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2022年、日本初となる「垂直型営農ソーラー」を建設。農機具も通りやすい画期的なスタイル。
「原発事故が起こるまでは、地方にこそ本当の豊かさがあると思い上がっていました。都市と比べると所得格差はあれど、住宅の面積も広くて物価も安く新鮮な食材がすぐに手に入る。農家として自給自足もできている…でも事故後、生活に欠かせないエネルギーはどこでつくられている? 農業はガソリンや軽油がないとできないし、地方の内陸部の農家たちにとってはもちろん、ここで暮らす自分たちの〝エネルギー自給率の低さ〞を突きつけられたようで愕然としました。これからは地方もつくる側にまわってエネルギーを生産していかないと、さらに恐ろしいことになってしまう。大事なエネルギーをいつの間にか自分たちが手放して、遠いものにしていたと気づかされました」
有機農業を廃業し宮城で避難生活を送ったあと農協の職員として二本松に戻ってきた近藤さん。「大きな被害をうけた福島だからこそ、原発に頼らない電力を生み出す必要がある」と、新電力の会社で働いた後、2019年に二本松市とパートナーシップ協定を結んで、市民電力会社〈ゴチカン〉を立ち上げます。
「まずは二本松市で再エネをもっと一般に広めていきたいという気持ちが強く、何よりスピードを重視して、空き地や野原や農地など土地があれば、太陽光発電の設備を建てました。規模の大きな高圧設備の建設に時間をかけるより、小規模でも早く多く建設して発電量を増やすことを優先に考えたんです。その中で、ソーラーパネルの設置場所として農地が出てきたことで、ソーラーシェアリングも始めました。
日本で初めての垂直式のパネルを導入したり、土地にあわせて回転式のパネルを設置したりと、常に改善を重ねながらすすめています。発電のため、農業のためと分けて考えるのではなく、食とエネルギーをどう一緒につくっていけるのか、と試行錯誤の日々です。
今は大規模、小規模さまざまな太陽光発電所がありますが、どちらが正しいというのではなく、バランスをとりながら取り組んでいくことが大事だと思っています。生活クラブの消費材も食のカテゴリーで多様な種類がありますよね。それぞれのこだわりがあってつくられたものが共存して成り立っている。互いにヒントを得て、切磋琢磨しながらよりよい発電所を多くつくっていきたいと思っているんです」
新たな兼業農家のスタイルをつくる
有機農業を探求しながら兼業農家を経て専業農家になった近藤さんは、ソーラーシェアリングに消極的な農家の気持ちも理解しながら新たな農家のあり方を目指しています。
「ソーラーシェアリングは〝地域のインフラ〞になっていくと思うんです。農家によっては、農地を神聖なものと考える人もいて、そこに資金を費やしてパネルを建て、長いスパンで運営するのは難しいという意見もあります。でも、それほど土地に根ざすものをつくるということは、農地に水路を引いているのと同じような考えで、地域のインフラを農家がつくり、守る担い手になることができると思う。水のように電線を通じて電気が流れていくようなイメージが湧くんです。農業経営の継続のためだけではなく、公共的な役割をもって農業とエネルギーの生産を両立させる、新たな兼業農家のスタイルを色々な地域につくっていきたいです。
生活クラブは、生産者と組合員の距離が近いところがおもしろいし、強みだと思っています。だからこそ生活クラブの消費材の生産者に、例えば『このおいしいトマトと一緒に生産される電気を使いたい!』というアプローチをして、ソーラーシェアリングを広めていける可能性がある。そんなムーブメントを一緒につくっていけるかもしれないと楽しみに思っています」
近藤 恵 (こんどう けい)
二本松営農ソーラー株式会社/二本松ご当地エネルギーをみんなで考える株式会社代表取締役。2011年に起きた福島第一原発の事故の影響により農業を一時廃業。2021年よりソーラーシェアリングで営農法人として有機農業に復帰し、現職。2026年4月から生活クラブでんきに供給を開始。

野辺山営農ソーラー(長野県)

生活クラブ風車「夢風」(秋田県)
再生可能エネルギーを「つくる」
でんきも作物。農家がつくり、届ける時代へ
でんきの生産者 近藤 恵さん
二本松ご当地エネルギーをみんなで考える(株)
二本松ご当地エネルギーをみんなで考える(株)

2022年、日本初となる「垂直型営農ソーラー」を建設。農機具も通りやすい画期的なスタイル。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は日々進化している! そんな希望を感じさせてくれるでんきの生産者、福島県二本松市にあるゴチカン(二本松ご当地エネルギーをみんなで考える株式会社)の近藤恵さん。
