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1-1.地球環境の変化
豪雨、台風、山火事、熱波、酷暑…。 世界各地で、気候変動の影響と考えられるさまざまな自然災害のニュースをひんぱんに耳にするようになりました。日本でも、2018年には西日本豪雨や台風21号、2019年には台風15号、19号、21号と巨大台風が連続して直撃し、広範囲に甚大な被害をもたらしました。これらの災害により、生活クラブでも多くの生産者や会員単協、組合員が被害を受け、「気候が危機的な状況にある」現実を改めてつきつけられました。
参考:環境省における気候変動対策の取組み
世界規模で広がったコロナ禍の中で、輸入に頼る日本の食料に不安を持った方も多いと思います。生活クラブは食料自給力の向上を掲げ、約40万人の組合員の「つかう力」と生産者の「つくる力」をつないで、合成添加物や遺伝子操作技術に依存しない食品の生産・流通・消費を実践してきました。それは、日本の気候風土や環境資源を生かした第一次産品の生産や加工、家庭での調理が循環する消費のあり方の再生をめざす取り組みともいえます。しかし、人間の営みが自然環境にあたえてきた悪影響は、当然のことながら私たちにもひたひたと迫り、近年ではより激しくなっています。
今回の「生活クラブ気候危機宣言」は「5つの実践」を通して、組合員と生産者がつながる力を発揮して地球過熱化の「緩和」に取り組むとともに、食料生産や一人ひとりの生活における「適応」の検討を約束するものです。生活クラブの活動への参加を通じて、組合員のみなさんの生活にも取り入れていただくことを呼びかけます。Rびんの消費材を選択する、「生活クラブでんき」に切り替える、家庭での電気の使い方を見直すなど、入り口はたくさんあります。みなさんの協力で確実に成果へとつなぎ、未来の人々への責任を果たしていきましょう。
ところが、近年の地球は人類の活動によって劣化し続け、人間らしく尊厳を持って生きるための基盤が揺らいでいます。
このため私たち生活クラブは、本宣言により、気候が危機的な状態にあることを広く共有するとともに5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
2020年6月度の生活クラブ連合総会において、2030年に向けた世界共通のゴールである持続可能な開発目標SDGsを踏まえ「第一次生活クラブ2030行動宣言」を採択しました。生活クラブはこれまでも、サステイナブルな社会を目指す生活協同組合として、国内自給力の向上(ゴール2,ゴール12)やガラスびんのリユース(ゴール12)、国産種による鶏卵・鶏肉の持続的な生産と消費(ゴール2)、再生可能エネルギーによる電気の共同購入(ゴール7,ゴール13)、生活困窮者等への支援(ゴール3)など、SDGsの17ゴールと169ターゲットにつながる様々な実践を積み重ねてきました。そしてこの度、関わるすべての人々とともに協同する力を合わせ、これまでの取り組みをさらに進めることを第一次行動宣言で約束したのです。
日本でも、2018年の西日本豪雨や台風21号により甚大な被害が発生し、生活クラブの生産者にも大きな被害が生じました。2019年には台風15号、19号、21号と巨大台風が連続して直撃し、広範囲に激甚な被害が発生しました。生活クラブでも多くの生産者や会員単協、組合員が甚大な被害を受け、まさしく “気候が危機的である” ことに愕然とさせられました。
これらはまだ地球の平均気温が産業革命前から1℃程度上昇した影響に過ぎません。これからは温室効果ガスを減らす「緩和」だけでなく、過熱する気候への「適応」も人類にとって喫緊の課題となったのです。
こうしたなか、パリ協定を踏まえて各国が提出した温室効果ガス削減目標を積み重ねても、目標達成には遠く及ばないことが明らかになり、各国には目標の見直しが求められました。ところが日本政府は、温室効果ガス排出26%削減という低い2030年目標を見直さないまま安価な石炭火力に固執しており、その姿勢に国内外から批判が寄せられています。
また、ブラジルなどに生息している熱帯雨林は “地球の肺” とも呼ばれていますが、経済優先のためにこれらの破壊が繰り返される現実は気候の不可逆的変化をもたらしかねません。
