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人が必ず立ち寄る場所を「居場所」に 生活クラブ滋賀

地域のつながりが薄くなったといわれる地域の中で、「居場所をつくったけれど、人がなかなか集まらない」という悩みを耳にすることがあります。
その一方で、人が必ず立ち寄る場所を「居場所」にすることで、にぎわっている倉庫があります。

消費材と水遊び

組合員が「こんにちは」と声をかけながら、消費材※を取りにやって来ます。

※生活クラブで共同購入する「もの=材」の呼び方。生活クラブでは、市場にあふれる「商品」は必ずしもそれを使用する立場から作られたものではないと考え、「売るためのもの」ではなく「消費するためのもの」を手に入れる取組みを積み重ねてきました。
そのすぐそばでは、子どもたちが水遊びをしています。
 

 
お昼どきには、みんなで食事をします。

「留め置き班」

生活クラブ生協滋賀(以下、生活クラブ滋賀)の本部センターの1階には配送業務用の広い倉庫があります。


 
そして、その一角は毎週火曜日になると「留め置き班」の荷物受け渡し場所になります。

「留め置き」とは、注文した消費材を自宅や地域の荷受け場所で受け取るのでなく、組合員が配送センターに取りに来る、生活クラブ滋賀のしくみです。

留め置き班のスタッフは、秋久保由紀さん(生活クラブ滋賀 理事長)や堀本もも子さん(生活クラブ滋賀 組合員)らを中心に4~5人。朝の仕分けから始まり、組合員が三々五々やって来るなか、消費材の受け渡しを通じて交流もします。
堀本もも子さん
秋久保由紀さん
注文したもの以外にも、箱単位のジュースを1本ずつ買えたり、セット野菜や果物もバラでその場で選んで購入することもできるようにしています。

新センターでの留め置き班の始まり

生活クラブ滋賀は2022年10月に守山市に本部兼配送センターを新築・移転しました。

山下崇輝さん(生活クラブ滋賀 専務理事)は「留め置き班なら牛乳1本、豆腐1丁からでも気軽に利用できます。最初は近隣の組合員十数人でスタートしました。今では登録者が100人ほどになり、配達1コース分くらいの利用高になっています」と話します。

「留め置きランチ」と居場所の始まり

当初は留め置き班のスタッフのために作っていた昼食を、居場所形式の「ランチ」にして、誰でも食べていけるようにしました。

1人100円で気兼ねなく食事ができると広まり、子育て世代の組合員を中心に集まるようになりました。

ランチメニューは、次週の申込みの中から消費材を選んで注文し、届いたものを調理しています。

食べたことのない消費材を試食する機会にもなっています。
おおぜいの人と一緒に食べることは、子どもたちにとっても楽しい時間です。

 
おいしい料理を作るのは、「昼食づくりなら手伝えます」という組合員や子どもたち。

センターのキッチンと託児室はフル回転です。
ランチがひと段落した昼下がりは、別の組合員たちがやってきて大人たちのティータイムになります。

大切な居場所に

センターの近くで借り上げた畑で農作業をする組合員もランチに参加するなど、集う組合員や友人らが増えてきました。

長年、留め置き班の運営に携わってきた堀本さんは「組合員も子どももそれぞれにほっとできる場所が欲しかったんです。留め置き班の機能が拡大し、子どもを見守ったり、何気ないおしゃべりしたりできる居場所になりました」と話します。

子育てや暮らしのことなどを話したり情報交換したりして、気分転換にもなっています。

「ここでのおしゃべりの中からいろいろな企画やアイデアも生まれてくるんです」と秋久保さんが話すように、留め置き班は多世代の多様な人たちの出会いを生み出してきました。

さまざまな出会い

第3火曜日は「留置き&スキニシーランチ」の日です。
「スキニシー」とは、学校に行かない選択をした子どもや学校の難しさを抱えた親子らが集う「スキニシー学校」のことで、そこに通う子どもたちのことが話題になり、課外活動の一環としてセンターにきてランチを作って提供することになりました。

母親と一緒に朝の仕分けを手伝っていた不登校の中学生が、「おせっかいなおばさんたちといるより、学校の友だちの方がいい」と学校に行くようになりました。

工作が得意な子が、センターの集会室の棚をつくってくれました。

「地域福祉の第一歩は、人と出会うこと、関わり合うことでのつながりづくり。何気ないおしゃべりから始められる留め置き班が地域での関係性をつくるきっかけになっています」秋久保さんの言葉は希望にあふれています。
次にどんなつながりが生まれるのかとても楽しみです。
おしゃべりを楽しむ秋久保さん(左)

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