2026年4月から〈生活クラブでんき〉との提携を開始しました。有機農家出身の近藤さんは、現在ソーラーシェアリングを含む太陽光発電所を市内に20箇所ほど建設して運営。パネルの下ではシャインマスカットやエゴマなどの農作物を栽培したり、牧草を生やしジャージー牛の放牧もするなど様々なチャレンジをしています。ソーラーパネルもユニークで、高架式以外に、垂直のパネルや回転式など多様なスタイルの太陽光発電に挑戦。そんな風景の中で、近藤さんの話を聞いていると「ここで生産される電気を使いたい!」そんな気持ちが芽生えてきます。
2026年4月から〈生活クラブでんき〉との提携を開始しました。有機農家出身の近藤さんは、現在ソーラーシェアリングを含む太陽光発電所を市内に20箇所ほど建設して運営。パネルの下ではシャインマスカットやエゴマなどの農作物を栽培したり、牧草を生やしジャージー牛の放牧もするなど様々なチャレンジをしています。ソーラーパネルもユニークで、高架式以外に、垂直のパネルや回転式など多様なスタイルの太陽光発電に挑戦。そんな風景の中で、近藤さんの話を聞いていると「ここで生産される電気を使いたい!」そんな気持ちが芽生えてきます。
もう自分たちからエネルギーを手放さない
「原発事故が起こるまでは、地方にこそ本当の豊かさがあると思い上がっていました。都市と比べると所得格差はあれど、住宅の面積も広くて物価も安く新鮮な食材がすぐに手に入る。農家として自給自足もできている…でも事故後、生活に欠かせないエネルギーはどこでつくられている? 農業はガソリンや軽油がないとできないし、地方の内陸部の農家たちにとってはもちろん、ここで暮らす自分たちの〝エネルギー自給率の低さ〞を突きつけられたようで愕然としました。これからは地方もつくる側にまわってエネルギーを生産していかないと、さらに恐ろしいことになってしまう。大事なエネルギーをいつの間にか自分たちが手放して、遠いものにしていたと気づかされました」
有機農業を廃業し宮城で避難生活を送ったあと農協の職員として二本松に戻ってきた近藤さん。「大きな被害をうけた福島だからこそ、原発に頼らない電力を生み出す必要がある」と、新電力の会社で働いた後、2019年に二本松市とパートナーシップ協定を結んで、市民電力会社〈ゴチカン〉を立ち上げます。
「まずは二本松市で再エネをもっと一般に広めていきたいという気持ちが強く、何よりスピードを重視して、空き地や野原や農地など土地があれば、太陽光発電の設備を建てました。規模の大きな高圧設備の建設に時間をかけるより、小規模でも早く多く建設して発電量を増やすことを優先に考えたんです。その中で、ソーラーパネルの設置場所として農地が出てきたことで、ソーラーシェアリングも始めました。
日本で初めての垂直式のパネルを導入したり、土地にあわせて回転式のパネルを設置したりと、常に改善を重ねながらすすめています。発電のため、農業のためと分けて考えるのではなく、食とエネルギーをどう一緒につくっていけるのか、と試行錯誤の日々です。
今は大規模、小規模さまざまな太陽光発電所がありますが、どちらが正しいというのではなく、バランスをとりながら取り組んでいくことが大事だと思っています。生活クラブの消費材も食のカテゴリーで多様な種類がありますよね。それぞれのこだわりがあってつくられたものが共存して成り立っている。互いにヒントを得て、切磋琢磨しながらよりよい発電所を多くつくっていきたいと思っているんです」
廃校となった小学校の敷地も有効活用できる。
新たな兼業農家のスタイルをつくる
有機農業を探求しながら兼業農家を経て専業農家になった近藤さんは、ソーラーシェアリングに消極的な農家の気持ちも理解しながら新たな農家のあり方を目指しています。
「ソーラーシェアリングは〝地域のインフラ〞になっていくと思うんです。農家によっては、農地を神聖なものと考える人もいて、そこに資金を費やしてパネルを建て、長いスパンで運営するのは難しいという意見もあります。でも、それほど土地に根ざすものをつくるということは、農地に水路を引いているのと同じような考えで、地域のインフラを農家がつくり、守る担い手になることができると思う。水のように電線を通じて電気が流れていくようなイメージが湧くんです。農業経営の継続のためだけではなく、公共的な役割をもって農業とエネルギーの生産を両立させる、新たな兼業農家のスタイルを色々な地域につくっていきたいです。
生活クラブは、生産者と組合員の距離が近いところがおもしろいし、強みだと思っています。だからこそ生活クラブの消費材の生産者に、例えば『このおいしいトマトと一緒に生産される電気を使いたい!』というアプローチをして、ソーラーシェアリングを広めていける可能性がある。そんなムーブメントを一緒につくっていけるかもしれないと楽しみに思っています」