いまこそ私たちは、途上国の人々や未来の子どもたちにも想いを馳せ、これ以上の気温上昇をストップするための様々な選択と転換に真剣に取り組まなければなりません。化石資源に依存するグローバリズムの社会から再生可能エネルギーを自治し協同する社会に転換し、食料システムや都市のあり方の変革など様々なシステムチェンジに挑戦したいと思います。
そして、消費者一人ひとりにも行動変容が求められていることを自覚しつつ、経済社会システムとライフスタイルの後戻りのない大転換を推し進め、協同することや助け合うことに価値を置く、未来に希望の持てる社会を実現したいと希求します。
このため生活クラブは、地球の気候が人類の生存基盤を揺るがすほど危機的な状態にあることを広く共有するとともに、次の5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
生活クラブ気候危機宣言
地球の気候が危機的な状態にあることを多くの方々と広く共有しサステイナブルな社会の実現をめざすことを目的に2020年7月「生活クラブ気候危機宣言」を策定しました。本宣言により、5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
《もくじ》
1-1.地球環境の変化
1-2.パリ協定の目標達成は厳しい?
1-3.2030年には1.5℃上昇!
1-4.環境省の2100年の天気図
2-1.生活クラブの取り組み
2-2.SDGsと第一次生活クラブ2030行動宣言
*生活クラブ連合会 会長 伊藤由理子
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1. 悪化する地球環境と気候危機
1-1.地球環境の変化
豪雨、台風、山火事、熱波、酷暑…。 世界各地で、気候変動の影響と考えられるさまざまな自然災害のニュースをひんぱんに耳にするようになりました。日本でも、2018年には西日本豪雨や台風21号、2019年には台風15号、19号、21号と巨大台風が連続して直撃し、広範囲に甚大な被害をもたらしました。これらの災害により、生活クラブでも多くの生産者や会員単協、組合員が被害を受け、「気候が危機的な状況にある」現実を改めてつきつけられました。
しかし、これらはまだ、地球の平均気温が産業革命前から1℃程度上昇した影響にすぎません。これからも気温上昇が進むと思われることから、温室効果ガスを減らす「緩和」だけでなく、過熱する気候によって起こる悪影響へ備え、被害を減らす「適応」も人類にとって喫緊の課題となっています。
近年の地球環境は、人類の活動によって悪化し続けています。私たちが人間らしく、尊厳をもって生きるための基盤が揺らいでいるのです。気候は待ったなしの危機的な状態にあります。
近年の地球環境は、人類の活動によって悪化し続けています。私たちが人間らしく、尊厳をもって生きるための基盤が揺らいでいるのです。気候は待ったなしの危機的な状態にあります。
参考:環境省における気候変動対策の取組み
1-2.パリ協定の目標達成は厳しい?
2015年に世界で合意されたパリ協定は、「今世紀後半までに産業革命前からの気温上昇を2℃(努力目標は1.5℃未満)に抑える」ことを目標としています。しかし、パリ協定を踏まえて各国が提出した温室効果ガス削減目標を積み重ねても、目標達成には遠く及ばないことが明らかになり、各国には目標の見直しが求められました。ところが日本政府は、温室効果ガス排出26%削減という低い2030年目標を見直さないまま、安価な石炭火力に固執したため、国内外から批判が寄せられていました。
2015年に世界で合意されたパリ協定は、「今世紀後半までに産業革命前からの気温上昇を2℃(努力目標は1.5℃未満)に抑える」ことを目標としています。しかし、パリ協定を踏まえて各国が提出した温室効果ガス削減目標を積み重ねても、目標達成には遠く及ばないことが明らかになり、各国には目標の見直しが求められました。ところが日本政府は、温室効果ガス排出26%削減という低い2030年目標を見直さないまま、安価な石炭火力に固執したため、国内外から批判が寄せられていました。
参考:平成27年度環境白書、BATの参考表(令和2年1月時)
1-3.早ければ2030年には1.5℃上昇!
