生活クラブとともに地域をつくる発電所
生活クラブでんきは、生活クラブが出資する自前の発電所のほか、契約関係にある地域の発電所を合わせ全国71カ所から調達されている(2025年4月現在)。みんなが豊かに暮らせる地域づくりをともに進める発電所だ。今後供給を開始する発電所を含め、特徴的な取り組みを紹介する。

①阿寒バイオガス発電所(北海道阿寒町)

牛のふん尿を発酵させ電気と熱エネルギーを生産。日常は生活クラブ向けに、非常時は一定の地域を閉じ、民家と牧場に電気を供給するマイクログリッド方式。

牛のふん尿を発酵させ電気と熱エネルギーを生産。日常は生活クラブ向けに、非常時は一定の地域を閉じ、民家と牧場に電気を供給するマイクログリッド方式。
②生活クラブにかほ院内風力発電所(秋田県にかほ市)

「夢風」に続く2基めの風車。市内を開発可能な場所、不可能な場所、協議が必要な場所に区分(ゾーニング)し、地域市民の共有地(コモンズ)に建設。

「夢風」に続く2基めの風車。市内を開発可能な場所、不可能な場所、協議が必要な場所に区分(ゾーニング)し、地域市民の共有地(コモンズ)に建設。
③おおじらかわ小水力発電所(長野県松本市)

未利用の水資源を活用し環境調和型の水力発電事業を進めるさとやまエネルギー㈱との共同出資で、中山間地の新たな価値創出をめざす。

未利用の水資源を活用し環境調和型の水力発電事業を進めるさとやまエネルギー㈱との共同出資で、中山間地の新たな価値創出をめざす。
④さがみこファーム発電所(神奈川県相模原市)

耕作放棄地を再生し、発電と農業を行うたまエンパワー㈱との共同事業。36種類のブルーベリーを生産する農地の上で太陽光パネルが発電する「ソーラーシェアリング」方式。

耕作放棄地を再生し、発電と農業を行うたまエンパワー㈱との共同事業。36種類のブルーベリーを生産する農地の上で太陽光パネルが発電する「ソーラーシェアリング」方式。
⑤きらら生活クラブ長野㈱営農型太陽光発電所(長野県塩尻市)
提携生産者の餃子(ギョーザ)用ニラ畑でのソーラーシェアリング検討プロジェクトが進行中。発電収入の一部を活用して、組合員参加による営農委託金を創出し、地域循環モデルを構想。2025年9月開始予定。
提携生産者の餃子(ギョーザ)用ニラ畑でのソーラーシェアリング検討プロジェクトが進行中。発電収入の一部を活用して、組合員参加による営農委託金を創出し、地域循環モデルを構想。2025年9月開始予定。
⑥家庭用オンサイトPPA自家消費型発電所(山形県遊佐町、東京単協エリア)
家の屋根を貸し、太陽光パネルと蓄電池を無償で設置。発電量の80%を自家消費し、余った電気を生活クラブエナジーが買い取るPPA(電気の売買契約)方式。自律した電源として、災害時には蓄電池から電気を得ることができる。遊佐町での実証実験と、首都圏版での新たな「生活クラブでんき」の取り組みとして検討中。どちらも今秋開始予定。
家の屋根を貸し、太陽光パネルと蓄電池を無償で設置。発電量の80%を自家消費し、余った電気を生活クラブエナジーが買い取るPPA(電気の売買契約)方式。自律した電源として、災害時には蓄電池から電気を得ることができる。遊佐町での実証実験と、首都圏版での新たな「生活クラブでんき」の取り組みとして検討中。どちらも今秋開始予定。
再生可能エネルギーは「非戦」のエネルギー
戦争の主原因は資源の奪い合いです。鉱物資源があるからロシアはウクライナに侵攻し、原子力発電所が標的になることもはっきりしました。その点、小規模分散型を特徴とする再生可能エネルギーは戦争の原因になりません。「非戦」のエネルギーと言えるでしょう。
もう一つ重要なのは、再生可能エネルギーは人間がコントロールできるという点です。秋田県にかほ市の風車建設後、メンテナンスに力を入れてきました。たとえ故障しても修復できます。福島第一原発事故で明らかになったように、大規模集中型の発電所はひとたび何かが起これば収まりがつきません。
太陽光パネルのリサイクル技術は進み、地域内の森林資源で循環できるバイオマス発電も広がってきました。環境保全を軽視した事例があるのは事実ですが、すべてがそうであるかのような報道に対しては、自信を持って声を上げていいと思います。
今、私たちの事業は再生可能エネルギーの発電所をつくる、増やすことから、利益を活用した地域づくりや人づくりへと広がっています。それとともに、生活クラブでんきへのスイッチングが広がることを期待しています。
(一社)生活クラブエネルギー事業連合副理事長・半澤彰浩
もう一つ重要なのは、再生可能エネルギーは人間がコントロールできるという点です。秋田県にかほ市の風車建設後、メンテナンスに力を入れてきました。たとえ故障しても修復できます。福島第一原発事故で明らかになったように、大規模集中型の発電所はひとたび何かが起これば収まりがつきません。
太陽光パネルのリサイクル技術は進み、地域内の森林資源で循環できるバイオマス発電も広がってきました。環境保全を軽視した事例があるのは事実ですが、すべてがそうであるかのような報道に対しては、自信を持って声を上げていいと思います。
今、私たちの事業は再生可能エネルギーの発電所をつくる、増やすことから、利益を活用した地域づくりや人づくりへと広がっています。それとともに、生活クラブでんきへのスイッチングが広がることを期待しています。
(一社)生活クラブエネルギー事業連合副理事長・半澤彰浩
★『生活と自治』2025年4月号 「生活クラブ 夢の素描(デッサン)」を転載しました。
【2025年4月18日掲載】