来る人みんなを結びつける コミュニティ・カフェ「cafeつむぎのおか」(愛知県)【後編】
【連載】みんなで広げる たすけあい
生活クラブグループの生協や関連団体では、福祉・たすけあいの活動や事業が各地でとても豊かに展開され、さらに広がりをみせています。これらの取組みを紹介します。
さまざまな機能をもつひだまり館の中で、とても大切なつなぎ役となっている「cafeつむぎのおか」は、開業からまだ数か月ということもあり、事業の収入はまだ十分ではありません。それでも、「cafeつむぎのおか」を経営し働く人たちの笑顔は絶えません。
【後編】
「楽しそうだなと思って参加しました」
「楽しそうだなと思って参加しました。」山本悠梨香さんは目を輝かせます。「コロナ禍で職を失い次の仕事を考えているときに、ワーカーズ・コレクティブ※1によるカフェ事業の構想を知って参加しました」。
※1 働く人の協同組合。働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働を分担します。
※1 働く人の協同組合。働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働を分担します。
山本悠梨香さん
山本さんは保育園児のお子さんを育てています。「家族のことも考えた働き方ができてありがたいです」。(山本さん)
思い描いたことを事業に反映できる、ワーカーズという働き方
積極的に自分の考えを発信しながら子育てひろばなどの運営にあたっている山本さん。「みんなで考えを出しあって事業をつくっていくのはとてもやりがいがあります。一般企業ではなかなかできないことだと思います」。
別のメンバーも「手話のできる友人と一緒に『手話カフェ』を開きたいと思い企画を立てました。来年(2025年)の1月21日に開催できることになりました。」と、ここでの仕事にとてもやりがいを感じています。「『cafeつむぎのおか』はいろいろな人の出会いの場にしていきたいです」。
この魅力的な事業や、やりがいのある働き方はどのようにつくられてきたのでしょうか?
別のメンバーも「手話のできる友人と一緒に『手話カフェ』を開きたいと思い企画を立てました。来年(2025年)の1月21日に開催できることになりました。」と、ここでの仕事にとてもやりがいを感じています。「『cafeつむぎのおか』はいろいろな人の出会いの場にしていきたいです」。
この魅力的な事業や、やりがいのある働き方はどのようにつくられてきたのでしょうか?
ガラス張りのつくりに着目
生活クラブ生協愛知の岡崎エリアの配送拠点として、2020年から稼働している「ひだまり館」。当時その1階は、事務所と「ステーション」※2として使われていました。
※2 「cafeつむぎのおか」の一角にある。注文した生活クラブの消費材※3 を受け取ることができるしくみ「ステーション受取り」における受取り場所。
※3 生活クラブで共同購入する「もの=材」の呼び方。生活クラブでは、市場にあふれる「商品」は必ずしもそれを使用する立場から作られたものではないと考え、「売るためのもの」ではなく「消費するためのもの」を手に入れる取組みを積み重ねてきました。
※2 「cafeつむぎのおか」の一角にある。注文した生活クラブの消費材※3 を受け取ることができるしくみ「ステーション受取り」における受取り場所。
※3 生活クラブで共同購入する「もの=材」の呼び方。生活クラブでは、市場にあふれる「商品」は必ずしもそれを使用する立場から作られたものではないと考え、「売るためのもの」ではなく「消費するためのもの」を手に入れる取組みを積み重ねてきました。
ガラス張りの1階(現在のようす)
「1階は道路に向けてガラス張りの仕様で、開かれた雰囲気があります。ここでまちづくりの活動をしたいと考えました」と話すのは、本田ゆみさん(ワーカーズ・コレクティブつむぎのおか代表)です。
「1階は道路に向けてガラス張りの仕様で、開かれた雰囲気があります。ここでまちづくりの活動をしたいと考えました」と話すのは、本田ゆみさん(ワーカーズ・コレクティブつむぎのおか代表)です。
