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重要目標5:原発のない社会をめざして ソーラーシェアリングでつながる農業福祉の連携

生活クラブと関わるみんなでサステイナブルな実践:生活クラブ2030行動宣言

営農型太陽光発電「生活クラブ・虹と風のファーム」(千葉県八街市)
「生活クラブ2030行動宣言」は11の重要目標を掲げ、サステイナブルな未来の実現をめざしています。
そのうちの一つ、重要目標5で掲げているのは2030年までに再生可能エネルギー100%、原子力発電に頼らない社会をつくること。その実現のためには、まずは使用する電気を減らすことです。それと同時に、「わたしたちが使う電気をわたしたちでつくる」「食べ物と同じように、電気も中身を選んで共同購入する」ことが大切です。そのために、賛同する生産者や事業者と提携し、再生可能エネルギーの発電所を増やす活動を行なっています。

2030行動宣言「重要目標5」についての詳細はこちら

その取組みのひとつが、2022年4月から生活クラブ千葉で始まったソーラーシェアリング事業(営農型太陽光発電)です。
千葉県八街市にある「生活クラブ・虹と風のファーム(以下、虹と風のファーム)」では、「ふぁそらん」という愛称を付けられたソーラーパネルが、さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びて発電し、その下では青々としたほうれん草が育っています。育てた野菜は、生活クラブを通して組合員の食卓に、そして発電した電気は、でんきの共同購入「生活クラブでんき」を通して、契約している組合員の家庭に届きます。

 ACTIONする人  生活クラブ組合員・紅谷秋恵(べにやときえ)さん

多様な人が出会うファームでソーラーシェアリング

「ふぁそらん」による発電が始まった「虹と風のファーム」は、障がいの有無に関わらず農業を通して多様な人が出会うユニバーサル農業の場。就労継続支援B型事業所(※)として、就労に困難を感じている方を支援しながら、5ヘクタールの畑で季節に応じたさまざまな農作物を育てています。畑で農作物を作る「食」(Food)、多様な人が集い働ける場「福祉」(Care)に、ソーラーパネルでの発電により「エネルギー」(Energy)が加わり、地域内で食・福祉・エネルギーを自給する❝ローカルSDGs❞を実現する場所として、一歩を踏み出しました。ソーラーパネルの下で、障がいの有無に関わらず多様な人がほうれん草やさつまいも、加工用いちごなどの農作物を育てています。
(※)通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である方に対して、就労の機会や生産活動等の機会の提供、また、その他の就労に,, 必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練・支援を行う事業所。

きっかけは3.11の原発事故


環境委員のメンバー 左:本橋さん 真ん中:紅谷さん 右:畔上さん
この「ふぁそらん」がある生活クラブ千葉の佐倉ブロックで、環境委員を務める紅谷秋恵さんが、電気についてより深く考えるようになったきっかけは、東日本大震災の原発事故でした。

「再生可能エネルギーを中心とした電気の供給が生活クラブでんきで始まったとき、すぐに電力会社の切り替えをしました。でも、本当にエネルギーについて真剣に考えるようになったのは、福島第一原発事故後です。再生可能エネルギーによる電気を使うことが、原発でつくられた電気を使わないという意志表示になることを強く意識しました」。
紅谷さんは、人と環境にやさしい食べものを選ぶように、電気も選ぶことができる。その選択は、小さな変化を社会に起こすアクションであることを多くの人に知ってもらいたいと考えています。

 
「ふぁそらん」は生活クラブ千葉から公募された候補の中から投票で選ばれましたが、実はその愛称を考案したのは紅谷さんでした。

「千葉の市原センターにある、生活クラブ千葉の再生可能エネルギー電源第1号『そらみん』に似た響きで、『ソーラー』や『空』を思い起こし、ファソラ…と歌のようで、土地を意味する『ランド』の意味も。本当にたくさんの意味を込めました」