「このまま何も手を打たないと、早ければ2030年に平均気温の上昇が1.5°Cを超えてしまう」。2018年に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、『1.5°C特別報告書』を通じてそう警鐘をならしました。それを防ぐためには、今後10年の取り組みがとても重要であると、IPCCやUNEP(国連環境計画)は指摘しています。
「このまま何も手を打たないと、早ければ2030年に平均気温の上昇が1.5°Cを超えてしまう」。2018年に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、『1.5°C特別報告書』を通じてそう警鐘をならしました。それを防ぐためには、今後10年の取り組みがとても重要であると、IPCCやUNEP(国連環境計画)は指摘しています。
『1.5℃特別報告書』のイメージ
1-4.環境省の2100年の天気図
今から80年後の2100年、このまま地球過熱化が進行すると平均気温が2000年ころに比べて最大4.8℃上昇し、日本の夏は各地で40℃を超える「激暑」になるともいわれています。環境省のホームページでは産業革命以前からの気温上昇を1.5に抑える目標を達成した場合と、しなかった場合をシミュレーションした未来の天気図を見ることができます。
環境省2100年 未来の天気予報(環境省のサイトが開きます)
今から80年後の2100年、このまま地球過熱化が進行すると平均気温が2000年ころに比べて最大4.8℃上昇し、日本の夏は各地で40℃を超える「激暑」になるともいわれています。環境省のホームページでは産業革命以前からの気温上昇を1.5に抑える目標を達成した場合と、しなかった場合をシミュレーションした未来の天気図を見ることができます。
環境省2100年 未来の天気予報(環境省のサイトが開きます)
2100年 未来の天気予報
参考:環境省-2100年 未来の天気予報
参考:環境省-2100年 未来の天気予報
2.パリ協定とSDGsを踏まえた、これまでの取り組み
2-1.生活クラブの取り組み
危機的な状況を踏まえ、生活クラブは2018年に、「生協事業から排出するCO₂を2050年に限りなくゼロにすること」を目指し、「2030年までに40%削減する」目標を掲げました。さらに2019年には、生産段階におけるCO₂削減のため、省エネと創エネに関する自主基準を設定しました。生協事業に関わる排出だけでなく、事業活動に関係する、可能なかぎりの排出削減をめざしています。
2-2.SDGsと第一次生活クラブ2030行動宣言
2020年6月度の生活クラブ連合総会において、2030年に向けた世界共通のゴールである持続可能な開発目標SDGsを踏まえ「第一次生活クラブ2030行動宣言(*)」を採択しました。生活クラブはこれまでも、サステイナブルな社会を目指す生活協同組合として、国内自給力の向上やガラスびんのリユース、国産種による鶏卵・鶏肉の持続的な生産と消費、再生可能エネルギーによる電気の共同購入、生活困窮者等への支援など、SDGsの17ゴールと169ターゲットにつながるさまざまな実践を積み重ねてきました。そしてこの度、関わるすべての人々とともに協同する力を合わせ、これまでの取り組みをさらに進めることを第一次行動宣言で約束しました。
(*) 第一次生活クラブ2030行動宣言のページはこちら
危機的な状況を踏まえ、生活クラブは2018年に、「生協事業から排出するCO₂を2050年に限りなくゼロにすること」を目指し、「2030年までに40%削減する」目標を掲げました。さらに2019年には、生産段階におけるCO₂削減のため、省エネと創エネに関する自主基準を設定しました。生協事業に関わる排出だけでなく、事業活動に関係する、可能なかぎりの排出削減をめざしています。
2-2.SDGsと第一次生活クラブ2030行動宣言
2020年6月度の生活クラブ連合総会において、2030年に向けた世界共通のゴールである持続可能な開発目標SDGsを踏まえ「第一次生活クラブ2030行動宣言(*)」を採択しました。生活クラブはこれまでも、サステイナブルな社会を目指す生活協同組合として、国内自給力の向上やガラスびんのリユース、国産種による鶏卵・鶏肉の持続的な生産と消費、再生可能エネルギーによる電気の共同購入、生活困窮者等への支援など、SDGsの17ゴールと169ターゲットにつながるさまざまな実践を積み重ねてきました。そしてこの度、関わるすべての人々とともに協同する力を合わせ、これまでの取り組みをさらに進めることを第一次行動宣言で約束しました。
(*) 第一次生活クラブ2030行動宣言のページはこちら
気温上昇を1.5℃未満に抑えるために真剣に取り組まなければならない今、わたしたちにできることは何でしょうか?
