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エコシュリンプの産地を組合員が訪問 えびが育つ環境を学び、生産者と交流しました


日本から参加したメンバーとジャワ島・シドアルジョの生産者。前列左から現地法人、オルター・トレード・インドネシア社(ATINA社)のハリーさん、養殖池を管理するトイブさんとフェリーさん、養殖池主のソラフディンさん。
2025年7月22~26日、生活クラブの組合員と事務局のあわせて5名がインドネシアを訪問し、消費材「エコシュリンプ」の生産の様子を見学し現地の生産者のみなさんと交流しました。生活クラブは1992年に「エコシュリンプ」の共同購入を始めて以来、組合員が定期的に産地を訪れていましたが、コロナ禍の影響もあり今回が15年ぶりの訪問となりました。

エコシュリンプはどのように生まれ、育っているの?

生活クラブの消費材「エコシュリンプ」は、インドネシア産ブラックタイガー種の養殖えびです。「エコシュリンプ」は、自然の力をうまく利用した「粗放そほう養殖」と呼ばれる方法で健康的に育てられています。稚えびを養殖池に放ったあとは抗菌性物質を使用しません。また、加工する際にも食品添加物のpH調整剤や酸化防止剤、調味料(アミノ酸など)、保水剤も一切使われていません。

現在、世界的には集約型養殖で効率よく生産できるバナメイ種の生産量が増えています。大量に収獲できるため安価で取り引きされ、インドネシアではえび生産量の約8割をバナメイ種が占めています。しかし集約型養殖では、飼料や薬剤、設備を動かすための電力が欠かせない上、管理にも労力がかかります。このため、えび養殖に携わる漁業者の中には、「ブラックタイガーの粗放養殖を選択したい」という人も多いということです。

バナメイ種の生産が増える一方で、ブラックタイガーの親えびを獲る漁師が減り稚えびの確保が難しくなっているほか、環境の変化を受け、稚えびの生存率も低下しています。そこで、産地では、稚えびがある程度の大きさになるまで育てる中間育成をすすめています。
【地図】
ブラックタイガーの親えびは、主にスマトラ島の北端・アチェやジャワ島のパンダンガランで漁獲された天然えびです。他の海域で育ったえびに比べて産卵数が多いといわれています。
ふ化したばかりの稚えび。卵と同じ粒状
ふ化後、約5日後の稚えび。えびの形はしていません
稚えびの中間育成のための養育場。おおよそ10~15日かけて育て、養殖池に放流します
約1センチほどに成長した稚えび
稚えびを養育場に放流
スラウェシ島のピンランでは腰ほどの深さまで水を張り、伝統的な定置網でえびを収獲しています
横浜北生活クラブの澤田妙子さんも参加
「足元の土がフワフワして、エサをやらなくても十分な栄養のある池だと感じました」

養殖池の環境を守るマングローブ植物の植樹

養殖池を管理するうえで欠かせないのがマングローブの存在です。マングローブとは、熱帯・亜熱帯地域の汽水きすい域で生息する、さまざまな植物の総称です。池のまわりの土壌侵食を防ぎ、水の浄化を促すほか、稚えびにとっては、鳥などの天敵から身を守る隠れ家になるなど、重要な役割を果たしています。

ところが、近年の気候危機や海面上昇の影響で、海岸線付近の養殖池が海に沈み消滅の危機に瀕しています。そこで、生産者たちは養殖池の環境を守ろうと、マングローブ植物の植樹を行なっています。

今回の訪問では、スラウェシ島のピンランと、ジャワ島のシドアルジョの2ヶ所で行われた植樹に組合員も参加しました。

池のまわりの土手や道、小川に1~1.5メートル間隔で穴を掘り、マングローブ植物の苗木を2本ずつ植樹しました。植樹後は、家畜が若芽を食べてしまわないようネットをかけ、生産者が定期的に手入れします。日常的な管理が要らなくなるまでには2~3年ほどかかります。
実から育てた苗
50~60センチどの大きさに育った苗を池のふちや用水路に植えます
生活クラブ都市生活の濱田尚美さんも植樹に参加。穴を掘り、苗木を入れて土寄せをしました
養殖池のマングローブ(シドアルジョ)
植樹からおよそ20年以上は経過しているマングローブの木(左)と養殖池を上から見た様子

水質環境を保全するためのごみ回収活動

インドネシアの郊外では、自治体によるごみの回収・処理が十分には整備されていません。今回訪問したピンラン県の産地では、生産者がごみを回収する仕組みを作り、住民へ協力の働きかけを続けてきました。ごみ箱を設置しスタッフが回収する方法から、各々が集積所に持ち込むようになりました。回収したごみは分別し、リサイクルまたは焼却されます。
集積所の分別ボード。その場でごみを分別できるようにしています
集積所に併設された焼却場。リサイクルできないごみを焼却します
海岸にもたくさんのごみが流れつくため、生産者といっしょに回収しました。わずか20分ほどで8袋のごみが集まりました

参加した組合員の感想

横浜北生活クラブ(神奈川) 澤田妙子さん
エコシュリンプの大きなサイズの利用が落ちていると聞き、「小さいうちに獲っては?」と思いましたが、そのやり方では収獲の回数が増えて手間がかかるため、管理しにくいことがわかりました。収獲したばかりの大きなえびは、ボイルすると食感と甘さが本当に素晴らしくおいしかったので、カットして使うなどのレシピ提案を通して利用につなげたいです。
今回の産地交流では、えび養殖に携わるオルター・トレード・インドネシア社(ATINA)が、多くの地域振興事業の中心的な役割を果たしていることを実感しました。私たちがエコシュリンプを選択して購入することが、インドネシアの地域活性にもつながっているのです。産地で知ったエコシュリンプの価値やおいしさ、多くの生産者の想いをおおぜいの組合員に伝えていきます。

生活クラブ都市生活(兵庫県) 濱田尚美さん
えびの養殖池は想像よりもはるかに広く、収獲はすべて手作業!簡素な定置網を前に「たったこれだけのしかけ?」と驚いたのを覚えています。生産者の方に「昔からブラックタイガーを育てている」と聞き、えびの粗放養殖はこの土地で長く続けられてきた仕事なのだと感動しました。
今回出会った生産者は、えびの養殖だけで生計を立てている方ばかりでした。みなさんの思いは同じで「えびの利用が増えること」。それだけが現地の方の望み=生きる希望です。シンプルだけれど、その意味が持つ奥深さを理解し、強く重く受け止めることになった訪問でした。今回学んだことを、ひとりでも多くの組合員に知らせ、えびの利用につなげていきたいです。
 

前回の産地交流会から15年。久しぶりの訪問となりましたが、組合員と生産者が直接顔を合わせることの大切さを改めて確認しあえた、貴重な機会となりました。

健康的に育ったおいしいえびを育てるのは容易ではなく、産地の人が手間をかけて育てています。近年は養殖を取り巻く環境も変化し課題が複雑になっていますが、持続可能な生産が続けられるよう、消費材*を食べ続けることが必要です。おおぜいの組合員で、消費材「エコシュリンプ」を大切に利用していきましょう。

*消費材とは生活クラブで取り扱うもののことで、その多くは組合員と生産者が協力してつくったオリジナル品です。

日本から参加したメンバーとスラウェシ島・ピンランの生産者。後列左から2番目が澤田さん、中央が濱田さん。

【2025年9月18日掲載】

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