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革新と伝統が織りなす、生活クラブとの歩み《食をつむぐ人たち・かつお節篇②》

三重県志摩市大王町 有限会社 山彦鰹節
山下成彦さん(43歳)
▼動画(約5分、音声・字幕つき)
海の幸をもたらす美しいリアス式海岸と緑豊かな自然に恵まれた三重県志摩市。その中の波切地区で作られたかつお節は「波切節(なきりぶし)」と呼ばれ、江戸時代には舌のこえた江戸っ子たちから高く評価されていました。今ではほとんど作る人が途絶えた中で、山彦鰹節(以下、山彦)は古くから伝わる波切節の伝統的な製法を守っています。
三重県志摩市大王町 有限会社山彦鰹節
山下成彦さん(43歳)

生活クラブとともに歩む

子どものころから祖父、父の背中を見てきた成彦さん。2019年5月に父から次いで社長に。
削りたての細けずりはふわふわで香りも豊か。
伝統的な製法でかつお節を作り続ける山彦と生活クラブとのかかわりは1978年から40年以上になります。
「出荷する製品の9割は生活クラブ向けです。私たち作り手は生活クラブの組合員のみなさんに喜んでもらうために作っています」社長の山下成彦(なりひこ)さんはそのように話します。生活クラブとの関係は、当時一般的に家庭で食べられていた、けずり器で節をけずる「かつお本節」から始まりました。

2か月以上の歳月をかけて丁寧に作るかつお本節は今でも組合員の間で根強く支持される。

その後、さば節にかつお節を混ぜた「混合けずり節」、細く削った「かつお細けずり」、厚く削った「かつお厚けずり」と、組合員の要望に応えながら品の幅を広げてきました。

「日本一おいしいパックだし」作りを組合員と

山彦にとって大きな転機となったのは、組合員に要望された「パックだし」の開発でした。当時のことを、成彦さんの父親でもあり現在会長をしている、勝日己(かつひこ)さんに伺ってみました。
 
「先日生活クラブの昔の担当者が40年ぶりに訪ねてきてうれしかった」と生活クラブとのつきあいも語ってくれた勝日己さん。

「パックだしを作ってほしいと言われたときは、他社のパック入りのだしの実情を知っていたから、3年間くらい断り続けていました。かつお節製造の過程で出るかけらを利用するために開発されたのが当時の一般的なパック入りのだしだった。そのままではおいしいだしがでないから、安い煮干しを入れたり添加物を入れたりする。そんなものはうちでは作れないと断り続けたんだ」と、勝日己さんは当時を振り返ります。

山彦では刺身で食べてもおいしい、高品質のカツオを使用。

断り続けても組合員の要望の声が大きくなって、ついに根負けした勝日己さん。「やる以上は本物を作りたい。それなら一緒に本物を作ろう」ということになったそうです。山彦が使用しているカツオは、全て焼津港に着く日本船籍船から調達し、刺身で食べてもおいしい、新鮮で良質なカツオです。そのカツオから作られたけずり節をそのまま粉砕してパックだしの原料としました。

左から「長崎県漁連」の煮干し、「みついし昆布」の昆布、「オーエスケー」の乾しいたけ。全て生活クラブの提携生産者のものを使用。

提携生産者とコラボレーション

そしてさらに組合員の要望で、生活クラブの提携生産者による「長崎県産の煮干し」「大分県産の乾しいたけ」「北海道産の昆布」を組み合わせて使用することになりました。
各素材の配合割合は組合員に決めてもらいました。「しいたけと昆布を入れるとおいしくなるからと組合員の方が提案してくれて、確かに相乗効果でうま味がアップしました。経験に基づいて提案をしてきて、『生活クラブの組合員はすごいな』と思いましたよ。昆布、しいたけ、いりこは提携生産者さんとのコラボレーション。今はそういう動きも増えてきていると聞いているけど、当時はまだあまりなかったと思うから、その走りだね」と勝日己さん。

