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重要目標10: クリーンアップ活動で海洋プラスチックごみを削減 共感する団体どうしで連携し世界的な環境問題に挑む

生活クラブと関わるみんなでサステイナブルな実践:生活クラブ2030行動宣言

ヱスケー石鹸株式会社
兵庫県西宮市の甲子園浜の様子
生活クラブは、2030年に向けて優先的に取り組むべき11の重要目標を「生活クラブ2030行動宣言」で掲げ、組合員や生産者など生活クラブに関わるみんなで、SDGsの理念と通じ、さらにその先をつくる活動をすすめています。重要目標10で掲げているのは、2030年に向けて他団体や行政と連携しながら、新たな環境保全活動に取り組むこと。環境問題や海洋プラスチック汚染対策といった大規模な課題を、他団体や行政などの組織の垣根を越えて、おおぜいのひとと協力しながら解決をめざしています。
兵庫県の生活クラブ都市生活(以下、都市生活)では、地域で活動する2つのNPO法人と協力して、2021年から兵庫県西宮市の「甲子園浜」のクリーンアップ活動をはじめました。この活動を中心になってすすめている生活クラブ都市生活の理事を務める島村美稲さんと、NPO法人の代表者のお二人にお話を聞きました。

2030行動宣言「重要目標10」についての詳細はこちら

 ACTIONする人  生活クラブ都市生活 島村 美稲(しまむら よしね)さん

 
連携する3団体のメンバー。右から都市生活の島村さん・遠嶋康代さん、NPO法人こども環境活動支援協会の松原暁子さん、NPO法人海浜の自然環境を守る会の向山裕子さん・松村京子さん・岸川由紀子さん

「クリーンアップ活動」で身近な海岸をいつまでも美しく

日々の生活に欠かせない存在のプラスチック。その多くが使い捨てにされていること、また、何らかの要因で河川などを通じて海へ流れ出て蓄積される「海洋プラスチック」、特に5ミリ以下に破片化した「マイクロプラスチック」による汚染が世界的な問題となっています。そうした河川や海へのプラスチック流出対策として「クリーンアップ活動」が、日本のみならず世界各地で行なわれています。

ここ甲子園浜は、兵庫県西宮市にある甲子園球場にほど近い海岸です。昭和のはじめには動物園や水族館などを備えるレジャーパークがつくられ、親子連れでにぎわいをみせていました。その後、工業団地建設のための埋め立て計画が出された際には、小学校PTAの母親たちが立ちあがり反対運動をすすめた歴史のある海岸です。多くの人が慣れ親しんできた海岸が、いつまでも美しい場所であってほしいと、清掃活動をされている団体があると知り、一緒にしたいと甲子園浜のクリーンアップ活動をはじめました。

「活動のそもそものきっかけは、海洋プラスチック問題に対して何ができるかを組合員同士で考えていたこと。専門家を招いての学習会の開催や、他生協などと協力して海岸のクリーンアップ活動を計画していた矢先にコロナ禍になってしまったんです。開催の可能性を探っていくなかで協力してくれる団体との出会いがあり、2021年からようやく実行できました」と島村さんは話します。

3団体の知識と力の連携でようやく活動が実現

都市生活にとって前例のない活動のため、島村さんたちは開催方法の検討からはじめました。「これまでのさまざまな活動でつながりのあったNPO法人こども環境活動支援協会(以下、こども環境活動支援協会)の方から、活動当日のプログラム内容や必要な道具などのアドバイスをいただきました。」

こども環境活動支援協会は環境学習などの事業を、市民団体や事業者・行政と連携し、子どもたちや地域と実践する団体です。さらに甲子園浜の環境保全活動を長きにわたり続けている、NPO法人海浜の自然環境を守る会(以下、海浜の自然環境を守る会)とも連携し、3団体でクリーンアップ活動を行なうことになりました。

甲子園浜を知ろう!生き物観察&クリーンアップ大作戦! 

