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醤油づくり140年の伝統をつないでいく~奥深い醸造の世界での新たな挑戦《食をつむぐ人たち・醤油篇①》

タイヘイ株式会社 食品事業部 第一工場
工場長 高山 薫さん(47歳)
嘱託(元工場長) 伊橋  弘二さん(66歳)

▼動画(約5分、音声・字幕つき)
生活クラブの醤油を生産しているタイヘイ株式会社。九十九里浜にほど近い千葉県匝瑳市(そうさし)で杉の木桶を使った伝統的な製法を続けています。巨大な木桶の中で約1年かけて発酵・熟成させる『丸大豆醤油』はまろやかで深い香りを特徴とし、多くの組合員に親しまれてきました。1880年から約140年間続けてきた伝統的な醤油づくりを継承するために、工場長を長年務めた伊橋弘二さんから、今年の1月に新たに工場長となった高山薫さんへと伝統と歴史のバトンがつながれています。
 
タイヘイは温暖な気候の匝瑳市(そうさし)八日市場で1880年から醤油を製造する

守り続けられてきた杉の木桶での醤油づくり

木桶の大きさ、数ともに東日本屈指といわれている

タイヘイの醤油蔵には、110本以上のどっしりとした巨大な杉の木桶がずらりと並んでいます。木桶の大きさは直径も高さも約3メートル。タイヘイではこれらの木桶の中で約1年間じっくりと、醤油麹と食塩水を合わせたもろみを微生物の力で発酵・熟成させ、醤油をつくります。歴史を感じる薄暗い蔵の中には、長年の醤油づくりによって育まれてきた多くの微生物が棲みつき、醤油の発酵、熟成を進めます。
 

醸造中のもろみが入った木桶は上から見ると壮観だ

「木桶を使い、微生物の力を借りて醸造させる醤油づくりは、決して楽なものではありません。乳酸菌や酵母、それぞれの働きでうま味、香りが熟成されていきます。杉の木桶を使うことで、「木香(きが)」と表現される木桶の香りがもろみに含まれるのも、ここでつくる醤油の特徴だと思います」(高山さん)。
 
もろみは多くの微生物の力で発酵・熟成

工場長に就任、醸造の奥深さにとまどいながら

新工場長となった高山さん

2021年の始めから工場長に就任した高山さんですが、歴史ある醤油蔵の工場長就任はとまどいがあったそうです。特に、醸造の奥深さ、スケールの大きさに今でも驚嘆すると話します。
「もともとはソースなど調味料の製造を経験していました。同じ調味料でも醤油づくりは、必要とする時間、空間が全く違います。今仕込んでも1年という時間がかかります。そして、大きな木桶を置いておく空間。本当に贅沢につくられる調味料ですよね」
 
毎朝の打ち合わせでも伊橋さんから学んでいる

就任して約半年、40年以上タイヘイの醤油づくりに携わってきた伊橋さんから、これまで培ってきた無数の知識や経験を受け継ごうとしています。

「伊橋は長年醤油づくりに携わり、私から見ると多くの経験を積んだ偉大な人。醤油づくりは職人と呼ばれる熟練したスタッフが必要となりますが、自分は同じように経験を積めません。伊橋が経験してきたこと、培ってきたことを知識として受け継ぎ、現場スタッフとも綿密にコミュニケーションをとりながら伝統的な醤油づくりを継続・発展させていきたいと思っています」(高山さん)。

職人の技と自然の力が織りなす醤油づくり

ところで、タイヘイではどのように醤油をつくっているのでしょうか。醤油づくりは、原材料処理、麹づくり、もろみの熟成、圧搾、火入れ(殺菌)という工程を経て、びんに充填され組合員の元へ届きます(下記工程図参照)。丸大豆、小麦、塩、種麹だけを使い、1年という長い時間をかけて、醤油蔵に棲みつく微生物と熟練職人の共同作業によってつくられます。もちろん機械も使いますが、要所で人のチェックや調整、手作業が必要で、職人の経験と技術が不可欠となっています。
醤油づくりの流れ