「気候危機対策=未来のために社会をアップデートすること」とポジティブにとらえて、わたしたちも自分自身を「アップデート」させてみませんか?
節電などのアクションも、もちろん大切ですが、それ以上に気候危機対策として効果が大きいのは、社会の仕組みの転換です。まずは、エネルギーをとりまく現状や社会の仕組みに興味を持つことからスタートしましょう。日本や世界の取り組みを知ること、気候危機対策に対して具体的なアクションをおこしている団体を応援するなど、今日からできることはたくさんあります。
「気候危機対策=未来のために社会をアップデートすること」とポジティブにとらえて、わたしたちも自分自身を「アップデート」させてみませんか?
節電などのアクションも、もちろん大切ですが、それ以上に気候危機対策として効果が大きいのは、社会の仕組みの転換です。まずは、エネルギーをとりまく現状や社会の仕組みに興味を持つことからスタートしましょう。日本や世界の取り組みを知ること、気候危機対策に対して具体的なアクションをおこしている団体を応援するなど、今日からできることはたくさんあります。
3.生活クラブ気候危機宣言と「5つの実践」
生活クラブは地球の気候が人類の生存基盤を揺るがすほど危機的な状態にあることを広く共有するとともに次の5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
生協事業から排出する二酸化炭素を2050年には限りなくゼロにすることを目指し、「2030年CO2排出40%削減目標」を前倒しして実現します。
SDGs達成に貢献する「第一次生活クラブ2030行動宣言」を着実に実行し、2022年にはプラスチック削減対策等を含む第二次行動宣言にステップアップします。
生協事業の柱である「持続可能な生産と消費」を確実に継続するため、対等な関係にある生産者と共に気候危機への「適応」に率先して取り組みます。
気候危機を回避するための再生可能エネルギーの意義を内外に広め、再生可能エネルギー電源構成割合が6割に及ぶ「生活クラブでんき」を利用する組合員の仲間を増やします。
志を同じくする個人・団体と連携し、日本政府に対して2030年の温室効果ガス排出削減目標の引き上げなどを働きかけます。
4.地球に負荷をかけない暮らしが、より良い未来をつくる
生活クラブ生協連合会会長 伊藤 由理子
世界規模で広がったコロナ禍の中で、輸入に頼る日本の食料に不安を持った方も多いと思います。生活クラブは食料自給力の向上を掲げ、約40万人の組合員の「つかう力」と生産者の「つくる力」をつないで、合成添加物や遺伝子操作技術に依存しない食品の生産・流通・消費を実践してきました。それは、日本の気候風土や環境資源を生かした第一次産品の生産や加工、家庭での調理が循環する消費のあり方の再生をめざす取り組みともいえます。しかし、人間の営みが自然環境にあたえてきた悪影響は、当然のことながら私たちにもひたひたと迫り、近年ではより激しくなっています。
今回の「生活クラブ気候危機宣言」は「5つの実践」を通して、組合員と生産者がつながる力を発揮して地球過熱化の「緩和」に取り組むとともに、食料生産や一人ひとりの生活における「適応」の検討を約束するものです。生活クラブの活動への参加を通じて、組合員のみなさんの生活にも取り入れていただくことを呼びかけます。Rびんの消費材を選択する、「生活クラブでんき」に切り替える、家庭での電気の使い方を見直すなど、入り口はたくさんあります。みなさんの協力で確実に成果へとつなぎ、未来の人々への責任を果たしていきましょう。
5.「生活クラブでんき」を選ぼう!
