地域の人がつながる居場所 みんなのサロン「輪(りん)」(栃木県)【後編】
【連載】みんなで広げる たすけあい
生活クラブグループの生協や関連団体では、福祉・たすけあいの活動や事業が各地でとても豊かに展開され、さらに広がりをみせています。これらの取組みを紹介します。
生活クラブ栃木の組合員が中心となって運営している、みんなのサロン「輪」(以下、サロン輪)。
参加者はもともと知り合いどうしという人たちだけではなく、初めて出会う人が多いといいます。
にもかかわらず、みなさん和気あいあいとした雰囲気で楽しんでいます。
その秘密を探るために、サロン輪の立ち上げ前から振り返ってみましょう。
【後編】
温めてきた思い
「県北ぽけっと」は生活クラブ生協栃木が1階部分を借りている建物で、個別配送(那須塩原市・大田原市)の拠点です。
それなりの広さがあるのですが、配送のない曜日や時間帯には活用しきれていない状況でした。
それなりの広さがあるのですが、配送のない曜日や時間帯には活用しきれていない状況でした。

県北ぽけっと
「ここを活用して、地域に点在する組合員のつながりをつくりたい」。
生活クラブ栃木からの受託で個別配送業務を担うW.Co.Rin(ワーカーズ・コレクティブ※1 リン)のメンバーたちはそう考えるようになりました。
※1 働く人の協同組合。働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働を分担します。

W.Co.Rinのメンバーの皆さん
きっかけは「つながりづくり助成」
そんな中で、W.Co.Rin代表の永森隆子さんは「つながりづくり助成」※2という制度があることを知ります。
※2 一般社団法人生活クラブ福祉事業基金が運営する助成制度のひとつ。生活クラブグループの生協の組合員が、地域でつながりをつくる活動や事業を新たに立ち上げることを支援する。2024年度から開始。
※2 一般社団法人生活クラブ福祉事業基金が運営する助成制度のひとつ。生活クラブグループの生協の組合員が、地域でつながりをつくる活動や事業を新たに立ち上げることを支援する。2024年度から開始。

永森隆子さん
永森さんは「組合員だけでなく、地域に暮らすさまざまな人たちと交流できる居場所をつくろう」と考え、W.Co.Rinのメンバーである丹羽寿美さんや、丹羽さんの友人の福田本子さんに声をかけました。

丹羽寿美さん
自分たちも楽しめる企画を、楽しみながら考える
さらに、W.Co.Rinの他のメンバーたちも加わって、月に1回開催する企画の内容を練りました。
「まずはおしゃべりができる場がいい」
「おもしろそうな場にしたい」
「季節にあったテーマで関心をもってもらおう」
「組合員活動と連携したい」
「友人や知人を講師に招いては」
など、自分たちも一緒に楽しめる企画の案があれこれ出てきました。
こんなふうにみんなで楽しみながら年間計画をつくりました。
「まずはおしゃべりができる場がいい」
「おもしろそうな場にしたい」
「季節にあったテーマで関心をもってもらおう」
「組合員活動と連携したい」
「友人や知人を講師に招いては」
など、自分たちも一緒に楽しめる企画の案があれこれ出てきました。
こんなふうにみんなで楽しみながら年間計画をつくりました。

運営メンバーにも楽しい企画
W.Co.Rinのメンバーを中心にみんなで楽しみながら立てた計画を携え、新たな団体として「みんなのサロン「輪」」を立ち上げました。
そして、「つながりづくり助成」の支援もあり、2024年5月からはサロン輪の企画を開催し、以来月に1度の企画を欠かさず開催し、和気あいあいとした雰囲気を広げています。
前編でご紹介した「美味しいコーヒーの淹れ方講座」(2025年1月実施)もその一つです。
参加者も運営メンバーも、皆さん本当に楽しんでいる様子でした。
そして、「つながりづくり助成」の支援もあり、2024年5月からはサロン輪の企画を開催し、以来月に1度の企画を欠かさず開催し、和気あいあいとした雰囲気を広げています。
前編でご紹介した「美味しいコーヒーの淹れ方講座」(2025年1月実施)もその一つです。
参加者も運営メンバーも、皆さん本当に楽しんでいる様子でした。

美味しいコーヒーの淹れ方講座
サロン輪の和やかさの秘密。そのひとつは、運営メンバーも楽しめるこの企画にあるようです。
地域に広がる、サロン輪のつながり
サロン輪の運営メンバーで、ワーカーズ・リンのメンバーとして配達をしている榑林(くればやし)美千代さんは、「個別配送の組合員のお住まいは地域に点在しているのですが、サロン輪の活動で組合員どうしの『顔が見える関係』ができてきました。配送時に、サロン輪への参加を呼びかけている効果もあると思います」と話します。
「さらに地域のつながりをつくるために活動を継続したいです」。榑林さんはそう意気込みます。
「さらに地域のつながりをつくるために活動を継続したいです」。榑林さんはそう意気込みます。

榑林美千代さん
サロン輪の和やかさの秘密。もうひとつは、運営メンバーが良いつなぎ役になっていることかもしれません。
事前の参加呼びかけだけでなく、「美味しいコーヒーの淹れ方講座」の当日も、運営メンバーが絶妙なつなぎ役となることで、参加者の間に会話と笑顔が広がっていました。
今後への思い
一般的に居場所の運営では活動費の捻出が課題となりますが、この点はサロン輪も同様です。
「2024年度は『つながりづくり助成』を受けられたので立ち上げの資金がありましたが、今後は事業性のある取組みも考えていきます。「県北ぽけっと」を活用して、ミニデポーのような機能も持てたらいいですね」と、永森さん。
「生活クラブの消費材を使って、みんなで食事ができるカフェもつくりたいという野望もあります」。
サロン輪の若手メンバーでW.Co.Rinのメンバー、池田恭香さんは、「若い組合員のニーズに沿ったイベントや暮らしの困りごとの手助けなども、地域のつながりを生かして取り組んでいきたいと考えています」と話します。
「2024年度は『つながりづくり助成』を受けられたので立ち上げの資金がありましたが、今後は事業性のある取組みも考えていきます。「県北ぽけっと」を活用して、ミニデポーのような機能も持てたらいいですね」と、永森さん。
「生活クラブの消費材を使って、みんなで食事ができるカフェもつくりたいという野望もあります」。
サロン輪の若手メンバーでW.Co.Rinのメンバー、池田恭香さんは、「若い組合員のニーズに沿ったイベントや暮らしの困りごとの手助けなども、地域のつながりを生かして取り組んでいきたいと考えています」と話します。

池田恭香さん
大きな可能性を秘めた拠点「県北ぽけっと」で、自分たちも楽しめる企画を開催し、運営メンバーがみんなをつなぐ。
きっと、企画を重ねるたびに、この和気あいあいとしたつながりはどんどん広がっていくことでしょう。
【2025年4月22日掲載】