近藤 恵 (こんどう けい)
二本松営農ソーラー株式会社/二本松ご当地エネルギーをみんなで考える株式会社代表取締役。2011年に起きた福島第一原発の事故の影響により農業を一時廃業。2021年よりソーラーシェアリングで営農法人として有機農業に復帰し、現職。2026年4月から生活クラブでんきに供給を開始。
『陽なたのファーマーズ』
近藤さん出演のドキュメンタリー映画。原発事故により廃業したものの、農地で発電を行なうソーラーシェアリングに活路を見い出し、ふたたび電気をつくる農業者として歩み始めた人たちがいた。「まだ、いける。終わりではない」と希望に溢れた再生の記録。( 監督:小原浩靖 98 分)
近藤さん出演のドキュメンタリー映画。原発事故により廃業したものの、農地で発電を行なうソーラーシェアリングに活路を見い出し、ふたたび電気をつくる農業者として歩み始めた人たちがいた。「まだ、いける。終わりではない」と希望に溢れた再生の記録。( 監督:小原浩靖 98 分)
★生活クラブOPINION 2026年6月3回「生活クラブでんき」から転載しました。
【2026年6月掲載】
コラム 「電気が足りない」という幻想に惑わされないために
飯田 哲也
NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長
2026年春、ホルムズ海峡の封鎖という衝撃的な事態が続いている。原油・LNG価格の急騰、電気料金の値上げ予告。そのたびに「電気が足りなくなる」「石炭火力を再稼働すべきだ」「原発を動かせ」という声が湧き上がる。このパターンは、東日本大震災後から何度も繰り返されてきた。しかし、立ち止まって考えてほしい。「電気が足りない」という話と「化石燃料が高い」という話は、まったく別の問題だ。
日本の電力は、今この瞬間も余っている。東日本大震災後に原発が止まっても、この国は一度も「電気が足りなくて停電した」ことはない。問題の急所は、電気の「量」ではなく、化石燃料への「依存度」にある。日本の電源の約70%は石炭・LNG・石油という化石燃料だ。だからホルムズ危機のたびに電気代が跳ね上がる。
これは「足りない」問題ではなく、「高くなる」問題であり、「依存度」の問題だ。
この二つを混同させるのが、旧来のエネルギー利権の常套手段である。「有事だから電気が足りない→だから石炭火力を再稼働、原発を動かせ」という論法で、本来退場すべき老朽発電所に公金を投じ続ける構造を守ろうとする。惑わされてはならない。
では、私たちに何ができるか。
まず、電力会社を変えることだ。旧大手電力を選び続ける限り、あなたの電気代は老朽化した化石燃料発電所を延命させる「容量市場」の費用(2028年度分だけで約1兆8500億円)に吸い上げられる。〈生活クラブでんき〉のような再エネ主体の新電力に切り替えることは、その資金の流れを断つ最も直接的な手段だ。手続きはスマホで5分もあれば完了する。
次に、太陽光と蓄電池を自分で持つことだ。500〜1000世帯が集まれば「まちなかソーラー」としてメガソーラー1基分の電力を地産地消できる。
自宅に太陽光と蓄電池を付けた家庭は、電気代の節約だけでなく、停電時のバックアップも手に入れられる。エネルギーの「消費者」から「生産者」へ---これが市民のエネルギー自立の姿だ。
そしてもう一つ、声を上げることだ。
日本にはベランダにプラグイン型の小型太陽光パネルを差し込むだけで発電できる「ベランダソーラー」が、制度上の壁で事実上使えない。ドイツでは2023年の規制改正で一気に180万台超が普及した。生活クラブはかつて食品添加物の規制に影響を与えた運動体だ。同じロジックで、エネルギーの規制も変えられる。
「有事だから仕方がない」と諦めるのか、「だからこそ変える」と動くのか。その選択が問われている。ホルムズ危機は、化石燃料依存というこの国の構造的弱さを白日の下にさらしただけだ。再エネと蓄電池への移行は、環境問題ではなく、生活防衛そのものである。
NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長
2026年春、ホルムズ海峡の封鎖という衝撃的な事態が続いている。原油・LNG価格の急騰、電気料金の値上げ予告。そのたびに「電気が足りなくなる」「石炭火力を再稼働すべきだ」「原発を動かせ」という声が湧き上がる。このパターンは、東日本大震災後から何度も繰り返されてきた。しかし、立ち止まって考えてほしい。「電気が足りない」という話と「化石燃料が高い」という話は、まったく別の問題だ。
日本の電力は、今この瞬間も余っている。東日本大震災後に原発が止まっても、この国は一度も「電気が足りなくて停電した」ことはない。問題の急所は、電気の「量」ではなく、化石燃料への「依存度」にある。日本の電源の約70%は石炭・LNG・石油という化石燃料だ。だからホルムズ危機のたびに電気代が跳ね上がる。