平均気温1.5℃未満を実現するために、気候危機による自然災害をこれ以上増やさないために、あなたはどのようなアクションを起こしますか?
家庭から排出するCO2の半分は「電気」からです。組合員一人ひとりが「電気」を再生可能エネルギーに転換し、低炭素型の電気を使用することで、大きくCO2排出を削減できます。
生活クラブでんきは、再生可能エネルギー電源が6割以上の低炭素型の発電をおこなっています。また、電気の生産者と「顔が見える関係」を築き、誰がどのようにつくっているか「中身のわかる電気」です。途上国の人々や将来の子どもたちに想いを馳せ、未来への責任を果たす電気を利用しませんか?
2018年度 家庭からの二酸化炭素排出量(燃料種別内訳)
家庭から排出するCO2の半分は「電気」からです。組合員一人ひとりが「電気」を再生可能エネルギーに転換し、低炭素型の電気を使用することで、大きくCO2排出を削減できます。
生活クラブでんきは、再生可能エネルギー電源が6割以上の低炭素型の発電をおこなっています。また、電気の生産者と「顔が見える関係」を築き、誰がどのようにつくっているか「中身のわかる電気」です。途上国の人々や将来の子どもたちに想いを馳せ、未来への責任を果たす電気を利用しませんか?
2018年度 家庭からの二酸化炭素排出量(燃料種別内訳)
出典:温室効果ガスインベントリオフィス
★『生活クラブOPINION 』 2020年12月1回号の記事を再構成しました。
★『生活クラブOPINION 』 2020年12月1回号の記事を再構成しました。
【2021年6月更新】
生活クラブ気候危機宣言
生活クラブは、パリ協定を踏まえた「2030年CO2排出40%削減目標」を掲げるとともに、SDGs達成を目指した「一次生活クラブ2030行動宣言」を行ないました。ところが、近年の地球は人類の活動によって劣化し続け、人間らしく尊厳を持って生きるための基盤が揺らいでいます。
このため私たち生活クラブは、本宣言により、気候が危機的な状態にあることを広く共有するとともに5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
【1】パリ協定とSDGsを踏まえた、これまでの取り組み
2015年に世界で合意されたパリ協定は「今世紀後半までに産業革命前からの気温上昇を2℃(努力目標1.5℃未満)に抑える」ことを目標としています。これを踏まえ生活クラブは2018年に、生協事業から排出するCO2を2050年に限りなくゼロにすることを目指し、2030年までに40%削減する目標を掲げました。さらに2019年、生産段階におけるCO2削減のため、省エネと創エネに関する自主基準を設定しました。生協事業における温室効果ガスの直接排出量(スコープ1)や電気などを利用した間接的排出量(スコープ2)だけでなく、その他の間接的な排出量(スコープ3)の削減もめざしています。2020年6月度の生活クラブ連合総会において、2030年に向けた世界共通のゴールである持続可能な開発目標SDGsを踏まえ「第一次生活クラブ2030行動宣言」を採択しました。生活クラブはこれまでも、サステイナブルな社会を目指す生活協同組合として、国内自給力の向上(ゴール2,ゴール12)やガラスびんのリユース(ゴール12)、国産種による鶏卵・鶏肉の持続的な生産と消費(ゴール2)、再生可能エネルギーによる電気の共同購入(ゴール7,ゴール13)、生活困窮者等への支援(ゴール3)など、SDGsの17ゴールと169ターゲットにつながる様々な実践を積み重ねてきました。そしてこの度、関わるすべての人々とともに協同する力を合わせ、これまでの取り組みをさらに進めることを第一次行動宣言で約束したのです。
【2】ますます悪化する地球の環境と気候の危機