今年で2年目を迎える甲子園浜でのクリーンアップ活動は、前年に引き続き「甲子園浜を知ろう!生き物観察&クリーンアップ大作戦!」と称し、生き物観察と海岸のごみ拾いの2本立のイベントとして開催。海の生き物の生態を知ることで、ごみの削減やくらしの見直しを考える大切さを知るプログラムです。

イベントには17組の家族、約28人を超える子どもたちが参加しました。最初に海浜の自然環境を守る会の向山さんらが甲子園浜の歴史を説明。次にこども環境活動支援協会の松原さんが、磯に棲むカニや貝、海岸にやってくる渡り鳥の種類や生態を紹介しました。
紙芝居で学ぶ甲子園浜の歴史に、子どもたちは興味津々
 

「どんな生き物がいるかな?」との問いかけに、「カニ!」「クラゲ!」と元気な声が飛び交いました

発見の連続!生き物の観察とごみ拾い

歴史と生き物の学習の後は、みんなで海岸に移動して生き物観察です。それぞれ思い思いの場所に移動して、砂浜にある石をそっと裏返して生き物を探してみたり、野鳥を観察したりして楽しみました。
少しドキドキしながら、石と石の間を覗きます
 

大きなカニを発見!
観察を楽しんだ後は、ごみ袋とごみハサミを片手にクリーンアップ活動のスタートです。海岸に流れ着いたごみやポイ捨てされてしまったごみを、みんなで拾っていきます。ペットボトルやお菓子のパッケージなどの大きいものから、小さなプラスチックの欠片まで、いろいろなごみであっという間に袋がいっぱいになっていきました。
小さなプラスチックの欠片がたくさん
 
大きなごみを頑張って袋に入れます
30分のごみ拾いタイムで集まったごみは、なんとごみ袋7つ分!可燃・不燃と仕分けして、どんなごみが多かったかを確認しました。自分たちで拾ったごみを目の前に、再びこども環境活動支援協会の松原さんからの学習タイムへ。プラスチックごみを飲み込んでしまった野鳥の写真などを見ながら、生き物がごみから受ける被害について学びました。

生き物観察とクリーンアップ活動を終え、子ども達からは「たくさん生き物がいて驚いた!」という感想や、「ごみをみんなで拾ってきれいにしようと思った。そもそもごみを捨ててはいけないという意識が芽生えた」という声があがりました。
みんなの力で、たくさんのごみが集まりました
 

3団体それぞれが未来につなぐ想い

海に流れ出る海洋プラスチックごみの量は、全世界で年間800万トンにものぼります。こうした世界的な問題解決をめざす、生活クラブを含む3団体それぞれの代表者に、想いを聞きました。
海浜の自然環境を守る会の向山さんは、次のように話します。「甲子園浜は渡り鳥が羽を休める場所でもあり、生き物たちにとって大切な場所です。自身も海辺の街の出身で、海に思い入れがあります。今回のイベントに参加した子どもたちにも、海は楽しいという思い出をもってもらいたい。そうした気持ちが、未来につながっていけばうれしいです。」
 
写真中央が向山さん
こども環境活動支援協会の松原さんは、今回のイベントのほかにも西宮市や事業者とも協力しながら、さまざまな環境保全活動に取り組んでいます。「プログラム内容を決める際には、生き物観察をした後に環境を守ろうと呼びかけると、意義がより伝わるのではと提案させてもらいました。これからも地域のみんなで環境を守っていく活動の一環になってほしい」と、語ります。
 
2つの団体とは、さまざまなつながりやご縁があって連携できることになったと話す、都市生活の島村さん。地域の団体で力をあわせることによって、クリーンアップ活動がさらに広がりをみせていったといいます。

「西宮市は環境保全活動が盛んな地域で、クリーンアップ活動など地域の環境保全活動を紹介するチラシ(こども環境活動支援協会が発行)が小学校で配布されています。今回のイベントも、そのチラシに掲載されたことで他団体と協力ができ、生活クラブの組合員以外の方にも参加いただけました。そうした方々に生活クラブのことを知ってもらう機会にもなっています。潮の満ち引きなどの関係から、開催したいと思った日にできる訳ではないなど、自然相手ならではの難しさもあります。しかし、参加した方々からの『また参加したい』、『子どもたちにごみ問題を教える貴重な機会だった』などの声・反応を糧に、これからも開催していきたいと考えています。」


都市生活のクリーンアップ活動は、明石市の大蔵海岸でも実施しています。個人や一つの団体での解決は難しいことでも、おおぜいが連携することで大きな課題に取り組めます。連携する団体それぞれの知見を活かし、想いをつなげながら、大きな課題の解決をこれからもめざしていきます。

2030行動宣言紹介動画公開中&「わたしのアクション」募集中!

重要目標10の達成のため、自分が取り組みたいアクションを宣言してくれたのは組合員の遠嶋さん。
現在、Instagramではみなさんが考えた「わたしのアクション」を募集中!
2030行動宣言の重要目標を達成するためにあなたが実践したい、もしくは今実践している取り組みをSNSで発信しませんか。あなたが考える普段の暮らしの中で実践できることや、これから実践してみたいことをぜひご投稿ください。
 
 



 
 
【2022年11月25日掲載】

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