生産者と一緒にめざす 国内自給力アップ ~情熱×つながり×想像力~


生活クラブでは、消費材の利用を通じて国内自給力アップをめざしています。2024年には日本大学芸術学部の学生たちが「国内自給」をテーマに生活クラブの提携産地を取材し、「情熱×つながり×想像力」というキーワードを見出しました。誰がどんな思いで消費材を作っているのか、産地に思いを馳せながら国内自給について考えてみませんか?

長野県飯綱町を訪れ、加工用トマトの生産者を取材する学生たち
「乳牛の飼料も自分でつくる」その情熱で地域の活性にも貢献

「パスチャライズド牛乳」や乳製品の原料となる生乳を生産している南信酪農業協同組合の佐藤勝彦さんは、乳牛にあたえる飼料用作物の栽培に力を入れています。日本では畜産飼料の多くを輸入していますが、佐藤牧場では約7割を自給しています。さらに近隣の稲作農家から稲わらの提供を受け牛舎に敷いて活用し、稲作の肥料としてたい肥を還元するなど資源を循環。生乳を生産するだけでなく周りの人たちと連携しながら酪農業を続け、地域全体の活性化をめざしています。

佐藤牧場で育てられている乳牛たち(*)

収穫された飼料用トウモロコシ(*)

佐藤さんは若手の育成にも力を入れており、従業員の平均年齢は29.9歳と若い(*)
生産者メッセージ
飼料用の作物を栽培するようになってから、より自信をもって生乳を出荷できるようになりました。使われなくなった農地を活用することもできます。生乳を生産しながら、食べ物をつくる土地そのものも守っていきたいです。
飼料用の作物を栽培するようになってから、より自信をもって生乳を出荷できるようになりました。使われなくなった農地を活用することもできます。生乳を生産しながら、食べ物をつくる土地そのものも守っていきたいです。

南信酪農業協同組合 佐藤 勝彦さん(*)
餃子に使うにらの生産で社会とつながる居場所づくり

組合員に人気の「餃子」は、長野県にある美勢商事(株)で生産されています。提携生産者の豚肉や国産の野菜を使用しているのが特徴です。なかでもにらは、美勢商事の子会社「きららファーム(株)」が約6割を生産。美勢商事では、定年退職後のセカンドキャリアとして農業という選択肢を用意しています。きららファームには、80歳になっても畑に出てにら栽培に勤しむ元社員の姿も。社会と関わりながら働ける居場所づくりと、農業の担い手不足という課題解決をめざしています。

収穫したにらを丁寧に選別する美勢商事の元社員・大野田美和子さん(右)(*)

きららファ ームでは育てたにらを無駄にしないよう、根本から収穫しています(*)
生産者メッセージ
生きることと、食べることは直結しています。食べるためにはつくり続けないといけません。私たち生産者には国内で食べ物をつくり続け、命のインフラをつないでいく使命があります。
生きることと、食べることは直結しています。食べるためにはつくり続けないといけません。私たち生産者には国内で食べ物をつくり続け、命のインフラをつないでいく使命があります。

美勢商事(株)小松 直さん(*)
生産の背景を知ることで想像力と国内自給力アップに

「信州トマトジュース」は、原料となる加工用トマトの定植と収穫に組合員が参加し、生産にかかる諸経費を価格に含めています。トマトの収穫作業は真夏の暑い時期に行なわれますが、参加者にはリピーターも多いのが特徴です。生産者と交流し自分の手でトマトを収穫することが産地や生産者に想いを馳せる機会となり、食への関心や消費材への愛着につながっています。


地を這うように育つ加工用トマトの収穫は、腰をかがめて長時間行なう重労働です

収穫された加工用トマトは、採れたてをすぐ搾ってジュースに加工されます
生産者メッセージ
ひとりで4つの畑を管理しているので、組合員の手助けがあって本当に感謝しています。「参加できてよかった」という声も聞けるので、安心して加工用トマトをつくり続けられます。
ひとりで4つの畑を管理しているので、組合員の手助けがあって本当に感謝しています。「参加できてよかった」という声も聞けるので、安心して加工用トマトをつくり続けられます。

ながの農業協同組合 飯綱トマト部会 池田 繁則さん
学生たちの取材の成果をWEBで紹介しています

日本大学芸術学部の学生たちと、会場に集まった組合員や提携生産者
産地を取材した学生たちは、「国産」の表示を気にするようになったなど、自分の行動の変化を語っています。学生たちが制作した冊子や発表の様子も、ぜひご覧ください。
【日藝×生活クラブ】学生たちが取材の成果を 組合員や提携生産者にプレゼンしました(活動レポート:2024年11月29日掲載)
産地を取材した学生たちは、「国産」の表示を気にするようになったなど、自分の行動の変化を語っています。学生たちが制作した冊子や発表の様子も、ぜひご覧ください。
【日藝×生活クラブ】学生たちが取材の成果を 組合員や提携生産者にプレゼンしました(活動レポート:2024年11月29日掲載)
生産者と連携して国内自給力アップをめざします
家庭で消費する基本の食材であり、ざまざまな加工品の原料にもなる一次産品をつくり、食べ続けていけるように、提携生産者と一緒に国内自給力アップをめざしています。
家庭で消費する基本の食材であり、ざまざまな加工品の原料にもなる一次産品をつくり、食べ続けていけるように、提携生産者と一緒に国内自給力アップをめざしています。

★生活クラブ食べるカタログ 2025年7月2回(27週)より転載しました。
(*)の付いた写真の撮影:日本大学芸術学部産学連携プロジェクト2024年
【2025年6月23日掲載】