近年の地球環境は人類の活動によって劣化し続け、気候変動による甚大な自然災害が顕在化しています。食や福祉、教育、地域など、人間らしく尊厳を持って生きるための基盤が揺らいでいます。日本でも、2018年の西日本豪雨や台風21号により甚大な被害が発生し、生活クラブの生産者にも大きな被害が生じました。2019年には台風15号、19号、21号と巨大台風が連続して直撃し、広範囲に激甚な被害が発生しました。生活クラブでも多くの生産者や会員単協、組合員が甚大な被害を受け、まさしく “気候が危機的である” ことに愕然とさせられました。
これらはまだ地球の平均気温が産業革命前から1℃程度上昇した影響に過ぎません。これからは温室効果ガスを減らす「緩和」だけでなく、過熱する気候への「適応」も人類にとって喫緊の課題となったのです。
こうしたなか、パリ協定を踏まえて各国が提出した温室効果ガス削減目標を積み重ねても、目標達成には遠く及ばないことが明らかになり、各国には目標の見直しが求められました。ところが日本政府は、温室効果ガス排出26%削減という低い2030年目標を見直さないまま安価な石炭火力に固執しており、その姿勢に国内外から批判が寄せられています。
また、ブラジルなどに生息している熱帯雨林は “地球の肺” とも呼ばれていますが、経済優先のためにこれらの破壊が繰り返される現実は気候の不可逆的変化をもたらしかねません。
【3】サステイナブルな社会を実現するために
2018年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は『1.5℃特別報告書』で、このままでは早ければ2030年にも1.5℃を超えてしまうと警鐘をならしました。IPCCやUNEP(国連環境計画)はこの10年の取り組みが極めて重要であると指摘しています。そして地球の将来に直面させられる世界の多くの若者が“正義に反する”という抗議の声をあげています。いまこそ私たちは、途上国の人々や未来の子どもたちにも想いを馳せ、これ以上の気温上昇をストップするための様々な選択と転換に真剣に取り組まなければなりません。化石資源に依存するグローバリズムの社会から再生可能エネルギーを自治し協同する社会に転換し、食料システムや都市のあり方の変革など様々なシステムチェンジに挑戦したいと思います。
そして、消費者一人ひとりにも行動変容が求められていることを自覚しつつ、経済社会システムとライフスタイルの後戻りのない大転換を推し進め、協同することや助け合うことに価値を置く、未来に希望の持てる社会を実現したいと希求します。
このため生活クラブは、地球の気候が人類の生存基盤を揺るがすほど危機的な状態にあることを広く共有するとともに、次の5つの実践に全力で取り組むことを約束します。
1)生協事業から排出する二酸化炭素を2050年には限りなくゼロにすることを目指し、「2030年CO2排出40%削減目標」を前倒しして実現します。
2)SDGs達成に貢献する「第一次生活クラブ2030行動宣言」を着実に実行し、2022年にはプラスチック削減対策等を含む第二次行動宣言にステップアップします。
3)生協事業の柱である「持続可能な生産と消費」を確実に継続するため、対等な関係にある生産者と共に気候危機への適応に率先して取り組みます。
4)気候危機を回避するための再生可能エネルギーの意義を内外に広め、再エネ電源構成割合が6割に及ぶ「生活クラブでんき」を利用する組合員の仲間を増やします。
5)志を同じくする個人・団体と連携し、日本政府に対して2030年の温室効果ガス排出削減目標の引き上げなどを働きかけます。
2020年7月14日
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
理事会
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
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