丸大豆と小麦を合わせたものに熱を加える原材料処理。実は醤油づくりの肝でもあり、タイヘイでしか取り入れていない独自の処理を施している
加熱処理を終えた原材料に種麹を混ぜる
 
大きな機械で混ぜ合わせていく
円形の巨大な麹室(こうじむろ)で原材料を3日間寝かし、醤油麹をつくる
 
醤油麹のできを、ほぐして確認。温度や湿度が重要なポイントになる
醤油麹に食塩水を混ぜてもろみにし、約1年間木桶で醸造。ひと桶ずつ職人が撹拌(かくはん)し、状態を調整する
 
蔵には空調などはないため、もろみの撹拌(かくはん)作業は真夏には過酷な暑さに。熱中症にも注意しながらの作業となる
熟成したら、もろみを手作業で布に包み重ねていく
高くそびえる圧搾(あっさく)機に積み重ねられたもろみは、圧力をかけて搾り生醤油(きじょうゆ)となる

伝統的な醤油づくりが直面する困難


このように人の手間と時間を存分にかける醤油づくりが今後どれくらい続けられるか、高山さんは危機感を募らせています。

「杉の木桶の耐用年数は150年ほどといわれていますが、タイヘイの木桶は安政(1855年~1860年)に作られたものもあります。つまり今、多くの木桶が寿命を迎える時期がきています。しかし、国内で木桶を作る職人さんが今はほとんどいなく、この大きさの木桶を直したり、新たに作ったりというのは難しいのが現状です。とくに、木桶を締めるために竹でつくられた箍(たが)は、そのような大きさの竹の確保も、大きな竹を編んで箍をつくる技術も難しく、壊れてしまったら鉄のバンドで補強せざるを得なくなっています」。

木桶を締める重要な役割を担っている箍。杉と同じように湿度に応じて伸縮して自然に調整される竹に比べて、伸縮がきかない鉄のバンドはその都度人の手による調整が必要で、最良な状態とはなりません。それでも、鉄のバンドを巻くことが現在できる最善のメンテナンスとなっています。

抑えがきかなくなる状態を「箍が外れる」と表現するように、木桶の要となる箍は、竹製がベスト。

挑戦し続けることで醤油を未来につなぐ

木桶を長く使い続けるためにメンテナンスに注力する一方、高山さんは現代に合った醤油づくりに思考をめぐらせます。
「スポーツで考えると、守るだけでは勝てません。自ら点を取りにいかなければ、伝統的な醤油づくりは続けられない。まだ構想段階ですが、今ある杉の木桶を使い続けつつ、新しい形の木桶を取り入れていくことも考えています」

また、日本国内の少子高齢化で醤油の消費量も頭うちになってきている問題もあります。そこで高山さんは海外への輸出も視野に入れています。「希少な木桶づくりの醤油はヨーロッパを中心に海外でも評価されています。醸造は新しいことをやるにも、結果が出るまで時間がかかるので簡単には踏み出せないけれど、今までの伝統を守るためにも新しいことに挑戦をすることで、事業継承・発展させていきたい」と意気込みます。
 

醤油づくりの未来を考えるためにも、高山さんは日々現場を担っているスタッフたちとのコミュニケーションに努めています。
「コロナ禍でお酒も飲まなくなって、コミュニケーションは本当に難しい。作業中はなかなか話せないことも多いから、休憩時間に仕事の話ばっかりしています。迷惑そうだけど(笑)」。
 

140年の歴史が続くタイヘイの醤油づくり。木桶のように受け継いで守っていくもの、そして未来のために時代の変化に対応して変えていくもの、両者を抱えながら高山さんが引き継いだ醤油づくりは歩みを進めていきます。
●丸大豆醤油

時間をかけてつくりだす風味豊かな味わい
原料の大豆には国産大豆を30%使用。外国産大豆についても遺伝子組み換えの疑いのない原料を使用しています。丸大豆を原料に木桶で1年間天然醸造しています。

「生活クラブの丸大豆醤油」の紹介ページはこちら

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