本田ゆみさん
事業内容もワーカーズづくりも、みんなで決める
その活動を担うワーカーズ・コレクティブをつくるために、生活クラブ愛知は地域の組合員に声をかけました。
まちづくり説明会のチラシ(当時のもの)
ワーカーズ説明会のチラシ(当時のもの)
そして、参加者みんなで視察※4やワークショップなどをつうじて学び、丁寧に話し合いを続けました。
※4 視察を実施するにあたり、生活クラブ共済連の「福祉たすけあい活動支援制度」の助成を活用しました。
その結果、生活クラブの強みである安心な食によって地域の人たちとつながるために、カフェの開業をめざす、ということが決まりました。
※4 視察を実施するにあたり、生活クラブ共済連の「福祉たすけあい活動支援制度」の助成を活用しました。
その結果、生活クラブの強みである安心な食によって地域の人たちとつながるために、カフェの開業をめざす、ということが決まりました。
図面は組合員が描きました
ひだまり館1階の改装費用は生活クラブ愛知の予算を充てることができましたが、カフェで使用する家具・器具・食器などはありませんでした。
それでも、組合員が提供するなどそれぞれの力を持ち寄ることで、この課題を乗り越えることができました。
そして、2024年6月に「ワーカーズ・コレクティブつむぎのおか」の設立日を、7月に「cafeつむぎのおか」の開店日を迎えることができました。
ひだまり館1階の改装費用は生活クラブ愛知の予算を充てることができましたが、カフェで使用する家具・器具・食器などはありませんでした。
それでも、組合員が提供するなどそれぞれの力を持ち寄ることで、この課題を乗り越えることができました。
そして、2024年6月に「ワーカーズ・コレクティブつむぎのおか」の設立日を、7月に「cafeつむぎのおか」の開店日を迎えることができました。
大切な事業だから、ずっと続けたい
水曜日と木曜日は、カフェ事業※5をしながら、生活クラブの事務作業やステーション受け取りの対応もしています。「この大切な事業を成り立たせて、続けていくために、他の業務を受託するなどさまざまな工夫しています」(本田さん)。
※5 営業は火・水・木曜日の11~15時です(火曜日はランチの提供なし)。
※5 営業は火・水・木曜日の11~15時です(火曜日はランチの提供なし)。
ステーションでの受渡しのイメージ(左は取材者)
「生活クラブの組合員が増えてステーションの利用者が増えれば、カフェ事業の営業日も増やしていけると考えています」。(本田さん)
「生活クラブの組合員が増えてステーションの利用者が増えれば、カフェ事業の営業日も増やしていけると考えています」。(本田さん)
その人らしく「つむぎのおか」に関わり、それぞれのつながりを紡ぎ出す
「cafeつむぎのおか」が、地域の人たちの支え合いの拠点となっていく。「ワーカーズ・コレクティブつむぎのおか」のメンバーたちはそう考えています。
「ひとり暮らしの方などは、他の人と会う機会も多くありません。ここでの出会いがつながりを生んでいければいいなあと思っています。『cafeつむぎのおか』では子育てひろばも開催しています。参加したり運営したりしながら、それぞれの居場所になっていけばいいですね。」と、本田さんは前を見据えます。
「開業して半年足らずですが、足を運んでくださる地域の方々も徐々に増えています」(本田さん)。
「ひとり暮らしの方などは、他の人と会う機会も多くありません。ここでの出会いがつながりを生んでいければいいなあと思っています。『cafeつむぎのおか』では子育てひろばも開催しています。参加したり運営したりしながら、それぞれの居場所になっていけばいいですね。」と、本田さんは前を見据えます。
「開業して半年足らずですが、足を運んでくださる地域の方々も徐々に増えています」(本田さん)。
「cafeつむぎのおか」で紡がれるつながりは着実に大きく広がりつつあります。
【2024年12月17日掲載】