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提携50年、貫く信念 【国産ブレンドなたね油、国産100%なたね油】

提携50年、貫く信念 提携先:米澤製油【国産ブレンドなたね油、国産100%なたね油】
米澤製油が独自に開発した「湯洗い洗浄法」のシステム(本文参照)
 
埼玉県熊谷市にある米澤製油株式会社は、従業員数が30人にも満たない小さな会社だ。だが、製造するなたね油の社会的意義は、とてつもなく大きい。信頼関係を築いた産地から原料を調達し、独自の方法で精製する。こうしてできる高品質のなたね油を日々の食卓に取り入れれば、食生活が豊かになるだけでなく、0.1%程度といわれる希少な国産ナタネの自給率向上に貢献できる。

カネミ油症事件の衝撃

米澤製油のみなさん。左から営業担当の小山拓紀さん、東京出張所所長の安田仁さん、代表取締役社長の森田政男さん、専務取締役の森田英之さん。後ろに写るのは、新調した焙煎(ばいせん)機

米澤製油の創業は、1892(明治25)年。「安全が確認できないものは使わない」との信念を貫く老舗だ。長い歴史の中で、大きな転機となったのは、1968年に起きたカネミ油症事件だった。福岡県北九州市にあるカネミ倉庫株式会社が製造したこめ油にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入し、摂取した人々に重大な健康被害が生じた。肌の色素沈着、頭痛など、症状は多岐にわたり、被害は1万4000人に及んだ。これを機に米澤製油は、安心・安全な製造工程の研究に着手し、75年に薬品に頼らず精製できる独自の「湯洗い洗浄法」(特許取得製法)を確立した。その翌年の76年、生活クラブとの提携が始まり、今年提携50周年を迎える。

50年の時を経ても、米澤製油の原料に対する考え方や製造方法は変わらない。信頼できる原料の確保に全力を尽くし、薬品に頼らない方法で搾油して精製する。高品質のなたね油は、組合員から高い支持を得ている。「L’s(エルズ)選定品(=ふだんの生活に取り入れやすいベーシックな消費材)」に選ばれているのは、その証しだ。

「L’s選定品」のマーク。生活クラブで扱う品はすべて、「消費してはじめて価値がある材」の意味を込めて「消費材」と呼ばれている

激変する原料の調達事情

北海道にある国産品種「キザキノナタネ」の畑(写真提供:米澤製油)。猛暑などにより国産ナタネの不作が続いた影響で、2026年4月から「国産ブレンドなたね油」の国産のブレンド比率を30%から10%に引き下げる事態となっている。不作が解消され次第、比率を上げていく方針だ
 
長年、米澤製油が大切にしてきたのは、以下の3点だ。
①遺伝子組み換えのナタネの使用を避けること。
②食料自給率向上のために国産のナタネを積極的に使用すること。
③圧力のみで搾油し、湯洗い洗浄法で精製すること。

日本への遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organisms=GMO 以下、GM作物)の輸入が認可されたのは96年。翌97年以降、生活クラブは安全性や環境への影響を考慮して、すべての消費材の原材料から家畜の餌まで見直し、GM作物を取り扱わないことを基本とした。やむを得ず使用する場合は、情報を公開するとしている。2026年3月には、GM作物の栽培が除草剤の効かない雑草を生み出している危険性について、農林水産省に意見を提出したばかりだ(※1)

※1:生活クラブが農林水産省に提出した意見はこちら
生活クラブが農林水産省にパブリックコメントを提出しました(2026年3月6日掲載)

米澤製油も、長年、非遺伝子組み換え(Non‐GM)のナタネを使用し続けてきた。現在は、主に西オーストラリア産のナタネを輸入している。仮にGMナタネの混入が判明した場合は、受け入れを拒否するなど、管理は万全だ。

だが、世界情勢が目まぐるしく変わる昨今、原料の確保は容易ではない。もともと西オーストラリアは人口が少ないため、輸出の余力があり、安定的に供給してくれるエリアだった。「域内消費は5%、95%が輸出という地域でした」と代表取締役社長の森田政男さんは説明する。ところが、2010年に西オーストラリアでGMナタネの生産が始まると、24年には、作付け比率が70%を超えた。このままでは、Non‐GMナタネの安定的な確保が難しい。そこで25年、米澤製油と生活クラブは、東オーストラリアの産地を視察して安全性を確認し、今後は当地からも輸入することを決定した。

「東オーストラリア産の第1便は今年4月に日本に到着し、6月ごろから搾り始める予定です」と専務取締役の森田英之さんは喜ぶ。だが、それでも油断はできないという。というのも、東オーストラリアは、GMナタネの作付け比率が24年で20~30%程度と低いものの、西オーストラリアに比べると、域内消費の多い地域だからだ。

「オーストラリアは10年に1回ほど、干ばつが起きるとされていて、仮に干ばつで不作となり、自分たちの食べる分が足りなくなれば、当然、輸出を減らすでしょう。これは想定しておかなければなりません」と営業担当の小山拓紀(ひろき)さんは言う。こうしたリスクに備え、米澤製油は、絶えず産地の開拓を続けている。

