クラブで学んだこと+地域の力=「ふじえだ元気大賞」
NPO法人W.Coまつぼっくり(静岡県)【前編】
【連載】みんなで広げる たすけあい
生活クラブグループの生協や関連団体では、福祉・たすけあいの活動や事業が各地でとても豊かに展開され、さらに広がりをみせています。これらの取組みを紹介します。
生活クラブで学んだことを活かして、地域で実践してみる。その活動に多くの地域住民が参加して、ついには行政から賞を受けるまでになる。そんなすばらしい活動が静岡県藤枝市にあります。
【前編】生活クラブでの経験を活かして、地域で実践してみる
ふじえだ元気大賞
2022年に「令和3年度ふじえだ元気大賞」に、NPO法人W.Co※1まつぼっくり(以下、W.Coまつぼっくり)が選ばれました。
藤枝市民に元気や活力を与え、藤枝市の知名度やイメージアップに貢献した団体として認められたためです(2022年度の受賞者は1個人・3団体)。
※1「ワーカーズコレクティブ」。働く人の協同組合で、働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働を分担します。
W.Coまつぼっくりは、藤枝市民にどのような元気や活力を与えているのでしょうか。
藤枝市民に元気や活力を与え、藤枝市の知名度やイメージアップに貢献した団体として認められたためです(2022年度の受賞者は1個人・3団体)。
※1「ワーカーズコレクティブ」。働く人の協同組合で、働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働を分担します。
W.Coまつぼっくりは、藤枝市民にどのような元気や活力を与えているのでしょうか。
活気にあふれる子ども食堂
ある月の土曜日。「こども食堂まつぼっくり」※2の会場では、できあがった料理が運ばれると、おおぜいの参加者がお皿を手に並び始めました。
※2 毎月第2土曜日に藤枝市福祉センター「きすみれ」で開かれています。
待っている時間も、なんだかとっても楽しくてしかたがないようです。
「カレーはたくさん食べられる?」「トマトは好き?」「デザートは別の器に入れるね。」
差し出されたお皿にスタッフが順々に料理をのせていきます。
この日のメニューは、カレー・チキンナゲット・ウインナー・マカロニサラダ・トマト・シャインマスカット・ゼリー・麦茶。種類が多いだけでなく、おかわりもたくさんできます。
ここに集う目的
食べているところにおじゃまして、参加者にお話をきいてみました。
「妻が出産間近なので、子どもと2人できました。」
「2歳の双子と一緒に外食するのは大変です。ここならゆっくり食べることができて助かります。」
「友人に紹介されて初めて来ました。地域に知り合いがいないのでこのような場所があるのはうれしいです。」
「ぼくは毎回来ているよ。食べるだけじゃなくて、手伝いもしているよ。」
「妻が出産間近なので、子どもと2人できました。」
「2歳の双子と一緒に外食するのは大変です。ここならゆっくり食べることができて助かります。」
「友人に紹介されて初めて来ました。地域に知り合いがいないのでこのような場所があるのはうれしいです。」
「ぼくは毎回来ているよ。食べるだけじゃなくて、手伝いもしているよ。」
それぞれがそれぞれの目的でやってきて、ここでのひとときを楽しみます。
食事の後、大人たちはおしゃべりを続け、子どもたちは自由に遊びます。
W.Coまつぼっくり理事長の前田りつ子さんは、そんな様子をうれしそうに見ています。
「ここは居場所型の子ども食堂ですから、経済的に困っている家庭の人たちばかりというわけではありません。みんなで顔を合わせて食べることが大切です。つながりのできる場になれたらいいですね」。
食事の後、大人たちはおしゃべりを続け、子どもたちは自由に遊びます。
W.Coまつぼっくり理事長の前田りつ子さんは、そんな様子をうれしそうに見ています。
「ここは居場所型の子ども食堂ですから、経済的に困っている家庭の人たちばかりというわけではありません。みんなで顔を合わせて食べることが大切です。つながりのできる場になれたらいいですね」。
食事会場の隣に設置された「みんなで遊ぼうコーナー」では工作なども楽しめます。
「今日は、どんぐりや木の枝を使って作品づくりをしています。自由に作っていいのですが、紐を結ぶという手順を入れています」。
仲田克映さんは、子どもたちが身近な遊び・学びの場の中で生活技術を身に付けられるようにと願って内容を組み立てています。
仲田克枝さん(左)と、工作の参加者(右)
前田さんの思い
前田りつ子さん
W.Coまつぼっくり理事長の前田さんは、この活動を始める前は、生活クラブ生協静岡の理事長を務めてきました。
当時は、多くの子どもが相対的貧困にあることが注目され始めていた頃です。前田さんは「生活クラブ静岡の各支部に子ども食堂をつくりたい」と考えるようになります。
生協は協同組合です。協同組合の中で、ひとりの思いを全体のものとするためには、それなりの時間が必要です。協同組合はひとりひとりの意見を尊重して運営するために、ていねいな話し合いを重視しているからです。さらに、地域の状況や生活クラブ静岡の状況など、さまざまな条件も考慮する必要があります。
そのような状況の中で、前田さんは理事長退任の時期を迎えることとなりました。2017年のことです
思いを形にしてみる
理事長を退任した前田さんは、生活クラブで活動をともにした仲間たちと子ども食堂づくりを実践してみることを決意します。
「生活クラブの活動の中で、社会の課題に目を向けることを知りました。そして、『課題を知ったからには行動することが当たり前』というように鍛えられました」。
まずは、地域の公共施設を借り、食材費などは自前で、数人の仲間たちと一緒に「こども食堂まつぼっくり」を始めました。
―みんなにとても歓迎されたのではないでしょうか?
「地域の人からは『この地域にそんな貧しい人はいない』などとなかなか理解してもらえませんでした。電話で『売名行為』といわれたこともありました」(前田さん)。
*後編に続きます。
「生活クラブの活動の中で、社会の課題に目を向けることを知りました。そして、『課題を知ったからには行動することが当たり前』というように鍛えられました」。
まずは、地域の公共施設を借り、食材費などは自前で、数人の仲間たちと一緒に「こども食堂まつぼっくり」を始めました。
―みんなにとても歓迎されたのではないでしょうか?
「地域の人からは『この地域にそんな貧しい人はいない』などとなかなか理解してもらえませんでした。電話で『売名行為』といわれたこともありました」(前田さん)。
*後編に続きます。
【2025年1月28日掲載】