パックだしが予想を超えた人気に

パックだしを作り始めた当時のことは、入社して2、3年だった成彦さんも鮮明に覚えていました。
「予想より倍くらいの注文が来て、製造が追い付かず、奥谷工場長と2人で早朝5時から8時までパックだし作りをして、その後通常の作業に戻り、夕方以降にまたパックだし作りをしていました。そんな日々が1、2か月続いたことを覚えています。ほかの仕事を知らないから、そのときも『こんなものかな』と思いましたけどね」と当時を懐かしそうに思い出します。その後は、機械をもう1台導入することとなり、残業の日々は終わりました。今でもその2台の機械がパックだし作りを担っています。
提携生産者が厳選した原料で作ったパックだしは、1996年のデビュー以来組合員の間で変わらず好評で、今でも山彦の主力製品となっています。
「もちろんけずり立ての本枯れ節、かつお本節は格別だから、ぜひ一度食べてみてほしいという思いはあります。ひと昔前の日本では当たり前のように各家庭でけずっていたと思いますし」と成彦さんはかつお本節への思いを語ります。「ただ、どのようにだしを取るかは、みなさんご事情があると思いますし、すべて本格的な素材で作っているパックだしなので、おいしいだしが取れます。組合員の方から、ひと晩水につけておくと、よりおいしくなるとご提案いただいたこともあり、みなさん研究熱心だなと感心しました」。

組合員の提案で環境に優しい不織布を使用

江戸時代からの伝統的な製法を守り続けている山彦鰹節ですが、いいと思うものは取り入れ、進化も続けています。「パックだしを包む不織布は組合員の方からの提案で、土に埋めると土に還るものを使用しています。私たちはそのようなものがあるのを知らなかったので、生活クラブと組むことで視野が広がりました」と成彦さん。
 
土に還る不織布を使い、地球にやさしいパックだし。

完成してあとは組合員の元へ。
機械の手入れは奥谷工場長の仕事。おいしいけずり節を作るためにも毎日刃の手入れは怠らない。

組合員とふれあう機会に本枯れ節の削り体験を

本枯れ節への思いは強い 

一度は本枯れ節を味わってほしい、と思っている成彦さんにとって、組合員と直接ふれあう交流会や試食会は恰好の機会となっています。
「組合員のみなさんと直接会うのは楽しみです。初めて会う方に『いつも食べています』と言われるとうれしくなります。また、子どもたちに本枯れ節であるかつお本節を自分で削って試食してもらって、『おいしい、おいしい』と何回もやってきて親御さんに怒られたりしている姿を見ると、おいしいものに反応する子どもの率直な姿に勇気づけられます。削り立てのかつお本節のおいしさを知ってもらえる良い機会だと思っています」。

工場見学で現場を見てもらう

組合員による視察では間近でかつお節が作られる様子を見ることができる。

組合員による工場見学も、作る側と食べる側がお互いを知るいい機会になっています。「薪でいぶす現場を見てもらうと『こんなに煙いんだ』など、実際に作る現場の様子を知ってもらえるのはうれしいです」と成彦さんは話します。「週2回朝6時半から行なっている生のカツオの加工作業は、全員が集中しているのでなかなかお構いできないけれど、さまざまな工程を見ていただいています。工場見学に来ていただくと、『生の魚やごうごうと燃える炎を扱っていて、想像していたのと違って迫力あるね』などと感想をいただきます」。

ずっと続けるために、サステイナブルに

成彦さんは、「伝統的な製法を守り続けられるのは、その価値を理解し、食べることで支えてくれる生活クラブの組合員がいるから」と考えています。「『ほかの取引先も開拓したら』という助言を受けることもありますが、設備、人、薪の量を考えると増やすことはできない。生活クラブと共に歩んでいこうと思う」と話します。

山彦は、ずっと昔からサステイナブルな事業を続けてきました。薪に使う木は、また生える余地を残して伐採します。そして、かつお節の原料となるカツオは、アタマ、アラ、ホネなど使わない部位は天日干し、魚粉肥料として農家に提供するので、捨てる部分は一切ありません。肥料はみかん農家や、生活クラブの消費材である「わたらい茶」の生産者に提供しています。

かつお節作りで使わなかったアラ、ホネなどは砕いて日干しして肥料として農家のところへ

生活クラブとともに歩み続けて約40年。「昔ながらの製法を守り、おいしいものを作る」ために、これからも成彦さんと山彦鰹節は一つ一つ妥協を許さずかつお節を作り続けます。

取材に訪れた2日間、長時間姿勢も変えずにじっと同じ作業をこなす社員の方々の姿が印象的でした。その姿は熟練職人そのもの。山彦のかつお節の美味しさは、妥協を許さない一つひとつの地道な作業から生まれていることを実感しました。

会長の勝日己さん(左から2番目)、社長の成彦さん(中央)と従業員のみなさん。

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