原料の確保と同様に重要なのが、ナタネの搾りかすの利用だ。現在は、一般的に肥料と飼料のふたつの用途で利用されるが、ここに至るまでには長い歴史がある。キーワードは、ナタネに含まれていたふたつの物質、エルカ酸とグルコシノレートだ。エルカ酸は、1960年代に動物実験で心筋脂肪症のリスクが確認されて以来、食用油に含まれないことが望ましいとされた。一方のグルコシノレートは、搾りかすを家畜が食べると甲状腺肥大を引き起こす可能性が指摘されたため、この物質を含む品種は、飼料での利用ができなかった。そんな中、カナダで68年に低エルカ酸のシングルロー(=一つの成分が低い)品種「オロ」が、74年に低エルカ酸・低グルコシノレートのダブルロー(=二つの成分が低い)品種「タワー」が開発された。肥料と飼料の両方で利用できるダブルロー品種はその後も増え続け、78年にカナダの搾油団体はダブルロー品種の総称として「キャノーラ」を商標登録し、ダブルロー品種の油を世界に広めた。よく知られる「キャノーラ油」は、この油だ。米澤製油も長年、カナダからキャノーラ種を輸入していた。だが、97年にカナダでGMナタネの商業栽培が本格化したため、翌98年、混入リスクを避けるべく西オーストラリア産キャノーラ種を輸入し始めた経緯がある。現在は、西オーストラリア産キャノーラ種を原料に、搾りかすを肥料と飼料の両方で供給している。東オーストラリア産も同様に供給する予定だ。
一方、国産ナタネでは、91年に低エルカ酸のシングルロー品種「キザキノナタネ」が実用化され、以来、米澤製油は、自給率向上のために、この品種を積極的に使ってきた。しかし、キザキノナタネの搾りかすは、グルコシノレートを多く含むため、飼料としては使えない。この問題を解決したのが、22年に品種登録され、翌23年に実用化された国産ダブルロー品種「ペノカのしずく」だ。現在、米澤製油では、キザキノナタネとペノカのしずくの搾りかすを肥料として供給しているが、ペノカのしずくについては、「国産飼料としても供給してほしい」との要望が届いている。

 
シングルローとダブルローの違い

シングルローとダブルローの違い

最新の国産ナタネ品種「ペノカのしずく」
 

圧搾機で搾りたての「原油」

湯洗い洗浄後の「赤水」(あかみず)と呼ばれる状態。さらに精製を進めると、ほぼ透明ななたね油になる
 

左がペノカのしずく、右がオーストラリア産キャノーラの搾りかす。見た目は似ていて、どちらも香ばしい味だが、オーストラリア産には、きなこのような風味がある。飼料に使えないキザキノナタネの搾りかすは苦みが強い。搾りかすは、生活クラブの提携生産者でも肥料や飼料として活用されている

薬品に頼らない湯洗い洗浄法

米澤製油の「湯洗い洗浄法」(特許取得製法)と一般的な製造方法との比較

•JAS規格である「サラダ油」は、ナタネや大豆などの植物油を原料にした油であること、0度で5.5時間おいても濁らないこと、酸化度、水分・不純物の値、色、比重・屈折率などの品質基準を満たすこと、JAS認定工場で製造され、格付けを受けた製品であることなど、厳格な基準を満たした油のこと
•一般的なサラダ油は、ヘキサン抽出するが、米澤製油はしない。焙煎してすりつぶすことで油を搾りやすくしたナタネの一番搾りのみ。また、一般的なサラダ油が、精製工程で、リン酸、苛性ソーダ、活性白土、トコフェロールなどを使用しているのに対し、米澤製油は、クエン酸(遺伝子組み換えでないトウモロコシ由来)、活性炭(粉末炭を炭化・焼成したもの)、酸性白土(国内産の白土を硫酸処理せずに乾燥・粉砕したもの)など、由来を明確にして使用している
出典:米澤製油の資料をもとに、編集室で加筆、編集


油の製造工程は、「搾油」と「精製」に分かれるが、一般的なサラダ油と米澤製油のなたね油の製造工程は大きく異なる(上の図参照)。一般的なサラダ油は、ナタネと大豆を原料にすることが多い。ナタネは圧搾して、一番搾りの油を取ったら、ノルマルヘキサンという薬品を使って、搾りかすに残っている油をさらに溶かし出すように抽出する。一方、もともと油分が少ない大豆は、最初からノルマルヘキサンで油を抽出する。この搾油工程でできるのが原油で、原油を精製することでサラダ油ができあがる。精製には、脱ガム(=余分な物質を取り除く工程)、脱酸、脱色などの工程があり、各工程で、さまざまな薬品を使用する。

「例えば、ノルマルヘキサンを使うと、それを抜く工程が必要になります。すると、熱履歴といって、油に熱をかけることになるのです。熱履歴が多いと、やはり油には負担がかかるんですよね」

そう教えてくれたのは、東京出張所所長の安田仁さんだ。安田さんの言う通り、米澤製油の製造工程には、ヘキサン抽出がなく、一般のサラダ油の工程に比べてとてもシンプルだ。しかも、精製で使用するクエン酸などの物質は、すべて自然由来のものに限っている。苛性ソーダや活性白土などの加工助剤に頼らずに油を脱酸・脱色する独自の「湯洗い洗浄法」では、お湯と油を混ぜて、遠心分離機にかけ、比重の軽い油だけを取りだす。この洗う工程を6回繰り返すことで、不純物を取り除き、油を精製していく。

こうしてできる米澤製油のなたね油は、毎日使い続けることで、「遺伝子組み換えにノー! 自給率向上にイエス!」とメッセージを発信できる消費材になっている。生産現場の課題や生産者の苦労を知り、そのことを意識して食べ支えていく。「食の自治」のひとつの形が、ここにはある。
撮影/小澤晶子
文/本紙・山本 塁
 
『生活と自治』2026年5月号「連載 ものづくり最前線 いま、生産者は」を転載しました。
 
【2026年5月22日掲載】
 

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