5~6年以上前からソーラーシェアリング事業の運営会議に参加していた紅谷さんですが、ついに事業がスタートしたことに喜びもひとしおです。
「私たちは生活クラブとして持続可能な社会をめざし、『虹と風のファーム』でFEC自給圏(※)づくりをすすめてきました。太陽の光を発電と農作で分かちあう姿を、多くの方に見て、知っていただきたいです」と話します。

(※)経済評論家、故内橋克人氏の提唱による
虹と風のファーム農場長 橋口卓弥(はしぐちたくや)さん
一方、「虹と風のファーム」の農場長の橋口卓弥さんは、太陽光パネルの下での農作物の栽培という初めての経験に挑んでいます。
就労支援事業所として、就労訓練の中で意欲的にスキルアップできる環境を整えながら、品質のよい野菜を予定した数量きちんと出荷するという2つの使命に、新たな課題が加わりました。

「パネルの下に初めて播いたほうれん草は出荷の時期を迎えました。パネルの影響はあまりなく、青々としたほうれん草が育ってほっとしています。次はさつまいもの栽培も始めますが、季節によってもパネルの影響は変わると思うので、試行錯誤しながらやっていきます」。

育てた野菜をデポー(店舗)で見かけたり、配送で手元に届いたりしたときに、「虹と風のファームで『ふぁそらん』の下で作られたんだな」とちょっと思いをはせてくれたらうれしい、とも話します。

生活クラブのデポー(店舗)に並ぶ「虹と風のファーム」で収穫されたほうれん草
橋口さんは「ふぁそらん」によって、さまざまなよい変化がすでに起きていると話します。
「ふぁそらん建設中は、近所の方たちが興味深々で、『何を建てるの?』とよく聞かれました。非常時に地域に電源を開放できるソーラーパネルだと伝えたら、『災害時に非常用電源になって便利だね』とみなさんに期待していただいています」。橋口さんはふぁそらん建設をきっかけに、今後も近隣と協力しあいながら地域を盛り上げていきたいと考えています。
そして、橋口さんは「ふぁそらん」で、組合員と「虹の風とファーム」の交流がより深まることも期待しています。
「今も生活クラブの組合員のみなさんが盛り上げてくれています。春にトマトの苗を植えて、夏に収穫をする『トマトの学校』というイベントなどを開催していますが、60人以上も来てくれました。今後も一緒にイベントをしていきたいですね。まだ思いつきの段階ですが、ここは星がきれいなので、『ふぁそらん』の下でバーベキューしながら星を見る会なんて、いつかしたいですね。多くの方に『ふぁそらん』を見に来てほしいです」。

たくさんの思いのつまった電気を選んで意思表示
ユニバーサル農業をすすめる「虹と風のファーム」で、多くの人の思いの詰まった再生可能エネルギーを発電を始めた「ふぁそらん」。「ふぁそらん」のように、持続可能な方法で発電した電気を供給する「生活クラブでんき」を選ぶことが、「原発のない社会をつくりたい、地球環境に影響の少ないエネルギーを使いたい」という意志表示の手段となります。

食べ物は「どこでどのように作られているのだろう」と考えることがあっても、電気についてそのように考えることはあまりないかもしれません。でも「ふぁそらん」のようにたくさんの人の思いでつくられる電気もあります。電気を通して、地球環境のために私たちができることを考えてみませんか? 

2030行動宣言紹介動画公開中&「わたしのアクション」募集中!

重要目標5の達成のため、自分が取り組みたいアクションを宣言してくれたのは組合員の紅谷さん。
現在、生活クラブ公式Instagramではみなさんが考えた「わたしのアクション」を募集中!
2030行動宣言の重要目標を達成するためにあなたが実践したい、もしくは今実践している取り組みをSNSで発信しませんか。あなたが考える普段の暮らしの中で実践できることや、これから実践してみたいことをぜひご投稿ください。

 
 



 
 
【2022年6月27日掲載】

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