【つながりづくり助成】みんなの居場所 おかえりびんぐ(大阪)前編
【連載】つながりづくり助成
地域のつながりや支え合いをつくるための「つながりづくり助成」。
各地で元気に展開している団体の活動をレポートします。
地域のつながりや支え合いをつくるための「つながりづくり助成」。
各地で元気に展開している団体の活動をレポートします。
「W.co.暮らしの支援あひるポート」(以下、「あひるポート」)は、少子高齢化が進み、家族形態もライフスタイルも多様化している現代、かつてたすけあいの基本となっていた血縁や地縁に代わり、個人の生活エリアを基盤とした「結縁」をつくり出し、お互いにサポートし合い、住み慣れた町で安心して暮らしていけるように地域で支え合う仕組みづくりのために2002年に始まった有償のたすけあいシステムによる非営利団体です。
「つながりづくり助成」を活用し、「みんなの居場所 おかえりびんぐ」をスタート

メンバーの皆さんと取材当日の利用者さんと一緒に集合写真
「あひるポート」が暮らしのサポートを行う中で、自信を失い自分は迷惑をかけるだけの存在だと話す高齢者や、赤ちゃんや幼児の世話に疲弊してうつ病を患っている孤立した母親を見てきたと聞きます。多世代が一緒に集うことで、そこに集う人どうしで、できないことを補い合い、誰もが誰かのためになっていることを感じ、自己肯定感をもってもらえる居場所ができれば。誰もが気軽に立ち寄れ、多世代のあたたかなまなざしの中で、安心して過ごせる居場所ができれば。との思いが、「みんなの居場所 おかえりびんぐ(以下、おかえりびんぐ)」に込められています。
そんな思いの込められた「おかえりびんぐ」は、つながりづくり助成を活用し、大阪市鶴見区にレンタルスペース「すまいるつるみ」を借りて、2024年4月からスタートしました。毎週木曜日(10時~15時)に多世代型の居場所を定期開催しています。

「おかえりびんぐ」の看板
地域社会との「つながり」がいろんな企画や寄付から生まれてきています
4月から始めた手芸の会は、第3木曜日午前中でレギュラー化。近隣の手芸好きの高齢者の方々が立ち寄り、「おかえりびんぐ」で販売する手作り小物の作成を手伝ってもらったり、手を動かしながらおしゃべりしたりする時間になっています。地域社会との「つながり」や組合員ではない地域住民への広がりも生まれてきていて、畳縁や着物、端切れなど手芸の素材となるものが多数近隣の方々から寄付されて、手作り小物の作成に活用されています。
不定期に、「昔遊び」や「浴衣を着よう」「ミュージックベルの体験と合唱」などの企画も実施。得意なことや好きなことを持ち寄り、教えたり教わったり、すぐに楽しめ笑顔になれる、そんな企画がいろんな人の関わりとともに生まれてきています。
不定期に、「昔遊び」や「浴衣を着よう」「ミュージックベルの体験と合唱」などの企画も実施。得意なことや好きなことを持ち寄り、教えたり教わったり、すぐに楽しめ笑顔になれる、そんな企画がいろんな人の関わりとともに生まれてきています。

寄付された畳の縁や帯を使ってつくった手芸品

「浴衣を着よう」の会
夏休み期間中は、「夏休みスペシャル」企画として、多世代がみんなで対等に楽しめ、運動にもなり、認知症予防・介護予防にもなる「ミニらいとモルック」の体験を企画しました。
残念ながら子どもの参加はなかったのですが、普段から来訪している大人の参加者からは「勝ち負けに関係なく面白かった」「高齢者が体を動かす機会になった」と好評で、スタッフからも「今後の企画に活かしたい」との感想が聞かれたそうです。
残念ながら子どもの参加はなかったのですが、普段から来訪している大人の参加者からは「勝ち負けに関係なく面白かった」「高齢者が体を動かす機会になった」と好評で、スタッフからも「今後の企画に活かしたい」との感想が聞かれたそうです。

ミニらいとモルック
また、夏休み最終日の午後と二学期初日の午前中は「小中学生の休憩所」として、夏休みの宿題を持ってきていいよ、一緒にやろう!と看板に掲げつつ、子どもの自殺防止を目的として居場所を開けました。残念ながら子どもの参加はありませんでしたが、これからも学校の長期休暇ごとに地道に呼びかけていき、地域に子どもたちを支援する大人がいることを知らせていきたいと考えています。
楽しいイベントとゆっくり過ごせるところとが共存し、お互いがお互いを思いやり、困った時は相談できるような頼もしい居場所。楽しい気分の時も深く沈んだ気持ちの時も少々の困難も障がいも全部飲み込んで一緒に分かち合う、そんな多世代が一緒にいるリビングのような場所をめざし、挑戦は続きます。
※後編に続きます。
【2025年5月1日】