これは「足りない」問題ではなく、「高くなる」問題であり、「依存度」の問題だ。
この二つを混同させるのが、旧来のエネルギー利権の常套手段である。「有事だから電気が足りない→だから石炭火力を再稼働、原発を動かせ」という論法で、本来退場すべき老朽発電所に公金を投じ続ける構造を守ろうとする。惑わされてはならない。
では、私たちに何ができるか。
まず、電力会社を変えることだ。旧大手電力を選び続ける限り、あなたの電気代は老朽化した化石燃料発電所を延命させる「容量市場」の費用(2028年度分だけで約1兆8500億円)に吸い上げられる。〈生活クラブでんき〉のような再エネ主体の新電力に切り替えることは、その資金の流れを断つ最も直接的な手段だ。手続きはスマホで5分もあれば完了する。
次に、太陽光と蓄電池を自分で持つことだ。500〜1000世帯が集まれば「まちなかソーラー」としてメガソーラー1基分の電力を地産地消できる。
自宅に太陽光と蓄電池を付けた家庭は、電気代の節約だけでなく、停電時のバックアップも手に入れられる。エネルギーの「消費者」から「生産者」へ---これが市民のエネルギー自立の姿だ。
そしてもう一つ、声を上げることだ。
日本にはベランダにプラグイン型の小型太陽光パネルを差し込むだけで発電できる「ベランダソーラー」が、制度上の壁で事実上使えない。ドイツでは2023年の規制改正で一気に180万台超が普及した。生活クラブはかつて食品添加物の規制に影響を与えた運動体だ。同じロジックで、エネルギーの規制も変えられる。
「有事だから仕方がない」と諦めるのか、「だからこそ変える」と動くのか。その選択が問われている。ホルムズ危機は、化石燃料依存というこの国の構造的弱さを白日の下にさらしただけだ。再エネと蓄電池への移行は、環境問題ではなく、生活防衛そのものである。
飯田 哲也(いいだ てつなり)
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。原子力産業に従事するも辞して自然エネルギーの研究へ。北欧などでの研究を経て、ISEP を設立し現職。自然エネルギー政策の第一人者であり、先進的かつ現実的な政策提言を続けている。
京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。原子力産業に従事するも辞して自然エネルギーの研究へ。北欧などでの研究を経て、ISEP を設立し現職。自然エネルギー政策の第一人者であり、先進的かつ現実的な政策提言を続けている。
★生活クラブOPINION 2026年6月3回「生活クラブでんき」から転載しました。
【2026年6月掲載】
全国の地域とともにつくる、生産者がみえる私たちの発電所
「生活クラブでんき」は消費材。だから他の消費材と同じように、でんきをつくる生産者と組合員が交流・視察できます。つくる人・使う人の協力関係をつくり、エネルギー自給や脱炭素、脱原発などの様々な課題解決に一緒に取り組みます。

野辺山営農ソーラー(長野県)

生活クラブ風車「夢風」(秋田県)
庄内・遊佐太陽光発電所(山形県)
阿寒マイクログリッド(北海道)
飯舘電力(福島県)
さがみこファーム(神奈川県)
【2026年6月更新】
庄内・遊佐太陽光発電所 FECネットワークを目指して (動画 5分07秒)
「生活クラブでんき」は電源の9割以上が再生可能エネルギーの発電所から
*1(株)生活クラブエナジーがこの電気を調達する費用の一部は、当社以外のお客様を含め、電気を利用する方が負担した再エネ賦課金によって賄われ、この電気は火力発電なども含めた全国平均のCO₂ 排出量を持った電気として扱われます。その他には、旧一般電気事業者からインバランス(補給)供給を受けた電気と他社から調達している電気の一部で、発電所が特定できないものについては「その他」の取扱いとしています。なお、「その他」に入る日本卸電力取引所の電気には、火力、水力、原子力、FI T 電気、再生可能エネルギーなどが含まれます。 2023年度のCO₂ 排出係数(調整後排出係数)は0.283 です。(単位:kg-CO₂ /kWh)
*2 再エネ100%プランのメニュー販売にあたり、左のように非化石証書を使用しています。
*2 再エネ100%プランのメニュー販売にあたり、左のように非化石証書を使用しています。
★生活クラブOPINION 2026年6月3回「生活クラブでんき」から転載しました。
【2026年6月更新】
でんきCONCEPT BOOK
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