ライト・ライブリフッド賞アジア太平洋会議 生活クラブ連合会から代表理事が参加し歴代受賞者たちと交流
「もう一つのノーベル賞」といわれるスウェーデンのライト・ライブリフッド賞を生活クラブが受賞したのは1989年。この賞は、人類が直面する平和、貧困、環境、人権などの分野ですぐれた活動をしている人物、団体に贈られます。3月2日から6日の4日間、ライト・ライブリフッド賞アジア太平洋会議がインドのムンバイで開催され、生活クラブ連合会から東京の土谷雅美さんと長野の小林テル子さんが参加しました。
(2015年3月27日掲載)
ライト・ライブリフッド賞の歴代受賞者たちとアジアの課題を議論
ライト・ライブリフッド賞は1980年に始まり、今年で35周年になります。これまでは、世界中の受賞者が5年ごとに一堂に会し、社会変革について議論してきました。今回は、地域のネットワークを強化して固有の課題に取り組もうと、アジア太平洋会議が初めて開催され、11か国から19人の受賞者をはじめ、ライト・ライブリフッド・カレッジ*の関係者など50人ほどが参加しました。会場となったのは、ライト・ライブリフッド・カレッジのムンバイ・キャンパスです。
*ライト・ライブリフッド・カレッジは、受賞者たちの知識と経験を活用し広めることをめざし、2009年から世界中にキャンパスを創設してきた。現在、ボン(ドイツ)・ルンド(スウェーデン)・アディスアベバ(エチオピア)・ポートハーコート(ナイジェリア)・バルディビア(チリ)・サンタクルーズ(米国)・ムンバイ(インド)計7カ所の大学にキャンパスを持つ。
会議は、「アジア太平洋地域における環境保護・人権保護・社会正義のための活動が直面する課題」をテーマとし、受賞者たちは、テーマ別ワークショップ、ムンバイの市民団体との交流、学生を交えての討論などを繰り広げました。
生活クラブはまず、「持続可能な食料生産消費・GMO(遺伝子組み換え作物)との闘い」をテーマとするワークショップのリーダーを務め、生産者とともに自分たちに必要な材を作り出してきた生活クラブの活動について報告しました。チリ、インド、エチオピアなどの参加者からは、農薬の被害、地球規模の環境破壊などさまざまな課題が出され、生産・流通・消費をどのように変えていけるのかを議論しました。
差別・格差・暴力と闘う受賞者のネットワーク
学生を交えたジェンダーについての討論では、200人の主婦から始まって女性の活躍の場を広げてきた生活クラブの50年の歴史について紹介しました。
同じく討論に参加した受賞者は、アフガニスタンのシマ・サマールさんとインドのルース・マノラマさんでした。マノラマさんは、インドのカースト制度の下で最も抑圧されている「ダリット」の出身です。ダリットの女性の地位向上のために奔走し、2006年に同賞を受賞しました。差別がいまだ根強いインドと日本とでは状況はかなり異なりますが、「ダリットの女性の地位向上のためには、女性の組織化と教育が最も効果的」と、マノラマさんが生活クラブと同じ点を強調したのは印象的でした。
「ライト・ライブリフッド受賞者の方々はそれぞれの国で、格差や差別、戦争や暴力の無い社会の実現に向けて自ら身を投じています」と会議を終えた小林さんは言います。
「皆さんとてもパワフルで、魅力的でした。日本の福島のことも隣の人のように心配してくれていました」。
また土谷雅美さんは、「アジアでは児童や女性に強いられている状況は厳しく、それに立ち向かって活動している多くの受賞者との交流は、とても光栄で貴重な体験でした」と感想を語りました。「ライト・ライブリフッド賞を受賞したことだけに終わらず、ネットワークを形成し、共通の課題に取り組むのは、まさしく協同の力です。ライト・ライブリフッド賞は、まさに大きな協同組合的な存在であると感じました」。
【参考】
- ライト・ライブリフッド賞 創設30周年記念イベント開催(活動情報,2010年11月)